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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
白単コントロール:新型《剣を鍬に》登場!(スタンダード)
カードの愛称・俗称を知るのは有意義なことだ。
プレイヤー同士の会話で新カードについてやり取りする際に「新しい○○どう思う?」とスムーズに意思疎通が取れる! それに古き時代から使われているカードを知り見識を深めることは純粋に楽しいこと。
というわけで不定期で当コラムでもカードのニックネームを紹介している。この前フリをするってことは今回もひとつ取り上げるってことなのはバレバレだね。
では今日皆さんに知っていただくカードは……《剣を鍬に》!
マジック最古の白いクリーチャー除去である。たった1マナでクリーチャーを追放するインスタントで、いまだにレガシーなどでは現役の優秀な除去だ。
ひとつデメリットとして、そのクリーチャーのオーナーはそれのパワー分だけのライフを得ることになる。パワー6を追放すれば初期ライフの約3分の1が回復するということで、結構な数値になる。
マジックを始めたばかりの頃はライフの推移が気になるもので、回復を重く見たりライフの損失を恐れがち。なので、この《剣を鍬に》も一見デメリットが大きく見えるものだが、多少回復されたところでまた攻撃して減らしてしまえば、大した問題ではない。
そもそも追放するクリーチャーがそもそもパワーが低いとか、ライフを減らして勝つことを狙わないデッキで用いればデメリットなんて無になってしまうことだろう。むしろ自分のクリーチャーを対象にして回復するなんて使い方もできてしまう。
そんな《剣を鍬に》の愛称、最も広く使われているのは「ソープロ」だな。英名の発音「ソード・トゥ・プロウシャーズ」を縮めた日本特有の略称である。
また日本語表記を「けんをすきに」と呼んでそれを縮めて「けんすき」と呼ぶ人も少なくなかった。かつてはカード名にルビが表記されていなかったので「つるぎをすきに」という正式な名称をすべてのプレイヤーが認知しているわけではなかったのだね。「けんをくわに」と呼んで「けんくわ」勢もいたりしたのも懐かしい。
海外ではイニシャルから「StP」と表記されることもあり、黎明期から1マナ除去の最高峰として愛されたカードらしくさまざまな呼び名があり、これの後継としてデザインされたカード達は「新ソープロ」「今回のソープロ」と形容されてきたというわけだ。
そんなソープロの最新モデルが実は『兄弟戦争』に含まれている。ではそんなカードを含んだスタンダードのデッキを見てみよう!
17 《平地》 1 《皇国の地、永岩城》 2 《メカ格納庫》 4 《道路脇の聖遺》 -土地(24)- 3 《神憑く相棒》 2 《野心的な農場労働者》 3 《選定された平和の番人》 2 《聖域の番人》 -クリーチャー(10)- |
4 《軍備放棄》 2 《邪悪を打ち砕く》 3 《婚礼の発表》 2 《永岩城の修繕》 3 《告別》 4 《勢団の銀行破り》 2 《電圧改竄メカ》 4 《放浪皇》 2 《華やいだエルズペス》 -呪文(26)- |
2 《第三の道のロラン》 2 《邪悪を打ち砕く》 3 《痛烈な一撃》 3 《集団失踪》 4 《未認可霊柩車》 1 《生けるレガシー、カーン》 -サイドボード(15)- |
白単色のコントロール要素を重視したデッキだ。このデッキに搭載された新ソープロこそ《軍備放棄》。
特定の基本土地タイプを持ったカードを多くコントロールしていればそれだけボーナスを得られるアンコモン・サイクルの白を担当する1枚で、自身が平地を多くコントロールしていればその分マナ総量の大きいクリーチャーを除去できる、1マナのソーサリーだ。
しっかりと追放するものであり、そのコントローラーのライフは3点回復するという、インスタントではないがソープロイズムを受け継いだ1枚にデザインされている。アートも剣を捨てて農工具の鎌を手にしようとしているもので、これぞ最新のソープロと呼んで差支えのない逸品!
そんな《軍備放棄》をより強く扱うための白単色デッキ、というところだね。
《軍備放棄》が加わったことで1マナ圏の手堅さが大きく上昇。それ以外のマナ域には《邪悪を打ち砕く》《婚礼の発表》《放浪皇》と定番のムーブが揃っていたので、まさしく待望の1枚がやってきたというところ。
平地のカウントを増やす《野心的な農場労働者》《永岩城の修繕》は、マナを着実に伸ばして《告別》《聖域の番人》というコントロールにとってのひとつのゴールに到達することをガッチリサポートしてくれる。
白単色のこのようなアプローチのコントロールは前環境より存在していたが、今環境ではより対応力が上がったもので戦うことができるようになったぞ。
このリストの特徴的な部分は機体周りのカードの採用だ。あらゆるデッキで活躍する《勢団の銀行破り》に加えて《電圧改竄メカ》を大胆に採用。
おそらくこれは《放浪皇》をはじめとするプレインズウォーカーを強く意識してのチョイスだろう。それ以外のパーマネントは《告別》で流せるので、この改竄メカの能力でダメージを飛ばしたり威迫とパワー5を活かして攻撃することでプレインズウォーカーという厄介なパーマネントを処理しようという試みだ。もちろんクリーチャーを除去したりブロックする役目も担えるので相手のデッキを選ばずに働いてくれる。
この機体をうまくクリーチャー化させるために《メカ格納庫》を採用したり、アーティファクトとエンチャントが並ぶ機会が増えるので《道路脇の聖遺》で2枚ドローを狙ったり……
これらの遊び心あふれた土地も単色デッキだからこそ余裕をもって運用できるというのはあるね。単色って選択肢が狭まるだけじゃないんだぜ。
《剣を鍬に》から《軍備放棄》まで。30年の歴史を感じる新ソープロ、愛称も正式名称も両方覚えて使いこなすのがマジック通!
除去が強化された白いコントロールデッキ、《ラフィーンの塔》など平地タイプを持った多色土地を積んだデッキとして組むのも楽しそうだ。それぞれに思いついたデッキを形にしてみてね!
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