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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

エクスプローラーの参考に! 赤単アグロ3選ッ!(パイオニア)

岩SHOW

 これを書いているのは『エクスプローラー・アンソロジー2』に収録されるカードが公開され、環境の変化に向けてプレイヤーたちが脳内でデッキ構築を始めている頃合い。

 MTGアリーナの独自フォーマットであるエクスプローラーは、そのゲーム内にパイオニアを導入するためのステップとして設けられたもの。いきなりパイオニアを再現しようとすると膨大なカードが追加されることになり、いろいろとパニックも起こりそうなので、「アンソロジー」という形式での特殊再録、そして「リマスター」系のセットにて、過去のカードが少しずつではあるが確実に追加される形式で運営されている。

 待望のアンソロジー第2弾がこの12月にリリースということで、アリーナプレイヤーの皆は年末はエクスプローラー三昧と考えているんじゃないかな?

 このアンソロジー第2弾に収録してほしいなと僕が以前から熱望していたカードは……《僧院の速槍》!……だったのだが、これはまさかの『兄弟戦争』に収録となり、特殊セットの登場を待たずしてアリーナ上にて使用可能となった。

 嬉しい誤算だったが、ではこうなると次のアンソロジーには赤いアグロデッキをさらに後押しするカードを望んでしまうところ。それに応えるかのように、発表されたのは《大歓楽の幻霊》!

 2マナでパワー2と殴るデッキのクリーチャーに求める最低限の品質を持ちつつ、低コストの呪文を唱えたプレイヤーにダメージを与える能力を併せ持つ。これのおかげですかさず除去されたとしてもカード1枚分の仕事としてダメージを与えることが可能で、変に生き延びてしまってはブロック役を出したりドロー呪文を唱えたりしている相手をザクザクと刻んで追い詰めていくプレッシャー。非常にいやらしい能力でパイオニアの「赤単アグロ」を支えている、2マナ圏の顔と言える存在だ。

 それから同セットに収録される《引き裂く流弾》も赤いデッキユーザーにとっては朗報。

 11月末に開催されたパイオニアの大型イベントで、サイドボードにて圧倒的な採用率を誇った1マナ除去だ。ダメージを与えられるのは白か青のクリーチャーと限られるものの、たった1マナで4点というダメージの大きさと「打ち消されない」という一文。非常に使い勝手が良く、これらの色でクリーチャーを用いるデッキを相手にしたら絶対にサイドインするという用心棒的存在だ。

 これら2枚が加わることでエクスプローラーの赤単はパイオニアのそれと比べて遜色のないものが組めるようになる。ではどんなリストでランク戦に挑めばよいか?

 今回はパイオニアの赤単のリストを3つ紹介しよう。細かな差ではあるが、その違いが各々のデッキに個性をもたらしている。君の好みのリストがあることを願って、それじゃあ紹介いってみようッ!

Alejandro Sepulveda - 「赤単アグロ」
South America Magic Series - Regional Championship (Final Regional Dec 2022) 優勝 / パイオニア (2022年12月3~4日)[MO] [ARENA]
12 《
4 《ラムナプの遺跡
2 《バグベアの居住地
1 《エンバレス城
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《屍肉あさりの地

-土地(21)-

4 《僧院の速槍
4 《大歓楽の幻霊
3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《砕骨の巨人
4 《暴れ回るフェロキドン
3 《熱烈の神ハゾレト

-クリーチャー(22)-
2 《棘平原の危険
4 《熊野と渇苛斬の対峙
4 《火遊び
4 《稲妻の一撃
1 《髑髏砕きの一撃
2 《エンバレスの宝剣

-呪文(17)-
3 《引き裂く流弾
2 《魂標ランタン
2 《乱動する渦
3 《引き裂く炎
3 《発火の力線
2 《反逆の先導者、チャンドラ

-サイドボード(15)-
Melee より)

 

 まずは「South America Magic Series - Regional Championship」にて優勝したリストから。203名のトップに立ったのが「赤単アグロ」というのは、愛好家にとってもグッとくる結果だろう。

 このリストの特徴は文字通り最大の武器である《エンバレスの宝剣》。

 攻撃クリーチャーの数だけコストが軽減され、装備しているクリーチャーはトランプルと二段攻撃という、ブロックを文字通り貫通しての大ダメージを弾き出す装備品だ。

 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》は1枚で頭数を2体分稼げるので、伝説であっても3枚という採用枚数に至っているのだろう。

 《暴れ回るフェロキドン》がメインから4枚という思い切った構築は、おそらくは《黙示録、シェオルドレッド》が立ち塞がった際を想定してのもの。

 タフネス5という硬さと接死も無視して攻撃できるかもしれない威迫にかけて、そしてにらみ合いになった際に自動的に毎ターンのドローで回復されて逃げ切られることも防ぐための決意のフル投入だ。

 実際にシェオルドレッドを用いる「ラクドス・ミッドレンジ」は最多勢力であり、それを前にしてフェロキドンは暴れ回ったはず。ついでに《吸収》《放浪皇》での回復や《正義の戦乙女》《翼の司教》などを用いる天使デッキなどへの対策にもなればラッキーというところだ。

 クリーチャーを重視するエンバレス型でありながら《バグベアの居住地》は2枚に抑えて《ラムナプの遺跡》は4枚という構成で成功を収めているのも興味深い。

 バグベアの3ターン目以降に抱えるデメリットを重く見たからなのだろうか。固定観念で「クリーチャー並ぶバグベア優先!」とやってしまうそうだが、それに縛られずに最適な土地チョイスを決断した結果の優勝……なのかもしれないね。

Kazuto Fukutoku - 「赤単アグロ」
プレイヤーズコンベンションオープン 2022 supported by 日清食品 16位 / パイオニア (2022年11月26~27日)[MO] [ARENA]
13 《
4 《ラムナプの遺跡
4 《バグベアの居住地
1 《反逆のるつぼ、霜剣山

-土地(22)-

4 《僧院の速槍
4 《損魂魔道士
4 《大歓楽の幻霊
4 《砕骨の巨人
3 《ゴブリンの鎖回し
2 《熱烈の神ハゾレト

-クリーチャー(21)-
2 《棘平原の危険
4 《熊野と渇苛斬の対峙
4 《火遊び
4 《稲妻の一撃
3 《勝負服纏い、チャンドラ

-呪文(17)-
4 《暴れ回るフェロキドン
3 《引き裂く流弾
4 《焙り焼き
2 《削剥
2 《未認可霊柩車

-サイドボード(15)-
Melee より)

 

 こちらは「プレイヤーズコンベンションオープン 2022 supported by 日清食品」、参加者766名中の16位に入賞したリスト。《勝負服纏い、チャンドラ》を3枚採用して、アドバンテージ源を導入した形だ。

 手札切れを起こしてもチャンドラがめくるカード次第では希望が繋がる、スタミナも重視したアグロデッキだ。

 チャンドラで遅いデッキ相手に優位に戦えるようになるのと同時に、「白単人間」のようなデッキ相手に強い《ゴブリンの鎖回し》を備えることでより相手を選ばずに戦える柔軟さを備えたチューニングが施されている。

 特に鎖回しは《損魂魔道士》と合わさることでダメージではなく-1/-1カウンターをばらまくことになり、サイズで勝っている相手も強引にサイズダウンさせて攻撃を仕掛けることが可能になっている。

 損魂は1マナでタフネスが2ある果敢持ちで、《熊野と渇苛斬の対峙》とも好相性であるため見た目以上の打点として1ターン目から活躍してくれる。1マナ圏の候補に困ったらコイツを採用しておけば間違いなし!

SAMURAIDRIVE - 「赤単アグロ」
Magic Online Pioneer League 5連勝 / パイオニア (2022年12月4日)[MO] [ARENA]
13 《
4 《バグベアの居住地
4 《ラムナプの遺跡
1 《反逆のるつぼ、霜剣山

-土地(22)-

4 《僧院の速槍
4 《損魂魔道士
4 《大歓楽の幻霊
4 《砕骨の巨人
4 《ゴブリンの鎖回し

-クリーチャー(20)-
4 《熊野と渇苛斬の対峙
4 《火遊び
2 《棘平原の危険
4 《稲妻の一撃
2 《勝負服纏い、チャンドラ
2 《反逆の先導者、チャンドラ

-呪文(18)-
2 《変わり谷
4 《解き放たれた狂戦士
2 《引き裂く流弾
3 《焙り焼き
2 《丸焼き
2 《未認可霊柩車

-サイドボード(15)-
mtgo.com より)

 

 こちらはMagic Onlineのリーグで赤単にて全勝を続ける職人のリスト。2つ目のリストと似ている形ではあるが、上記の2つとの違いは《熱烈の神ハゾレト》の不採用、その枠に《反逆の先導者、チャンドラ》を採用している点。

 よりアドバンテージが獲得できる粘り強い攻めを狙った構成だ。クリーチャー除去だけでは攻め手を失わないように意識してカードを選ぶことが、現在のパイオニアにおける赤単の重要課題というところかな。

 こちらは《ゴブリンの鎖回し》も4枚でより盤面の掌握も意識した形に。《鎖鳴らし》などのタフネス1が戦場に居座ることは絶対に許さない。

 また、サイドには《変わり谷》2枚が採用されているのも注目ポイント。

 赤単はサイド後に速度を落とし、少し重めのカードを増量してより安定感・カード1枚1枚のパワーを重視するサイドボーディングを行うことが比較的多くみられるアーキタイプで、過去のさまざまなフォーマットでサイドに追加の《》を搭載したリストを目にしてきたものである。

 パイオニアであればその追加の土地も攻撃要員になる《変わり谷》を採用すれば良いじゃないかというスマートなチョイス。《至高の評決》などで盤面が崩壊した後も《バグベアの居住地》とともに攻勢を維持するという重要な役目を担っている。

 この名カードも『エクスプローラー・アンソロジー2』に収録されるので、赤単を使う人はサイド候補として試してみてはいかがだろうか。

 《大歓楽の幻霊》《引き裂く流弾》《変わり谷》……アンソロジーで得るものが多いエクスプローラーの赤単。《僧院の速槍》とともにパイオニアに向かっていく環境を突き進む、攻めるデッキの代表格として活躍することに期待が高まるね。

 効率よく、かつ柔軟に。簡単なデッキに見えてプレイングもアドリブ力を求められるもので奥が深く、マジックの地力を上げてくれるトレーニングにもなるはず。プレイするデッキに迷ったなら、爽快な赤単にしようぜ!

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