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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ゴブリンデッキ2選!ふわふわとしたところから始まる構築(ヒストリック)
何かを思いついて始める→全く違うところに着地する。これ、あるあるじゃないかい?「あ~○○食べたいなぁ作るか!」と思い立って買い物へ。脳内はそれ一色、ルンルン気分で出かけるも、全く別の食材が安くて質も良いのを見つけてしまい、頭がそれでいっぱいに塗り替えられる。結局それを買って帰り、調理して美味しくいただく……も、あれ、そもそも今日って……と、やり残した感が。マジックでもしょっちゅうあるんだよなぁ。
あのカードを主役にしたデッキを組もう!と思い立ってストレージやファイルを漁りだすも、あぁこれも使いたいなあれも良いなこのデッキもついでに組むとしようとかダラダラやって、最初に組もうと思っていたデッキはどこへやら。でもそれで案外良いデッキが組めて、楽しかったし結果オーライとなれば幸せなことだよな。今回紹介するデッキもそんなストーリーを辿ったデッキをひとつ。
まずスタート地点、《作り変えるもの》《難題の予見者》らエルドラージが『エクスプローラー・アンソロジー2』に収録される。MTGアリーナ専用の特殊再録セットで、これでエクスプローラーのデッキ構築の幅が広がった。
パイオニアで大人気の「緑単信心」「白単人間」「赤単アグロ」などのデッキが一大ブームを巻き起こすが、僕としては上記のエルドラージを使いたい!そんな欲求が高まりに高まる。色々なデッキを作っては回す動画配信を行い、四苦八苦。付け焼刃のデッキではなかなか勝てんのだよなぁ。そこでパイオニアのデッキリストを漁り、《創案の火》を用いた赤単を発見。
《難題の予見者》を搭載しており、《炎の騎兵》など好みのカードも入っている。《鏡割りの寓話》も入っているのでカードパワーでどうとでもなりそうな感じがグッときてコピー。そして回してみるが……どうにも自分にはしっくりこない。近いコンセプトで派生デッキとして《ニクスの祭殿、ニクソス》を用いてマナ加速、《炎の騎兵》ら信心が濃いカードと《モーギスの盲信者》を組み合わせて対戦相手を大ダメージを叩き込むデッキが組みたくなる。で、いざアリーナのデッキ構築画面でカードをバーッと確認。
《ずる賢いゴブリン》《ゴブリンの鎖回し》を採用……となったところで、あれこれゴブリンで信心デッキを作れるんじゃないか?という考えがふつふつと湧いてくる。そうなったらもう止まらないよ、ゴブリン信心を組もう!
とここまでならよくあるかもしれないが、さらに一段階踏み込んだ。《ずる賢いゴブリン》を見ていると、ヒストリック環境のゴブリンデッキを思い出す。懐かしいよなぁと配信しながら語っていると、ヒストリックのゴブリンも組んでみようかという気分が。ニクソスが入ったことで、たっぷりのマナから色々できちゃうんじゃないかなと。そのマナからプレイするのは……やっぱり《上流階級のゴブリン、マクサス》だね。
ということ最終的にヒストリックのゴブリンデッキを組むことに。紆余曲折、ってこういうことなのかね。フォーマットまで変わってしまったよ(笑)。では、まずはサンプルリストを眺めつつヒストリックにおけるゴブリンをおさらいしよう。
14 《山》 2 《冠雪の山》 3 《エンバレス城》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(21)- 4 《スカークの探鉱者》 4 《ずる賢いゴブリン》 3 《人目を引く詮索者》 1 《雄叫ぶゴブリン》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリンの戦長》 4 《ゴブリンの酋長》 2 《ホブゴブリンの山賊の頭》 1 《ゴブリンの鎖回し》 3 《群衆の親分、クレンコ》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(34)- |
3 《アイレンクラッグの妙技》 2 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(5)- |
3 《削剥》 3 《宝石の手の焼却者》 3 《通報の角笛》 1 《ゴブリンの首謀者》 1 《魂標ランタン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 2 《無頼な扇動者、ティボルト》 -サイドボード(15)- |
久しぶりにヒストリックのリストを見たが、ゴブリンはほとんど変わっていなくてなんだか安心した。このデッキは明確なゴールが設けられている。《上流階級のゴブリン、マクサス》!
6マナとゴブリンとしては重めなコストながら、戦場に出た時に彼に仕えるゴブリンのお供を呼び出す。ライブラリーの上から6枚見てその中からゴブリンを全て戦場へ!文字通り爆発的なアドバンテージをもたらすと同時に、一瞬で片が付くフィニッシュ力の高さが魅力だな。ゴブリンは数が並ぶと真価を発揮するカードを中心としたデッキであり、中でも重要なのは《ゴブリンの酋長》《ゴブリンの戦長》ら速攻付与能力を持ったもの。これとマクサスや《群衆の親分、クレンコ》が絡むことで、対戦相手のライフを瞬く間に0にしてしまうのだ。
ゴブリンはクリーチャー主体のデッキであるため、一見アグロのようにも思えるが……実情は少々異なる。自分よりも遅いデッキ相手には軽量ゴブリンを展開して殴り勝つこともできるが、どちらかといえば1枚1枚は非力なカードが戦場に並べ、それらのシナジー(相互作用)で強い盤面を作り上げるコンボやコントロール的な要素を重視したデッキと認識した方が良い(もちろんフォーマットや構築の仕方によってはガンガン攻めるアグロとして組まれることもある)。
ヒストリックのゴブリンはマクサスというゴールに到達することを狙ったコンボデッキなので、《スカークの探鉱者》や《ずる賢いゴブリン》といったマナ加速を用いる。マクサスさえ出せればそれで勝てる!という考えから、使い捨てのマナ加速である《アイレンクラッグの妙技》まで採用されている。4ターン目にマクサス!このムーブは一時期のヒストリックにおける王道であったね。
では、僕が実際にこの2023年1月に作ってみたリストを続けてみていただこう。個人の好みを反映させたもので、マクサスというゴールは共通ながら大きく異なる部分を楽しんでもらえたら幸いだ。
14 《山》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 2 《変わり谷》 2 《バグベアの居住地》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(22)- 4 《スカークの探鉱者》 2 《ゴブリンの罠探し》 4 《人目を引く詮索者》 2 《雄叫ぶゴブリン》 2 《ランドヴェルトの大群率い》 2 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの女看守》 3 《宝石の手の焼却者》 1 《ゴブリンの戦長》 3 《群衆の親分、クレンコ》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(35)- |
2 《ゴブリンの流入結界》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(3)- |
-サイドボード(0)- |
冒頭で触れたようにゴブリンが並べば自然と信心が増えるので、《ニクスの祭殿、ニクソス》でたっぷりとマナを得てやろうという狙いで組んでみた。ゴブリンはダブルシンボルのものも多く、自ずと信心が貯まりやすい。中でも《人目を引く詮索者》は2ターン目に出せて、ライブラリーの上からゴブリンを唱えられるというすごいやつ。
普通に用いてもアドバンテージ源として優秀だが、ニクソスがあればこいつがもたらす展開力を大きくバックアップできる。詮索者はトップの《群衆の親分、クレンコ》や《スカークの探鉱者》の能力も得るので、これらを活かしてハチャメチャなラッシュを実現させたいところだ。
せっかくのヒストリック、MTGアリーナオリジナルのフォーマットなので、紙のカードには存在しないものを使うのもオツなものだ。《ゴブリンの流入結界》はアルケミーで触っても強くて楽しいカードだったので、思わずイン。これもまたマクサスのためのマナ加速であり、酋長を始めとした優秀なゴブリンを継続的に供給してくれる。
ゴブリンは手札が尽きると一気に弱くなる。クリーチャー除去で裁かれ手札も空、毎ターン通常ドローをするだけというゲーム展開になると手数で推すデッキとしては辛い……この弱点を補ってくれる流入結界は、ゴブリン好きとして大いに期待を寄せている1枚だ。
スタートは全く違うデッキを作る予定だったが、出来上がったのはヒストリックのBO1用ゴブリン。今回このふわふわ構築で実感したのは、マジックってフォーマットがいくつもあるのが素晴らしいなと。何が良いかって、一つで行き詰まったら他のフォーマットが待っていてくれるんだよ。今回エクスプローラーでうまくデッキが作れなかったところから、久しぶりにヒストリックをやってみるとこれがなかなか面白かった。一つに固執しなければならないということもなく、色々やったらいいんだよ。
息苦しさを感じたら、構築でもリミテッドでも統率者戦のようなカジュアルフォーマットでも、なんでも息抜きしたら良い。マジックという広い懐の中で、いつまでも「○○デッキ作ろうと思ってたら全く違うのができあがっていた!」という幸せな時間を過ごしたいなと、いうところでそろそろ筆を置こう。
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