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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今期も来ましたスパイシー!セレズニア・ブリンク(パイオニア)
スパイシーデッキの時間だ!構築フォーマットの競技デッキで用いられたデッキというものは、大きく2つに分けられる。環境を研究し、デッキ間の相性や流行を読み、綿密に練り上げられたリスト……ランクやリーグでもマッチする頻度の高い、完成度を高められた手堅いデッキ。そしてそれらとは真逆と言おうか、そのフォーマットにおける自己表現、我が道を突き進んでやりたいことを追求したデッキ。そういった独自性の高いリスト、特にカードチョイスから刺激を感じるものを「スパイシー」と表現する。
これはプロツアー殿堂顕彰者であるフランク・カーステン/Frank Karstenが好んで用いるフレーズであり、彼は近年の競技イベントの公式カバレージにて「今大会のスパイシーすぎるデッキ!」という記事を毎度更新してくれている。マジックコラムニストの末席に名を連ねるものとして、カーステンさんのことは尊敬しているし、彼がまとめたスパイシーなデッキの中からピックアップしてこのコラムで紹介させていただいているよ。
『ファイレクシア:完全なる統一』というスパイシーなカードを世に送り出したセットであるため、今回のプロツアーはより一層スパイシーデッキを期待していたものだ。フォーマットはパイオニア。濃いカードが集い、まだまだ隠されたテクニックや味わい深い懐かしカードが潜んでいる環境において……これはリストを眺めているだけでシビレがくるような、発汗すら促す逸品が取り上げられていたよ。スパイシーファンとして、ここに取り上げ褪せていただく栄誉にあずかろう。
4 《寺院の庭》 4 《低木林地》 4 《剃刀境の茂み》 4 《枝重なる小道》 4 《寓話の小道》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《ハイドラの巣》 2 《シェフェトの砂丘》 4 《平地》 2 《森》 1 《荒地》 -土地(33)- 4 《裕福な亭主》 4 《復活の声》 4 《無私の霊魂》 4 《救出専門家》 4 《恋煩いの野獣》 2 《激情の共感者》 2 《機能不全ダニ》 1 《漁る軟泥》 1 《ファイレクシアの破棄者》 2 《秋の騎士》 2 《スカイクレイブの亡霊》 1 《生ける治療、メリーラ》 1 《産業のタイタン》 1 《悔恨する僧侶》 4 《変位エルドラージ》 1 《血統の観察者》 1 《州民を滅ぼすもの》 -クリーチャー(39)- |
4 《集合した中隊》 4 《カイラの再建》 -呪文(8)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》(相棒) 2 《大群退治》 2 《エルズペス、死に打ち勝つ》 2 《クロールの銛撃ち》 2 《秋の騎士》 2 《高名な弁護士、トミク》 2 《傑士の神、レーデイン》 1 《悔恨する僧侶》 1 《ファイレクシアの破棄者》 -サイドボード(15)- |
まずリストにカードがギッシリ、この時点でスパイシー。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒とした80枚デッキであるが、この空を舞う海蛇のデッキとしては珍しい白と緑の2色を組み合わせたカラーリングが目を引く。
ヨーリオンは戦場に出た際に自身のパーマネントを好きなだけ追放し、それをターン終了時に出し直す。ブリンクと呼ばれるアクションを行い、これによりパーマネントが戦場に出た際の能力を再利用して美味しい思いをする。これがヨーリオンデッキの基本であり、このリストもクリーチャーにてそれを実行する。
そのためのクリーチャーは《集合した中隊》や《カイラの再建》にて展開する、ヨーリオンを用いないタイプのセレズニア(白緑)でもお馴染みの組み合わせを用いているね。
気になるクリーチャーチョイスは《スカイクレイブの亡霊》《秋の騎士》《産業のタイタン》とブリンクすることで様々なシチュエーションに対応可能なお約束のメンツが揃いつつ……それらの中に個性を放つスパイシーな連中が。それはエルドラージ!最近はマジックのメインストリームから離れてフィーチャーされる機会から遠のいている種族であるが、パイオニアでは旧セットに収録されたエルドラージが現役で、お声がかかるのを待っている。
中でもブリンクデッキと相性抜群なのが《変位エルドラージ》!エルドラージらしく無色マナを要求する能力で、クリーチャーをブリンクする。MTGアリーナでも使用できるので最近のプレイヤーにも認知されているエルドラージかもね。これで上述の連中をサクサク出し入れしていればそれだけで盤面を支配してしまえるだろうね。
さて、この《変位エルドラージ》を更に一つ上のレベルへと引き上げるのが同じくエルドラージである《血統の観察者》!
これはスパイシーすぎるチョイス!6マナで3/3と本人のサイズは物足りないが、3体の末裔を引き連れてやってくる。単純に1/1であるだけでなく、これらの末裔は生け贄に捧げることで無色マナを1つ加えられる。つまり……つまり!変位でこの観察者をブリンクして末裔が3体出る→その3体を使ってまたブリンクして……と無限ループを形成可能だ。
これらのエルドラージが末裔をゾロゾロ引き連れては入れ替わることで、《裕福な亭主》は大忙し。無限ライフを獲得して、ライフを0にして勝つデッキの勝利を奪ってしまうコンボを狙うのだ。これはスパイシー!《州民を滅ぼすもの》という刺激溢れるエルドラージもフィニッシャーを務めており、五感全てで感じられるスパイシーさがたまらない!
何よりも《寓話の小道》からエルドラージ用に《荒地》を持ってくるのは最高にスパイスが利いているよね。対戦相手がこの動きをしてきたら、思わぬカードが飛び出してくるのに要注意!むしろこの動きで「あ、《荒地》?」と良いリアクションを引き出すことを君も狙ってみると良いかもね!
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