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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

なんだこいつは?5色レジェンズ!(スタンダード)

岩SHOW

「なんだぁ?」

 そうとしか言えないデッキって、あるよな。マジックのトーナメント結果を見ていると、このリアクションをすることが度々ある。フィーチャーマッチには魅力的なデッキが登場するものだが、イベント参加者全てのデッキがそこで披露されるというわけではない。マッチを選出する側としても全デッキリストを完全に把握できるというわけではないので、どうしても面白いデッキを見逃してしまうということはある。序盤に敗北が付いてしまい、沈んだところから勝ち上がって結果的には好成績、というようなデッキは余計に見逃されがち。なのでフィーチャーマッチを記録したビデオや記事などのカバレージ、トップ8入賞リストだけでなくあらゆる順位に目を通して可能な限りデッキリストを眺めていくことが、面白いデッキ・隠れた強デッキを見つけるコツだ。

 このコラムをやっているのもあって、デッキリストをしらみつぶしに見ていくのは日課のようになっている。今回も「プレイヤーズコンベンション横浜2023」を終え、大阪の自宅に帰って一息ついて、さあコラムを書いていくぞと気合いを入れて各種トーナメント結果を漁りだすと……「なんだぁ?」デッキとの出会いがあった。さあ、勿体ぶらずにその凄いリストを皆にも見ていただこうッ!

DAVIDE RYU ORIHARA - 「5色レジェンズ」
プレイヤーズコンベンション横浜 2023 スタンダードオープン 34位(6-3) / スタンダード (2023年3月4~5日)[MO] [ARENA]
4 《英雄の公有地
4 《閑静な中庭
2 《スパーラの本部
1 《ラフィーンの塔
1 《ジェトミアの庭
1 《ジアトラの試練場
1 《金属海の沿岸
1 《剃刀境の茂み
2 《砕かれた聖域
1 《さびれた浜
1 《草茂る農地
1 《死天狗茸の林間地
1 《アダーカー荒原
1 《カープルーザンの森
1 《低木林地
1 《ラノワールの荒原
1 《戦場の鍛冶場
1 《夢根の滝
-土地(26)-

3 《離反ダニ、スクレルヴ
4 《スレイベンの守護者、サリア
3 《生ける治療、メリーラ
3 《忠実な護衛、ハジャール
1 《敬虔な新米、デニック
1 《ドーンハルトの主導者、カティルダ
3 《グリッサ・サンスレイヤー
3 《浄化の刃、シャナ
2 《復活したアーテイ
2 《黙示録、シェオルドレッド
1 《結ばれた者、ハラナとアレイナ
4 《統べるもの、ジョダー
2 《夜明けの空、猗旺
-クリーチャー(32)-
1 《鏡の箱
1 《伝説の秘宝
-呪文(2)-

-サイドボード(0)-
Melee より引用)

 

 こちらは同イベントの場内で行われたスタンダードオープンの34位、6勝3敗でトーナメントを終えたリストだ。このトーナメントは優勝デッキも個性的だったが、他にも色々と個人が磨き、研いできた逸品が潜んでいるようだ。このリストは一目瞭然、5色デッキだ。現スタンダード環境はとにかく多色土地の種類が多い!

 『ニューカペナの街角』の3つの基本土地タイプを持った《スパーラの本部》などのトライオーム・サイクル5種。色マナを加えるとダメージを受ける《カープルーザンの森》などのダメージランド10種。イニストラード2セットに収録されている3ターン目以降にアンタップ状態で出せる《砕かれた聖域》などのスローランド10種。これに対して逆に3ターン目までならアンタップ状態で出せる《剃刀境の茂み》などのファストランド5種……レア土地だけで見てもこれだけのバリエーションがあり、早いデッキも遅いデッキも多色化するのには困らない。かつてないほどの贅沢なマナ基盤でデッキが組めるのが2023年上半期のスタンダードの見逃せないポイントだ。5色デッキを組むのは躊躇しなくて良いんだ。やっちゃいなよと言わんばかりに。

 さらに現環境には5色土地が!いずれも条件を満たしたものにのみ支払える形で、プレイヤーの望んだ色のマナを加えるものが2種類もある。

 一つは定番の《英雄の公有地》!伝説の呪文を唱えるためなら何色のマナでも得られる。さらに伝説のパーマネントをコントロールしていればそれと同じ色のマナを加えられ、こちらには使用先の制限は設けられていない。伝説のクリーチャー、そしてプレインズウォーカーを主体とした構成にしてこの土地を採用することで、マナ基盤はかなり安定したものになる。

 そしてさらに《閑静な中庭》!こちらはクリーチャータイプを指定して、それを唱えるかそれの能力のために5色のマナを供給するイカした土地だ。つまり、これらを4枚ずつ採用すればデッキに5色土地が計8枚も入ることに。これらにはアンタップ状態で戦場に出すための制限などもないため、いずれも伝説でかつクリーチャータイプを絞った構成の5色デッキを組めば安定する……そんな理論に基づいて組まれているのがこの「5色レジェンズ」デッキだ。

 伝説のクリーチャーばかりで固めるメリットは強い土地を使える以外にもある。《忠実な護衛、ハジャール》は伝説のクリーチャーのパワーをあげたうえで破壊不能を付与。ブロック指定後に残したいクリーチャーを守ったり、《集団失踪》などの除去を無効化したり……。

 そして、5色で伝説だったらこの男!《統べるもの、ジョダー》ッ!彼はとにかく伝説に関する能力を持つ、レジェンドデッキの総司令官!各伝説のクリーチャーは伝説のクリーチャーの数だけサイズアップ、これは各カード自身もカウントしジョダ―自身も強化されるというところが太っ腹。いきなり《スレイベンの守護者、サリア》なんかがパワー6とかそれ以上になって重い一撃をかましてくるのだからたまらない。《敬虔な新米、デニック》《浄化の刃、シャナ》ら絆魂持ちがジョダ―で強化されると、殴っているだけで対戦相手の攻撃が無効化されるレベルで回復していき防衛システムが完成してしまう。これが最高に気持ちよく、癖になるぞ。ジョダ―がいれば後続の伝説がさらなる伝説を呼んでくるボーナスまで得られるので、これさえ生き延びていれば盤面の再構築も容易。ハジャールでジョダ―を護ることを心がけたいね。

 上記の伝説のクリーチャーらは皆人間であるため、《閑静な中庭》が活きてくるわけだが……他にダニやエルフなんかの姿も見える。それだと中庭の指定に困りそうだが……ご安心を。《離反ダニ、スクレルヴ》《グリッサ・サンスレイヤー》《黙示録、シェオルドレッド》と、いずれもファイレクシアンである!

 なので、「人間」か「ファイレクシアン」で指定すれば問題なしと。敵対する陣営の伝説的な面々が同じデッキで共演するというのもなかなかにおつなもの。スクレルヴ→《スレイベンの守護者、サリア》の鉄板ムーブから、これらをハジャールや《生ける治療、メリーラ》で守り、ジョダ―まで繋げる……実際にこのリストをコピーして使ってみたが、気持ち良いぐらいに勝ちを重ねられた。トーナメントであと一、二歩でトップ8も見えてくるというラインにはこういった面白くて強い素敵なデッキが潜んでいるもの。皆も数百のデッキがひしめくトーナメント結果を、通勤・通学時の暇つぶしにでも眺めてみてね!

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