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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
エスパー接合器:ドローゴーとX呪文(スタンダード)
クリーチャーの進化は目を見張るものがある。体感的には2010年以降、クリーチャーの質は、それ以前のものと比べて本当に大きく向上したなと。かつては単に戦闘要員であるクリーチャーが主だったのに対して、最近のクリーチャーは本当に色んな事ができる器用なものが増えて……クリーチャーを一切用いない、ノン・クリーチャー(ノンクリ)デッキというものを見かける機会は貴重なものになった。かつてはコントロールデッキはノンクリ率が圧倒的に高かったりしたものだが、現在のスタンダードではコントロールも盤面を掌握したらさっさと殴り勝ったり、戦闘面以外でのアドバンテージ獲得能力に期待してクリーチャーを複数体用いるのが一般的になっている。
ただ、近年の高品質クリーチャーには目もくれず、我が道を突き進む硬派なデッキを見かけることも。今回のデッキはそんな伝統的なノンクリ型のコントロールだ。土地と非クリーチャー呪文、それだけあれば問題ないぜと言わんばかりのリストを眺めていただこう。
4 《ラフィーンの塔》 1 《アダーカー荒原》 1 《地底の大河》 4 《コイロスの洞窟》 3 《金属海の沿岸》 3 《闇滑りの岸》 2 《さびれた浜》 2 《難破船の湿地》 2 《砕かれた聖域》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《沼》 -土地(25)- -クリーチャー(0)- |
4 《衝動》 2 《未来の目撃》 4 《銀の精査》 4 《中略》 4 《喉首狙い》 3 《不憫な悲哀の行進》 2 《冥途灯りの行進》 2 《虚空裂き》 2 《告別》 4 《白の太陽の黄昏》 4 《精神接合器》 -呪文(35)- |
2 《切り崩し》 2 《集団失踪》 2 《青の太陽の黄昏》 1 《不憫な悲哀の行進》 1 《冥途灯りの行進》 1 《虚空裂き》 2 《否認》 3 《心悪しき隠遁者》 1 《船砕きの怪物》 -サイドボード(15)- |
カラーリングは白青黒、これぞザ・コントロール・カラーだな。白と黒でパーマネントに対処し、青のドローや打ち消しで器用に立ち回る。自分から積極的にメインで何かを展開することはなく、カードを引いて土地を置いたらターン終了を宣言する。危ないものは打ち消し、除去し、またドローして終わり。このターン終了を宣言する際に、英語圏では「Go」と宣言するプレイヤーが多い。ドローとゴーを繰り返す、故に「ドローゴー」と呼ばれるようになったアーキタイプがあった。
最近のスタンダードではかつてほど活躍しているわけではないが、自分はこういうデッキが好き!という玄人がイベントに持ち込んでいる姿を目にすることもある。このリストもそんな素敵なノンクリ、ドローゴーの最新型だ。
スタンダードでドローゴーを成立させる、最も重要なパーツが《精神接合器》だ。毎ターン油カウンターを得て、その数だけインスタントやソーサリーのコストを軽減させる。ノンクリデッキの柱であるこれらの呪文を気軽に扱えるようにして、効果の大きな1枚で勝負を決める……という便利なアーティファクトであり、そしてさらに瞬速までついている。そのためドローとゴーを続けつつ、対戦相手が特段脅威を展開してこなかったターンの終了時にこの接合器を設置。対戦相手に一切隙を見せずに、終止鉄壁のガードを保ったまま戦うデッキ……それがこの「エスパー(白青黒)接合器」だ。
接合器によってどんどんと不特定マナの支払いコストが軽減されていく……のであれば!X呪文を使わない手はないでしょうよ~。注ぐマナが増えれば増えるほど効果が増すX呪文。このXコストもしっかりと接合器で軽減可能なので、ターンを重ねれば相当な無茶苦茶ムーブをかますことができる。さあ、何をもって暴れるか。《不憫な悲哀の行進》《冥途灯りの行進》の除去可能な範囲が拡がる、《中略》でどれだけマナを浮かせている相手でも強引に打ち消す……それらも嬉しいことではあるが、暴れるってのはもっとこう、能動的にパワフルなものでないとね。
接合器デッキのX呪文でこれは外せない、というのは《銀の精査》。Xドロー、これで手札をゴリゴリッと満たして、対戦相手を絶望させる。コントロールの勝ち方として、対戦相手にもうどうしようもないと思わせて投了させるというのは理想的だ。散々こちらの展開は許してもらえず、相手の手札は7枚パンパンを維持される……こりゃあさっさと畳んで次のゲームに行った方が良いよな。そういう意味で、接合器デッキの《銀の精査》はドローでありフィニッシャー(ゲームを終わらせるカード)でもあるのだ。
フィニッシャーと他の役目を兼ねるX呪文と言えば、《白の太陽の黄昏》も忘れちゃいけないな。X=5以上で盤面のクリーチャーを吹き飛ばす、全体除去になるので接合器で賢く運用したい1枚。そしてこれが生成するX体のダニは、毒性を持っている。つまりX=10以上で唱えれば、1回の攻撃で毒を10個与えて勝ってしまうという豪快な幕切れを迎えられる!まあそこまでいかなくとも、5体以上並べれば2回殴って勝てるというスピード感は十分に素晴らしいもの。勝つための邪魔な相手のブロック役をこのカード自身が処理してくれるというのが自己完結しているね。
接合器は複数並べれば効果が重複するので、このソーサリーにたっぷりとマナを注ぎ込むのは夢物語ではないのだ。遠慮せずに気持ちよくなってちょうだいな。ちなみに忘れがちなライフX点回復も、アグロデッキの心をへし折る要素だったりする。
コントロールデッキは新環境が始まった直後に勝つのは難しいとされている。何故なら、受け身なデッキなのでそもそも相手がどのような攻めをしてくるのか、分かり切っていない状況下では適切な構築が難しいからである。『機械兵団の進軍』リリース直後、はたしてノンクリ、ドローゴーのような構成は見られるだろうか?ハマれば最高に気分が良い《精神接合器》デッキ、コントロールマニアが新環境でどのようなリストを練り上げるかが今から楽しみだ。
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