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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グリクシス・シンギュラリティ:隠れた勝ち組を探そう(スタンダード)
「プロツアー・機械兵団」の進軍のフィーチャーマッチはご覧いただけたかな?まだの方はお暇な時にでも、リアルタイム視聴した方も名勝負をもう一度、こちらのリンクからご覧あれ。
「メタゲーム・ブレイクダウン」や「今日の出来事」などの読み物にも目を通してもらえると、いちマジックファンとして嬉しいところ。そして今回伝えたいことは……フィーチャーマッチだけがプロツアーではないということ。確かに予選で良きラインにいるプレイヤーや決勝ラウンド進出者など、このトーナメントで活躍したプレイヤーの姿を観ることができるのがプロツアーだが、この招待制イベントにはその卓に呼ばれることはなかったが、会場内でアツいゲームを繰り広げていた数百のプレイヤーもいるのだ。
彼ら彼女らの試合模様を目にすることは出来ないが、デッキリストと対戦記録というデータは残っている。このデータの海を漁ってみると、影ながら活躍していたデッキをみつけることもあってデッキマニアとしてはとっても有意義な時間だったりする。そんなわけで今回紹介するリストはスタンダードラウンドにて用いられていたものの、フィーチャーのテーブル上でその姿を見ることが出来なかったデッキを紹介しよう。その名も……「グリクシス(青黒赤)シンギュラリティ」!
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《沼》 3 《硫黄泉》 3 《嵐削りの海岸》 4 《黒割れの崖》 2 《シヴの浅瀬》 3 《難破船の湿地》 2 《地底の大河》 3 《闇滑りの岸》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 4 《ザンダーの居室》 -土地(27)- 4 《碑出告と開璃》 3 《死体鑑定士》 4 《税血の収穫者》 -クリーチャー(11)- |
3 《ヴェールのリリアナ》 4 《鏡割りの寓話》 3 《爆発的特異性》 3 《かき消し》 4 《喉首狙い》 3 《切り崩し》 2 《勢団の銀行破り》 -呪文(22)- |
3 《ギックスの命令》 1 《兄弟仲の終焉》 1 《ぎらつく氾濫》 4 《強迫》 2 《石術の連射》 2 《否認》 1 《切り崩し》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
シンギュラリティ、SF映画なんかで目にするフレーズ。これの意味するところは特異点。AIが人類の知能を超える、人類史を大きく塗り替えるであろう転換点を意味するものだが……難しい話はおいといて、このデッキでは《爆発的特異性》のことである。
10点のダメージを与える10マナのソーサリーという派手さが目を引く、好きな人はとことん好きなタイプの呪文。召集能力のようにコスト軽減も出来るカードで、近年の宝物生成カードやその他トークンを量産すれば案外唱えられるカードではあるのだが……このデッキではそもそもマナを払う気が一切ない。それどころか、この特異性で10点どころか20点のライフを失わせて勝利することを狙っている。
『機械兵団の進軍』にて登場した伝説のクリーチャー2体がタッグチームを結成したカード。その中でも絵面のインパクトが強い《碑出告と開璃》。デーモン・オーガとドラゴンを併せ持つカードということもあって強く印象に残るカードだが、その能力もかなり特殊なもの。戦場に出れば《渦まく知識》よろしく3枚引いてから2枚ライブラリーに戻す手札入れ替え能力。そしてもう1つ、これが死亡するとライブラリーの上のカードを公開。そのマナ総量分だけ対戦相手のライフを失わせ、またそのカードがインスタントかソーサリーであればマナを払わずに唱えられる。つまり……
①《碑出告と開璃》を戦場に出して手札の《爆発的特異性》をライブラリーの一番上に置く
③《碑出告と開璃》の能力で《爆発的特異性》を公開、10点のライフを失わせてそのまま対象を対戦相手に。10点ダメージの計20点で勝利
7マナあれば20点のライフを失わせる、恐ろしき飛び道具だ。このコンボの良いところは、必要なカードが3枚あるにも関わらず実質的に1枚コンボでもある点。《碑出告と開璃》さえあれば、どれかのパーツが足りなくとも3枚ドローで見つけられる可能性がある。どんなピンチな状況からでも大逆転を演出してくれる、かなりアツいタッグチームというわけだな。
また、《碑出告と開璃》を死亡させる手段として、対戦相手を利用するのも手だ。クリーチャーで攻撃してきている相手の前に《碑出告と開璃》を出す。それでもかまわず突っ込んでくるならこれをブロックしても良いし、あるいは攻撃を通すために除去を撃ってきても美味しい。ただ対戦相手もこれを警戒はするだろう。そこでライブラリーに戻す2枚の順番が重要になってくる。相手がコンボを回避するために《碑出告と開璃》をスルーしてきそうであれば、《爆発的特異性》は2枚目に仕込んでおくのが吉。5マナしかない時などはこのように積みこんでおいて、ターンが返ってきたら除去を撃った2枚目の《碑出告と開璃》を出すなどして死亡させて20点フィニッシュを決めよう。
このあたりの駆け引きは、テーブルトップ(紙のカード)での対戦においてめちゃくちゃ楽しい瞬間。使う側も使われる側も、盤面やライフに手札といった情報、そして相手の挙動や表情からどのようなプランが最適か?じっくり考えながらコンボデッキの醍醐味を味わってほしいね。
上記のリストはフィーチャーマッチに登場することはなかったが、プロツアーのスタンダードラウンドを7勝3敗と好成績でフィニッシュしている。単純な数字で見れば、かなりの勝ち組だ。プロツアーの結果はトップ8ばかりが注目されがちではあるが、強いデッキを探すためには上位入賞者以外のリストも眺めてみるのがオススメだ。『神河:輝ける世界』のスタンダードでの使用可能期間が延長されたこともあって、今後のスタンダードでも注目のデッキになりそうだね。
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