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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

タルキールへの侵攻開始!赤単(4色)ドラゴン(スタンダード)

岩SHOW

 突然だけども、皆には「好きな次元」あるかな?マジックの多元宇宙には数えきれないほどの次元が浮かんでおり、各セットはその次元を舞台に起きた事件・物語をカード化したものになっている。次元にはそれぞれに固有の設定がもうけられていて、個性際立つ次元はイラストを眺めているだけでも楽しくなってくる。僕はファンタジーらしく、巨大な怪物が生息する次元が好きだね。そこに住まう人々とその怪物との関係性が深く描かれていればなおテンションが上がる。近年だとイコリアはかなり好きな設定だったなぁ。

 少し前のものであれば……タルキールも面白かったね。かつてドラゴンが生態系の頂点に君臨していたが、絶滅してしまった次元。そこに降り立ったサルカンが時を遡って歴史を改変し、ウギンを救うと共にドラゴンが絶滅せずに繁栄を極めた次元へと生まれ変わった。ドラゴンは5つの氏族に分かれており、5体の龍王をそれぞれ信奉する精力が築かれている……と。弱肉強食の食物連鎖、その頂点にドラゴンが君臨するという世界観はモンスター系の創作物が好きな人間にはたまらない。そんなタルキールが『機械兵団の進軍』にて再び戦いの舞台に!

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 同セットは新ファイレクシアが各次元へ行った侵攻を描いている。バトルという新タイプで、各地で起きた侵攻の模様がカード化されているのだ。タルキールがファイレクシアの侵略を受けたことで……この《タルキールへの侵攻》のど真ん中に描かれたように、ドラゴンがファイレクシアン化!悪しき存在になり果てた同族に立ち向かうために他のドラゴンが、そしてドラゴンを崇める人間やオーク達が団結して戦う……胸が熱くなる光景じゃないか。

 《タルキールへの侵攻》はバトルの中でも現在のところ最軽量であるマナ総量2というのが、なんとも興味をそそる1枚。軽くて扱いやすいに越したことはないからね。この包囲戦は戦場に出た際に能力が誘発、任意の対象に確定で2点のダメージを与えられる。それからボーナスとして、手札にある望む枚数のドラゴンを公開し、その枚数分だけダメージが増やせる。かつてタルキール系セットに収録されていたドラゴン・シナジー(相互作用)カードへのオマージュとも言えるデザインだ。まずこの時点で懐かしくて、使いたくなってくる。ドラゴンを2枚公開すれば2マナで4点と高水準、公開が0枚でも2点と最低限の除去として機能してくれるデザインなので安心してデッキに投入できそうだ。そしてこのバトルは、他のバトルにもダメージを与えられる。2枚目の《タルキールへの侵攻》で1枚目を焼いて守備値を減らし、報酬を獲得するなんて使い方も。

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 このバトルの第2面は《果敢な雷口》。4/4飛行・トランプルとドラゴンらしいスペックだ。ドラゴンが攻撃する度に、それは任意の対象に2点ダメージを飛ばす。プレイヤーのライフを削る、クリーチャーやプレインズウォーカーを除去する、バトルの守備値を減らす……どんな状況でもこのドラゴン・シナジーは効果的に働く嬉しすぎるものだ。こんなカードを見たら、ドラゴンデッキを組みたくて仕方なくなってしまう。スタンダードでドラゴンを主役としたデッキを考察してみよう!

 まず、パッと思い浮かんだのが《マナ形成のヘルカイト》。こいつは《タルキールへの侵攻》と相性が良いはず!ドラゴンなので公開してダメージを増やせるのはもちろんのこと、何よりもヘルカイトが戦場に居る状態で侵攻を唱えると、ドラゴン・イリュージョンが生成される!ヘルカイトの能力の誘発条件は非クリーチャー呪文を唱えることなので、新タイプのバトルでもこれがしっかり誘発するのだ。

 《タルキールへの侵攻》は2マナなので2/2飛行・速攻のイリュージョンが現れる。ヘルカイト自身が召喚酔いしていなければ、パワー4と2で計6点ダメージ分の打点。侵攻の守備値5を減らすに足りるってわけだ。即座に《果敢な雷口》を手に入れたら、次のターンにまた非クリーチャー呪文からトークンを得て全ドラゴンで攻撃!雷口によって大ダメージを叩き込んで、そのまま勝利だ。これ絶対に気持ち良いムーブだろうよ。狙うしかないね。

 ドラゴンデッキとなれば、忘れちゃいけない《解放されし太古、リース》!ついにスタンダードで暴れる時が来たか?せっかく手に入れた雷口がすぐに除去されたんじゃ美味しくない。リースで護法{2}を与えてサクッと簡単にやられるのを回避だ。

 そして同時に、リースは余剰ダメージを受けたクリーチャーやプレインズウォーカーがいるとドラゴンの増援を呼び込む。《タルキールへの侵攻》で大ダメージを与えられれば、手札にドラゴンを保持したまま盤面のドラゴンを殖やすことができてしまうッ。コントロール耐性の高いゲームプランを進めていけそうな予感だ。

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 最新のドラゴンの中では、タルキールの英雄がまさかのタッグチーム!《ズルゴとオジュタイ》に要注目だ。オジュタイの飛行にズルゴの速攻、お互いの得意とするキーワード能力が揃い、さらに戦場に出たターンには呪禁まで持つ驚異の航空戦力の誕生だ。ドラゴンがプレイヤーかバトルにダメージを与えると手札が増える、《龍王オジュタイ》を思い起こさせるアドバンテージ獲得能力までついていて素晴らしい。さらにその能力の解決後、ダメージを与えたドラゴンを手札に戻しても良いというオマケ付き。これって何か意味があるの?と思われるかもしれないが、つまりは《ズルゴとオジュタイ》を手札に逃がしても良いということだ。呪禁を持ったまま攻撃し、手札に戻ることで返しの相手のターンでの除去で撃ち落とされることを避けるってわけだね。毎ターン5マナは必要だが、安全確実に攻め続けられるのは嬉しいオプションである。

 もちろん戻さずに戦場に居座り続けさせても良いので、相手のデッキと戦況を見て判断しよう。また手札に戻ることで《タルキールへの侵攻》のダメージを上昇させるという小テクも一発かましてみたくなる。この戻る効果は《鐘突きのズルゴ》の能力を再現している。実に芸が細かいデザインで、思わずうなってしまうね。

 というわけでこれらのカードを搭載した、赤単色をベースにした黒以外の4色デッキのリストをザックリ作ってみたぞ!

岩SHOW - 「赤単4色ドラゴン」
スタンダード (2023年4月13日)[MO] [ARENA]
2 《英雄の公有地
2 《閑静な中庭
2 《ジェトミアの庭
4 《日没の道
4 《嵐削りの海岸
1 《落石の谷間
1 《戦場の鍛冶場
1 《シヴの浅瀬
1 《カープルーザンの森
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
6 《
-土地(25)-

2 《ファイレクシアのドラゴン・エンジン
3 《マナ形成のヘルカイト
3 《月の帳の執政
1 《燃え立つ空、軋賜
3 《解放されし太古、リース
3 《ズルゴとオジュタイ
1 《気まぐれな厄介者
-クリーチャー(16)-
4 《タルキールへの侵攻
2 《削剥
2 《ナヒリの戦争術
3 《兄弟仲の終焉
4 《勢団の銀行破り
4 《鏡割りの寓話
-呪文(9)-

-サイドボード(0)-

 「赤単4色ドラゴン」!わけのわからないことを言っているが、まあ現行スタンダードの土地の豊富さならこういうデッキもいっぱいあるからね、日常よ。デッキとしては中速で、アグロ相手には受けに回って遅いデッキ相手には攻めの姿勢で臨む。《タルキールへの侵攻》がどちらのプランでも仕事をするのを期待している。もちろん赤単に抑える必要はなく、他の色の除去やアドバンテージ繋がるカードを採用するのもOK。黒を2色目にして《爪のライヴァズ》を採用し、マナ加速と墓地利用を狙うのもオススメだ。

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 《爪のライヴァズ》や《鏡割りの寓話》から加速して《溜め込む親玉》を使うというのも面白い。今回は誌面の限界があるので諦めたが、このデッキも追及していきたいね……誰かいいデッキを作ってくれたらここでありがたく紹介させていただくよ。

 では、《タルキールへの侵攻》を用いたドラゴンデッキ、皆も組んでみてよ!龍の如く天まで駆け上るマジック体験を味わおうぜ!

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