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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
デッキソムリエ推薦、土地事故を避けるための4色レジェンズ(スタンダード)
デッキ選びにお困りですか?どうも、デッキソムリエをやらせていただいている者です。本日はどのようなデッキをお探しで?
ふむ、土地事故が頻繁に起こって苦しんでいる……と。土地事故とはマジックのゲームシステム上、どうしても発生してしまう不幸のこと。呪文を唱えたり能力を起動するためにはマナが必要。そのマナを得るためには土地が必須。自身のデッキが求めるマナの量に合わせてデッキ内の土地の比率は変動しますが、多くのデッキが24枚前後で構成されております。60枚デッキの4割を土地にすれば、4ターン目まで淀みなく土地を出せるというざっくりとした計算に基づき、もっと土地が必要なロングゲームを見据えているか?それとも不要な短期決戦デッキか?各デッキの方針によってその枚数に差が生じるわけですが……いかに土地の枚数を調整しても、ライブラリーをシャッフルしてランダムなドローによってゲームを行う以上、土地ばかり引いてしまう“マナ・フラッド”に遭遇したり、逆に全く引かない“マナ・スクリュー”に陥ったり……そういった通称・土地事故に直面するのは、マジックというゲームをするにあたってどうしても起きてしまうことであります。
最終的には「運」という人間の力ではどうしようもない部分になってはきますが、これを可能な限り避けるためにプレイヤーは創意工夫を凝らしているものです。では、今日はそんな土地事故を克服する大胆な構築例をご紹介しましょう。
4 《英雄の公有地》 4 《ラフィーンの塔》 3 《スパーラの本部》 1 《金属海の沿岸》 3 《剃刀境の茂み》 1 《難破船の湿地》 2 《死天狗茸の林間地》 1 《コイロスの洞窟》 1 《ラノワールの荒原》 2 《皇国の地、永岩城》 3 《天上都市、大田原》 4 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(29)- 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《生ける治療、メリーラ》 1 《敬虔な新米、デニック》 1 《剃刀鞭の人体改造機》 4 《大スライム、スローグルク》 3 《策謀の予見者、ラフィーン》 3 《グリッサ・サンスレイヤー》 2 《ラトスタイン翁》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 2 《復活したアーテイ》 2 《夜明けの空、猗旺》 -クリーチャー(28)- |
2 《喉首狙い》 1 《漆月魁渡》 -呪文(3)- |
4 《切り崩し》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《呪文貫き》 1 《剃刀鞭の人体改造機》 2 《第三の道のロラン》 2 《敬虔な新米、デニック》 1 《沈黙を破る者、スラーン》 1 《漆月魁渡》 1 《永遠の放浪者》 -サイドボード(15)- |
こちらのリストをご覧ください。スタンダードの「4色レジェンズ」でございます。名の通りレジェンド……伝説のクリーチャーが主体、《英雄の公有地》がすべての色マナを供給する土地としてフル稼働するスタンダードでも人気の派閥で御座います。
白青黒の3色、エスパーと呼ばれる組み合わせが非常に人気で、《策謀の予見者、ラフィーン》を主役に据えて対戦相手をアグレッシブに攻める構成のものがスタンダードの各種トーナメントでも上位に食い込んでいる光景を目にしますね。このリストはそこに緑を加えて4色にしたもの。そして、土地事故へのアンサーとなり得る構成が目を引くものに仕上がっております。
リストに目を通していただければ一目瞭然、土地の総数驚きの29枚。デッキの半分が土地であるため、ゲーム開始時の7枚に3枚以上の土地が来る確率はかなり高いものになっております。毎ターン途切れることなく土地を置き続けることで、2ターン目の《スレイベンの守護者、サリア》から5ターン目の《夜明けの空、猗旺》まで、ノンストップで展開していけるでしょう。しかし……それでも29枚は多すぎじゃないか?スクリューは防げてもさすがにフラッドするのではないか?それはごもっとも。この構成はレジェンドデッキだからこそ許される、というものです。
《皇国の地、永岩城》《天上都市、大田原》ら伝説の土地サイクル。これらは土地として出しても良し、マナが不要であれば魂力能力で捨てて、呪文的に運用しても良しの便利なものでございます。盤面に影響をもたらす上記の2種で対戦相手の展開を妨害し、そして堂々の4枚投入された《見捨てられたぬかるみ、竹沼》で墓地からレジェンドを回収。これにより切れ目のない攻めを続けるのが狙いであり、ラフィーンの能力で捨てたクリーチャーも無駄にならないというものです。これらの魂力コストはいずれも伝説のクリーチャーをコントロールしていれば軽減され、このリストであれば色マナ一つで起動することも容易いもの。他のデッキではあまり大量に採用すると重くて運用しきれないこれらの土地を、レジェンドデッキだからこそ全力投入。スクリューもフラッドも恐れるに足りません。
緑をデッキに対しているのはこれらの土地にも関係があります。《大スライム、スローグルク》、この伝説のウーズは土地を捨てることでサイズアップ。魂力を起動すればするほど戦場が強くなり……さらに、戦場を離れると捨てた土地を3枚手札に回収可能です。竹沼の起動で墓地に落ちた土地でも強化されるため、見た目以上の打点を誇りつつ、除去しても土地を拾うことで対戦相手にとって苦い展開をもたらす――しかも自身の能力でさらに手札に戻して除去を回避することも可能と、至れり尽くせりな大スライムなのであります。
そんなスローグルク&竹沼と好相性な《ラトスタイン翁》、戦闘における最強戦力でありアドバンテージももたらす《グリッサ・サンスレイヤー》、毒性デッキへの牽制であり他のクリーチャーのボディガード的存在《生ける治療、メリーラ》と、緑を足すことのメリットは大きいもの。多色土地を可能な限り詰め込むことにより、欲張りな4色構成を成立させて美味しいところをいただく……それぐらいわがままなデッキを使ってみても良いのでは?
土地を引かないと始まらない、引きすぎると出来ることが限られる。だったらそれらを解決する土地をたっぷり詰め込もう、という素敵な発想で構築されたスタンダードの「4色レジェンズ」。お目にかなうものだったなら……ソムリエ冥利に尽きるというものです。それでは、また何かご注文がありましたらお呼びくださいませ……。
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