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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スゥルタイ・コントロール:天使による不死身のマジックショー!(パイオニア&エクスプローラー)
私、岩SHOWはお仕事でマジックの色々なことに携わらせていただいている。いずれもマジックが盛り上がるため、マジック好きな色んな人に楽しんでもらうためのこと。このコラムもそうだね、構築フォーマットにおけるデッキというマジックの面白さが詰め込まれたものを取り上げることで、皆に楽しんでもらえたら本当に嬉しいよ。
他にはトーナメントの実況なんかもさせてもらう機会があるね。真剣勝負の舞台で何が起きているのかを伝えるのは、プロ野球やプロレスの実況を耳にして育ってきた人間にとってはやりがいを感じるし、挑戦でもある。それからイベントの運営とかもね。大きな会場を借りて開催される運営の一スタッフとして、場内のお客さんにとって最高の場を作れるように試行錯誤するのはやりがいがあるよ。
そんなイベント運営に関わっていると、ちょっと面白い瞬間に遭遇したり、同僚がそのような経験をした話を聴く機会が多くなる。それは……
「マジックのイベントって、手品の大会か何かかね?」
僕らプレイヤーだったり日ごろからゲームに触れている人にとっては「マジック:ザ・ギャザリング」という表記を見れば、それは即ちファンタジー世界を舞台にしたカードゲームであるとわかる。でもそうじゃない人たちの立場になってみれば、なるほどマジックって書かれていると即ち手品と思ってしまう方がむしろ自然なことかもしれないね。マジックの大型イベントは公共の施設やそれに隣接するところで開催されるので、近くまで散歩にやってきたような方がフラッと会場を覗きにいらっしゃることが。そして上記のような質問を僕も実際にされたことがある。なんともほっこりする瞬間なんだよな。
手品を観たいと期待して訪れた方には申し訳ないところはあるが、我々が愛するマジックも魔法、魔術を用いた戦いで手品のようなアッと驚く展開を見せてくれることがある。さながらイリュージョンのような動きを見せるデッキもあるぞ。今回はそんなデッキを紹介だ。さあ、リストを見てもらおう。君はこのデッキに潜んだ「マジック」を見破ることができるかな?
4 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《湿った墓》 4 《草むした墓》 4 《繁殖池》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《島》 1 《沼》 1 《森》 -土地(23)- 1 《不屈の神ロナス》 2 《復活したアーテイ》 4 《受難の天使》 -クリーチャー(7)- |
4 《致命的な一押し》 4 《冥府の掌握》 2 《絶滅の契機》 4 《不許可》 1 《至高の意志》 4 《首謀者の収得》 4 《タミヨウの保管》 4 《巨人の護符》 3 《ガイアの祝福》 -呪文(30)- |
-サイドボード(0)- |
フォーマットはエクスプローラー。つまりはパイオニアでも組むことが可能なリストだ。このデッキの意図、読み解けたかな?除去と打ち消しを備え、少ないクリーチャーで勝つスゥルタイ(青黒緑)カラーのコントロールデッキのように見えるが……その時点で同フォーマットでも珍しいデッキではあるのだが、その中でもさらに個性的な、他のデッキではほとんど目にしないような個性的なカードチョイスも目立つ。さあではそれらのカードが織りなすグランド・イリュージョン、種明かしの時間だ。
《受難の天使》は真っ黒ではあるものの、天使の名の通りプレイヤーを庇護する。ダメージが与えられるならそれを軽減して0点にしてしまう。流石は慈愛に満ちた天使……と言いたいところだが、黒だけあってその軽減能力には対価が伴う。肉体の痛みを精神や記憶のダメージへと変換する……つまりライブラリーを切削するのである。その枚数は受けるダメージの2倍!3点受けるなら6枚切削という具合であり、そう聴くと「ライブラリーが一瞬で溶けてなくなってしまわないか?」と不安になる。実際、リミテッド使った時にはライブラリーからカードを引けなくなって負けてしまった経験があり、受難を名に冠するのは伊達じゃないなと唸らされてしまった経験があるよ(笑)。
この少々ひねくれた天使からの恩恵のみを受けるため、このデッキは天使への祝福を用いる。《ガイアの祝福》だ。
これがライブラリーから墓地に置かれた時に能力が誘発し、墓地がすべてライブラリーに戻るという特殊な挙動を見せる。つまり、天使の能力でダメージを軽減して切削→この切削により祝福が墓地に落ちると、切削したライブラリーが修復される。つまりは……ダメージで敗北することがなくなるッ!天使の祝福により不死身の肉体を手に入れて、アグロデッキをはじめとするダメージを勝利手段とするデッキを完封だ!ジャジャ~ン!どれだけゴブリンやデーモンやドラゴンが襲い掛かろうとも、ご覧の通り傷一つつかず不死身であります!
このリストのリスペクトすべきところは、徹底的に《受難の天使》を守る要素を備えていること。天使に護ってもらえるからとあぐらをかいていては、スルッと去って行って奈落の底に落とされてしまうかもしれないからな。
とりあえずは単体除去、対象を取ってパーマネントを破壊や追放しようとしてくる手段から守ってやらねばならない。そこで用いるのが《巨人の護符》。装備しているクリーチャーのタフネス強化と、アンタップである限り呪禁を与えるという除去耐性で天使を守護するぞ。《タミヨウの保管》もまた呪禁を与えるものであり、同時に破壊不能も得られるので対象を取らない破壊系の除去に対しても耐性が得られる。
あとは生け贄を強要してくるものや護符を破壊しようとする呪文や能力を《不許可》《復活したアーテイ》で打ち消し。能力も消せるってのがこれらが選ばれているポイントだね。
天使コンボのパーツサーチとして《首謀者の収得》が採用されているが、このリストはBO1(一本勝負)仕様で作られているので残念ながらサイドボードは添えられていなかった。
せっかくのサイドからも持ってこられるサーチなので、天使の4枚目はサイドに忍ばせるような構築で《屍呆症》などの不測の事態への対応力を高めたいね。その時には除去やアドバンテージ源、天使以外のフィニッシャーなんかを盛り込んでサイドからカードを手札に加える快感を味わっていただきたい。カラーリングを変更して《変わり谷》《高貴なる行いの書》とエクスプローラー及びパイオニア環境のもう一つの天使による不死身コンボを仕込むとか……そんな無茶をしたくなっちまうなぁ!
天使と織りなすマジックショー、災難を受ける展開もあるが……だからこそ挑む価値があるし、成功すれば拍手喝采!レッツトライ!
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