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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット・ランプ:2つの石の使い方(スタンダード)

岩SHOW

 『兄弟戦争』リリースから2ヶ月が経過した。それは同時に『ファイレクシア:完全なる統一』のリリースが迫っているということでもある。なんか早かったなぁ~このシーズンは。

 個人的に夢の集大成、マジック的にも壮大な多元宇宙の物語を遡る奇跡的なセットであった『兄弟戦争』。このセットがもたらしたカードの中でインパクトが大きかったのはやはりウルザとなるかな。情報公開時から《護国卿、ウルザ》と《マイトストーンとウィークストーン》が合体することで《プレインズウォーカー、ウルザ》となる……フレイバー的にも最高のデザインで、合体後はめちゃ強というのがたまらない。

回転

回転

 そんなウルザ本人のインパクトに埋もれがちではあったが、時が進むにつれ《マイトストーンとウィークストーン》も結構な強力カードだということが認知されるようになってきた。これは合体を前提としたカードというだけでなく、それ単体で使用してもなかなかやりよる1枚なのだ。

 5マナと決して軽いものではないが、2マナ加えられるのは近年のマナ加速の中でも優秀な部類。アーティファクトを唱えるか各種能力に支払うかと用途が限られる無色マナであるものの、その恩恵をしっかりと受けられる構築をしてやればこの恒久的なマナ加速はスタンダードじゃ並ぶものがないとさえ言えるかもしれない。

 またマナ加速としてだけでなく、2枚ドローかクリーチャーに-5/-5修正かを選ぶ誘発型能力もゲームに与える影響が大きい。手札が増えてマナの使い道を引き込める、あるいはそれらを唱えるまでの時間をクリーチャー除去によって稼ぐ。臨機応変、どんな状況でも無駄にならない素晴らしさ!さすが古代スラン文明の遺物だ。今回はこの伝説のパワーストーン、《マイトストーンとウィークストーン》をウルザと絡ませずに用いるデッキを紹介しよう!

Schiaveto - 「イゼット・ランプ」
Standard Challenge 7位 / スタンダード (2023年1月1日)[MO] [ARENA]
4 《ザンダーの居室
4 《シヴの浅瀬
4 《嵐削りの海岸
4 《廃墟の地
1 《天上都市、大田原
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
4 《
5 《
-土地(27)-

3 《街並みの地ならし屋
4 《瞬足光線の大隊

-クリーチャー(7)-
3 《削剥
2 《兄弟仲の終焉
1 《家の焼き払い
2 《かき消し
1 《否認
1 《本質の散乱
4 《厳しい授業
4 《鏡割りの寓話
4 《勢団の銀行破り
4 《マイトストーンとウィークストーン
-呪文(26)-
3 《絞殺
1 《電圧のうねり
1 《兄弟仲の終焉
1 《家の焼き払い
1 《呪文貫き
2 《軽蔑的な一撃
4 《スランの蜘蛛
2 《金線使い、サヒーリ
-サイドボード(15)-
Magic: The Gathering Online より引用)

 

 無色2マナをどう使うか?シンプルに考えよう、デカいアーティファクトを唱えりゃいいんだよ!そんな結論に至った、スタンダードの「イゼット(青赤)ランプ」デッキだ。

 スタンダードをぐるっと見回してみれば、破壊の化身が。《街並みの地ならし屋》!8/8トランプルと3回攻撃すりゃ対戦相手をノックアウトできる、超巨大構築物のお出ましだ。

 これを唱えた際、あるいは攻撃した時にパーマネントを1つ破壊するという、ただデカいだけじゃなくコントロール力にも優れたパワーカードだ。破壊されたプレイヤーはパワーストーンを1つ得るが、大型クリーチャーや強力な英雄譚などをバキッと処理できるのであればパワーストーンをプレゼントするなど取るに足らないことだ。

 それから、地ならし屋を超えるマナ総量の《瞬足光線の大隊》!

 試作でなら赤マナ含む5マナで2/2トランプル速攻が3体。合計すれば6/6換算なのでマナに見合ったコスパと言える。これが正規の{9}という重い重いコストなら4/4にサイズアップ!いきなり12点分の打点でゲームを1枚でひっくり返すやべーやつ。これらを用いるために《マイトストーンとウィークストーン》を中核とした赤いデッキがスタンダードで一つの勢力を築いている。

 赤である理由は瞬足光線を試作で唱えるため、そしてパワーストーン以外のマナ加速として《鏡割りの寓話》を用いるため。スタンダードで赤とくればやっぱりこのカードに白羽の矢が立つというもの。

回転

 これがもたらすゴブリン・トークンで攻撃して宝物を生成し、重たいストーンの設置やその先のゴールのための足掛かりとしよう。手札に複数枚きたストーンや重量アーティファクトなど唱えきれずにお荷物になりそうなカードも捨てて、より軽いカードと入れ替えることができるのも嬉しい。

 さらにコントロール用に《削剥》や《兄弟仲の終焉》など赤い除去呪文を搭載して相手のゲームプランを崩していく。重いカードを振り回すタイプのデッキは、こういった軽くて使い勝手の良いカードをしっかり採用することも大事だと、肝に銘じておこう(デカいカードを山積みしがちな自分にも言い聞かせる)。

 赤単ではなく青も含まれているのは、寓話と共にストーンの運用を安定させる《厳しい授業》のため。3マナ2枚ドロー、その後1枚捨てるので手札が増えはしないのだが、ドローはドローで嬉しいもの。さらにこれだけでなくパワーストーン・トークン生成のオマケ付き。マナ加速にドローが付いているのであればそりゃ強いよなと。

 インスタントでもあるので、青の得意とする打ち消し呪文を構えつつ、それらの出番がないようなら授業を受けて大技への準備を行う。大型アーティファクトの運用には専門知識が必須だよ。

StormGuyisme - 「グリクシス・ランプ」
Standard Challenge 6位 / スタンダード (2023年1月1日)[MO] [ARENA]
4 《ザンダーの居室
4 《硫黄泉
3 《シヴの浅瀬
2 《地底の大河
4 《憑依された峰
3 《嵐削りの海岸
4 《難破船の湿地
1 《天上都市、大田原
12 《
-土地(27)-

4 《廃品置場の天才
3 《街並みの地ならし屋
4 《瞬足光線の大隊

-クリーチャー(11)-
3 《喉首狙い
3 《削剥
4 《厳しい授業
4 《鏡割りの寓話
4 《勢団の銀行破り
4 《マイトストーンとウィークストーン
-呪文(22)-
4 《強迫
3 《軽蔑的な一撃
3 《切り崩し
3 《兄弟仲の終焉
2 《ファイレクシアの肉体喰らい
-サイドボード(15)-
Magic: The Gathering Online より引用)

 

 こちらは赤青にさらに黒を足したリスト。黒によってクリーチャー除去の確実性は上昇。そして《廃品置場の天才》、これが激シブチョイス!

 3マナ2/2でパワーストーンを引っ提げてやってきて、デメリット能力はなし。3ターン目にこの天才、続く4ターン目に《マイトストーンとウィークストーン》という安定感のある必勝パターンを盛り込んでいるってことだね。色を足すということはリスクを背負うものではあるが、2色のリストでも《ザンダーの居室》を採用しているので大きくマナ基盤が変わる……という程でもないのかもしれない。

 超古代のおそるべき文明が残したオーパーツ的な存在、《マイトストーンとウィークストーン》。《護国卿、ウルザ》とセットで用いても良し、単体でも今回紹介したようなデッキが組めて良し!パワフルなアーティファクトを使いこなして、残りわずかとなった『兄弟戦争』シーズンのスタンダードを最後まで堪能しよう。その石をどう使うかは君次第!

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