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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アゾリウス・エンチャント招来:超重量級カード、どう使う?(エクスプローラー)

岩SHOW

 新年を迎えてすぐにレガシーのリモート対戦会を行ったことは先日述べた通り。実はこの夜は年越し直前に、もう一つ別の対戦会も行っていた。そちらはMTGアリーナを用いたもの。やっぱり家にいて、特別な環境・器具を用意せずとも気軽にオンライン対戦が出来るのはアリーナの魅力だ。エフェクトなどもあって観戦していて盛り上がるというのも配信映えするしね。参加者に画面共有してもらう形で、それを実況しながら2022年の締めくくりとして楽しい時間を過ごしたものだ。

 フォーマットはエクスプローラー、2022年に始動したフォーマットであり、テーブルトップ(紙のマジック)のパイオニアを目指してカードが追加されていく特殊なフォーマットだ。段々過去のセットに遡っていくことで現代のパイオニアへと辿り着くという、なんだか不思議な構造が面白いね。パイオニアを遊びたいが古いセットのカードを集めるのが難しかったり、遊べる環境が物理的に近くにないというプレイヤーにとって、アリーナで気軽に遊べるパイオニアっぽいフォーマットがあるというのは嬉しい話。2023年もカードが多数追加されてよりパイオニアに近づいてくれることも願って、大晦日の夜に対戦会を開催した次第だ。

 現エクスプローラーで強いデッキとなると《ニクスの祭殿、ニクソス》を用いるランプデッキ「緑単信心」、スピードなら他を圧倒する「白単人間」、受け身なデッキであれば「アゾリウス(青白)コントロール」、そしてオールマイティ「ラクドス(黒赤)ミッドレンジ」といった面々。パイオニアとも共通のデッキ分布というところかな。ただ、大晦日の対戦会に集ったデッキにはこれらは見当たらなかった。各々が独自チューンのデッキを持ち込んでくれて、新鮮な戦いをフィーチャーマッチで堪能することが出来たのだ。

 その中の一つに、僕の一言がきっかけのデッキがあった。「《大いなる歪み、コジレック》をエクスプローラーで使いたい」というちょっとした欲求だ。

 このカードは無色マナを要求する10マナと非常にハイカロリーで唱えるのが困難なものだが、唱えることさえできれば圧倒的なドローと打ち消しの嵐という恍惚の表情になること不可避なゲーム体験をもたらしてくれる魅惑の1枚。これをどうにか使いたいなと……いうところで「《報復招来》で《全知》をリアニメイトして、そこから唱えるのはどうか」という意見が。それを目にした時は、確かに唱えられはするが、いくらなんでも夢コンボ過ぎないか?とそのコンセプトでデッキを作ろうと動くことはなかった。

 そして迎えた大晦日。そのアイディアを提案したプレイヤーが持ってきたデッキは、まさしくその《報復招来》デッキだ。フィーチャーでも招来→全知→《絶え間ない飢餓、ウラモグ》と大技が決まって大いに盛り上がった。なんだなんだ、字面で見るよりワクワクするデッキじゃないか。御見それしましたと、提案者に改めてナイスアイディアと賞賛の言葉を贈らせていただいた。

 イベントが終わっていざデッキリストを見ると、作り手の考えが伝わってくる。《報復招来》の機体に+1/+1カウンターを置く効果を活かすためにドロー源は《勢団の銀行破り》を採用していたり、《願いのフェイ》で《全知》後に唱える爆弾を持ってきたり……コジレック&ウラモグ以外にも《ファイレクシアへの門》を決め手にしていたりと面白い構築だった。

 ただ細かいカードの噛み合いがもう少しスマートにできそうな気もしたし、元のリストが持つ、構えて戦うアゾリウス・コントロールのようなスタイルとはまた違ったコンセプトでこのコンボを味わえるデッキはないかと模索してみた。今回はそんな自作デッキを紹介させていただこう。

岩SHOW - 「アゾリウス・エンチャント招来」
エクスプローラー (2023年1月12日)[MO] [ARENA]
4 《神聖なる泉
4 《アダーカー荒原
4 《さびれた浜
3 《連門の小道
1 《啓蒙の神殿
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
5 《平地
2 《
-土地(25)-

1 《大いなる歪み、コジレック
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ

-クリーチャー(2)-
3 《至高の評決
1 《告別
3 《一時的封鎖
2 《厳粛
2 《九つの命
4 《サメ台風
4 《メレティス誕生
4 《永岩城の修繕
2 《意味の渇望
4 《報復招来
2 《全知
2 《多元宇宙と共に
-呪文(33)-
1 《至高の評決
1 《ポータブル・ホール
3 《霊気の疾風
3 《神秘の論争
2 《ドビンの拒否権
2 《安らかなる眠り
1 《九つの命
1 《告別
1 《厳粛
-サイドボード(15)-

 コジレックとウラモグのコストを踏み倒す《全知》および《多元宇宙と共に》がエンチャントであることに注目して構築してみた。これらを《意味の渇望》で捨てることができればお得にコンボを成立させられるなと。なので、他のデッキパーツもエンチャント成分を多めに。特に《サメ台風》はサイクリングで自ら墓地に落とせて、かつ《報復招来》で釣り上げても強いがっちり噛み合った1枚だ。

 それから《厳粛》と《九つの命》のコンボも搭載。これが決まれば《厳粛》を破壊する手段をメインから持っていない赤単などのアグロデッキ相手に勝ちが約束されたようなものだ。《全知》《多元宇宙と共に》からこれらを展開して勝つというのも気分が良いものであるぞ。

 《報復招来》は白マナが4つも必要というガチガチのマナ拘束が唱える際にネックになる。なので《メレティス誕生》《永岩城の修繕》と《平地》を集めるエンチャントも採用している。

 どちらもブロック役を用意してくれて、マナの安定化と共にライフを保つ役目も兼ねてくれると期待してのチョイス。特に修繕はⅡ章の能力で手札を捨てられるので、これで《全知》やらエルドラージやらを埋めるというコンボ補佐の役目も兼ねてくれる。コンボデッキを組む際にはこういう色んな役目を兼業してくれるパーツを探してみると良い結果に繋がると思うよ。

 実際にプレイしてみると……エクスプローラーは他の墓地利用デッキも多いこともあって、コンボはそう決まるものじゃないな(笑)。でもコントロールデッキとして生き延びつつ着実に土地を伸ばして《多元宇宙と共に》を普通に唱える→そこからコジレックや《全知》という形で勝つパターンの方が多くて、それはそれで爽快感がある。コジレックを唱えた時の興奮と、戦場に降り立ってからの支配力の高さは一度は経験していただきたいねぇ。

 どうやってこのパワフルなエルドラージをはじめとする超重量級カードを使うか?そういう視点からエクスプローラーを極める2023年を目指してみようかという気になってきたので、今後も良いデッキを見つけたり思いついたりしたらここで紹介させてもらうよ。もちろん、君のデッキも教えてくれよな!

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