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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

オープンの日迫る!⑤白単人間+α編(モダン)

岩SHOW

 今回もモダンのデッキを紹介!プレイヤーズコンベンション横浜2023のオープンイベントに向けて、同フォーマットのデッキを振り返るのに付き合ってちょうだいな!

 前回に引き続きアグロデッキを取り上げよう。色は白!白い低コストのクリーチャーを展開して手数で圧倒する「白ウィニー」と呼ばれるデッキは世界が滅んでも生き延びるとさえ形容され、マジック30年の歴史の中で生き続けている。モダンでは白ウィニーの中でもクリーチャータイプを人間に寄せたものを組むとより破壊力を持たせることができる。《サリアの副官》がいるからね。

 副官が戦場に出ると他の人間を全てサイズアップさせる全体強化役でありながら、後続の人間で自身もサイズアップする。ウィニーデッキに面だけでなく点の攻めももたらすエースであり、かつてはこれと《教区の勇者》を用いた「5色人間」がトーナメントを席捲したものだ。

 現在では人間カードも増えたことで、色を抑えて白単でも十分に強力なリストを組むことが可能になった。《光輝王の野心家》は副官の代役を十分に務められる。さらに《輝かしい聖戦士、エーデリン》も1枚で面と点の破壊力を併せ持ったパワーカード。1マナ圏には副官や野心家がもたらす+1/+1カウンターに別の使い道をもたらす《有望な信徒》、パワーが上がれば強烈な嫌がらせ役になれる《エスパーの歩哨》……強い人間がズラリ、素晴らしいロースターだ。

 これだけの人間が組めば、単色なのも相まって安定感と破壊力を併せ持ったデッキが組めるはず。《変わり谷》が使えるのも強みになるね。パイオニアでも「白単人間」は一大派閥を築いているがモダンでは……ここのところ遭遇頻度が下がってはいたが、Magic Onlineのイベントでちょっとヤバいリストが優勝したことで、一気にグイッと注目を集める存在に!ではとくとご覧あれ!

HanktheObese - 「白単人間」
Magic Online Modern Challenge 優勝 / モダン (2023年2月17日)[MO] [ARENA]
6 《平地
2 《皇国の地、永岩城
1 《永岩城
4 《変わり谷
4 《魂の洞窟
-土地(17)-

4 《教区の勇者
4 《エスパーの歩哨
4 《有望な信徒
4 《サリアの副官
4 《光輝王の野心家
2 《ラフィーンの密通者
2 《スレイベンの守護者、サリア
4 《輝かしい聖戦士、エーデリン
3 《孤独
4 《別館の大長
-クリーチャー(35)-
4 《輝く群れ
4 《エメリアの呼び声
-呪文(8)-
4 《ヴェクの聖別者
2 《ブレンタンの炉の世話人
2 《聖域の僧院長
2 《ドラニスの判事
3 《聖戦士の奇襲兵
2 《第三の道のロラン
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 基本的には白単人間の黄金ムーブが並ぶ構成だ。《サリアの副官》と相性抜群の人間を並べ、瞬く間に手の付けられない盤面を作り上げて対戦相手を圧殺する。短期間の物量勝負では負けるつもりはない!と言わんばかりの典型的アグロである。そんなプランを後押しする、ちょいと見慣れないカード群が……。

 まずはまさかのファイレクシアン・天使、《別館の大長》!白ウィニーにはとてもじゃないが採用されなさそうな7マナというスーパーヘビー級だ。5/6飛行と攻め手としては申し分ないが、さすがにマナ総量が重すぎる……というわけで、このデッキではこれを唱えて使おうという考えはない。

 大長と名の付くファイレクシアンたちは、ゲームの開始時に手札にあると公開してその恩恵を受けることが可能だ。《別館の大長》はまさかの打ち消し型の妨害能力を提供!ゲーム中における対戦相手の最初の呪文に追加の{1}を要求、それが払われなければ打ち消すという実に嫌がらせが過ぎる仕様!これで対戦相手の初動を減速させて、序盤に勝るウィニーをより強固に立ち回らせようという魂胆である。

 しかしながらそれだけのために大長を用いると、やっぱりなんだかんだ手札内でのお荷物になってしまうというもの。そこでこのデッキではこれを唱える以外の方法で有効活用する。

 まずは《孤独》、モダンでも大定番のクリーチャー除去。5マナで唱えて運用しても良いが、スピード勝負のこのデッキでは想起で唱えていきたいところ。そもそも唱えるつもりのない大長は喜んで手札から追放するコストにあてがえる。躊躇なく切るべし!

 もう一つ、《孤独》同様にマナに代わるコストとして大長を活かすのが《輝く群れ》。大長と同じく、他のデッキでは見る機会の少なかった1枚だ。

 あなたやあなたのクリーチャーに与えられるダメージX点を、代わりに別の対象に与える。このXをマナで真面目に支払うか、手札から白のカードを追放することでそのマナ総量を換算させるかという代替コスト持ち。つまり大長を追放することで唱えれば、実に7点ものダメージを軽減して他に移し替えてしまう。7っていったら説明するまでもなく滅茶苦茶デカい数字。自身のクリーチャーが戦闘や除去から受けるダメージをまとめて跳ね返してしまえる値だ。対戦相手の本体にそのダメージを与えられるので、プランを大きく崩して詰みへと誘うことができてしまう。

 この群れが最も輝く瞬間は、使用率の高い《激情》がもたらす被害をゼロに抑えられた時。こちらのクリーチャーは無傷で、対戦相手のクリーチャーや本体に4点ダメージ!えげつなさすぎてため息が出るレベルだ。大長か《エメリアの呼び声》を切って投げつけるべし!マニアが稀に用いる激シブテクニックだったが、オンライン上で目立ったことで今後は遭遇機会が増えるかも?

 「白単人間」はただ単に攻めるだけのデッキでなく、人間やファイレクシアンやよくわからない群れなど、あらゆる手段で対戦相手のゲームプランを崩壊させてスピード勝負を完遂させる。その恐るべきラッシュ力、クリーチャー対策を怠ったデッキは簡単にねじ伏せてしまう!《輝く群れ》をケアして、ダメージ以外の除去を意識してみよう!

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