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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アミュレット・タイタン:金属胞子で増える護符(モダン)

岩SHOW

 新ファイレクシアは元々ミラディンと呼ばれた次元である。あらゆるものが金属でできているこの次元が、ファイレクシアへと完成してしまったきっかけは……マイコシンスの能力による。

 マイコシンスは言うなれば金属と菌類の特性が合わさったようなもの。これが飛ばす胞子には、肉体を金属に・金属に生命を与える効果がある。マイコシンスは昔々、アージェンタムという次元を管理していたメムナークがこの次元をミラディンへと作り変えた時から発現していた。メムナークはこの危険な物質の根絶に注力していたが、それはかなわなかった。そしてマイコシンスはミラディンの地表にまで影響を及ぼし、この次元は機械の軍勢が住まう新ファイレクシアへと変貌してしまった……と。

 新ファイレクシアはかつてのファイレクシアを模倣して、この次元を九つの球層からなるものに作り変えた。かつてのミラディンの内核はマイコシンスに覆い尽くされた領域となっている。ファイレクシア人たちがうろつく他の球層とは異なり、このマイコシンスの球層はひっそりと静まり返った空間となっているそうだ。この球層は《マイコシンスの庭》としてカード化された。

 厳かで美しくさえ思えるイラストが印象に強く残るね。無色マナを加える土地であり、1マナ払って好きな色マナを得るマナ・フィルターでもある。しかしこの土地の魅力は最後の能力、アーティファクトのコピーとなるもの。トークンでないものに限り、そしてそのコピー元のマナ総量分のマナを支払わなければならないが、それでも土地が突然アーティファクトに化けるのはゲームに与える影響が半端ないのは容易に想像がつく。『ファイレクシア:完全なる統一』が使用可能になった直後に使用されたデッキは、この土地のポテンシャルを最大限に発揮させたヤバめな逸品!

Rodney Bedell - 「アミュレット・タイタン」
モダン (2023年2月5日)[MO] [ARENA]
1 《霧深い雨林
1 《繁殖池
4 《シミックの成長室
2 《グルールの芝地
2 《セレズニアの聖域
2 《ゴルガリの腐敗農場
1 《ボロスの駐屯地
4 《ウルザの物語
3 《耐え抜くもの、母聖樹
2 《トレイリア西部
4 《マイコシンスの庭
1 《ヴェズーヴァ
1 《魂の洞窟
1 《軍の要塞、サンホーム
1 《処刑者の要塞
3 《
-土地(33)-

4 《樹上の草食獣
4 《迷える探求者、梓
4 《原始のタイタン
1 《耕作する巨躯
-クリーチャー(13)-
4 《探検
4 《召喚士の契約
1 《探検の地図
4 《精力の護符
1 《否定の契約
-呪文(14)-
4 《四肢切断
2 《仕組まれた爆薬
2 《活性の力
4 《防御の光網
1 《ボジューカの沼
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《光輝の泉
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 モダンの「アミュレット・タイタン」デッキだ。アミュレットとは《精力の護符》のこと。戦場にタップ状態で出たパーマネントをアンタップするという、他に類を見ない挙動を見せるアーティファクトだ。

 タップ状態で戦場に出るものといえば、特殊な土地の数々。マナを複数種類、複数個加えられる土地はその代償として出したターンはタップ状態でマナを加えられない、という制限がかかっているが……このアミュレットはそれを取っ払う。中でも相性抜群なのは《シミックの成長室》等の通称「おかえりランド」。これらは色マナ2つを加えるという破格の性能であるが、タップ状態で戦場に出る上に、戦場に出た際に土地を手札に戻さなくてはならない。

 これがアンタップされるということは、手札に土地を戻す能力の解決前にマナを加えられるということである。マナを引き出して手札に戻った土地を《迷える探求者、梓》《樹上の草食獣》などで再度戦場に出す→アミュレットでアンタップしてマナを……と、爆発的な加速を行う。このデッキはそんな貪欲な、土地を用いたコンボだ。

 アミュレットから繰り出すのはデッキ名にもあるもう一つのキー、タイタン。《原始のタイタン》だ。このタイタンも土地をライブラリーからタップ状態で出すものなので、アミュレットがあるとそれらの土地が起きる。

 即ち更なる展開へ繋がっていく。《処刑者の要塞》でタイタンに速攻を与えると、攻撃してさらに土地2枚をゲット。《軍の要塞、サンホーム》で二段攻撃を得たタイタンが華麗にして猛烈にフィニッシュを決める……という、ド派手なムーブをかますこのコンボは愛好家から高い支持を得ている名デッキだ。

 この「アミュレット・タイタン」に《マイコシンスの庭》が合流だ。コピーするのはもちろん、《精力の護符》!複数枚並べばそれだけ土地がアンタップできるので、マナを加える→アンタップ→マナを加える→アンタップ……と信じられないほどのマナを手にすることが可能だ。このアミュレットにマイコシンスが化けることで、おかえりランドからタイタンが超スピードで降臨だ。

 えげつないこのアミュレット×マイコシンスコンボだが、ここにさらにもう1枚の土地が絡むとさらに……というわけで《ウルザの物語》は外せないな。

 マナ・コスト{1}のアーティファクトを戦場に出す=アミュレットへの直行便ということで便利なサーチとして機能しつつ、構築物トークンを展開してサブの勝ち手段として機能するこの英雄譚・土地。持ってきたアミュレットをコピーして構築物のサイズアップを促したり、あるいはアミュレットではなく《探検の地図》を持ってきてそこからマイコシンスに繋げるなど、トリッキーなプレイも可能だ。《トレイリア西部》も実質的に2枚目のアミュレットとして機能するようになったりして、マイコシンスの参入は以前から器用だったこのデッキを寄り高みへと誘っている。

 ミラディンの地表を新ファイレクシアへと変貌させたマイコシンス。モダン環境もファイレクシアの望む金属世界へと化してしまうのか?プレイヤーズコンベンション横浜でもモダンのトーナメントが開催されるので、新環境のモダンは日本国内でも大いに盛り上がるはず。日々胞子の力で変化していく環境に取り残されるな!抗うも同化するも、君次第だ。

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