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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
Wild Deck 野生大発見!!:ゴブリンのワイルド兵器、ベルチャー(ヒストリック)
毎週金曜日はクールなデッキをお届けする「今週のCool Deck」をお届けしておりますが、今週は番組を変更して「Wild Deck 野生大発見!!」をお楽しみください。
こんにちは! 多元宇宙の様々なワイルドを探すお時間がまたやってきました。お相手は多元宇宙の探検家、ショーイワです。
今回僕が調査するのはゴブリンの生態です。彼らは多元宇宙のあらゆる場所に住んでいる! ゴブリンが住めない次元はないといっても過言ではないほど、この生き物の適応能力は高いのです。一般的には知性は低く、常に食べ物を探してうろついている野蛮な種族である認識が強いのですが、中には高度なテクノロジーを使いこなし、独自の文明を築き上げて人間を支配しているものだって存在します。かつてのファイレクシアは遺伝子操作してより狂暴なゴブリンを生みだしたりもしていました。
このゴブリンという種族の象徴的なアイテムが《ゴブリンの放火砲》です。ほら、ここに一般的な放火砲の設計図がありますよ。
このゴブリンの用いる兵器はミラディン次元の歩脚が付いたデザインが広く認知されています。金属が豊かで加工技術が進んでいるミラディンならではのもので、他の次元のゴブリンはありあわせの材料でもっと素朴な大砲を作ります。これはこれでう~ん、ワイルド!と言いたくなってしまう魅力がありますね。
この立派な大砲にこめる弾は……石・枯れ木・鉱物などの自然物、虫や魚や鳥に頭蓋骨などの動物由来のもの、はては人家から略奪してきた品々に自分たちの道具、《Black Lotus》にゴブリン自身……詰められるものは何でも詰め込んで、強引に砲撃しようという恐ろしい兵器です。
彼らはこの放火砲を使って他の種族や同族の住処を爆撃し、生きるために必要な食料や……どうでも良いピカピカした石などを手に入れるのです。
この放火砲はカードとしてはゴブリンらしくランダム性が絡むものとしてデザインされました。起動すると、ライブラリーを上から公開していって、土地がめくれればそこでストップ。そこまでに公開したカードの枚数分のダメージを任意の対象に与える、その土地が山タイプを持つならダメージは倍!と、どんな色のデッキでも使えるけれどもゴブリンらしく赤いデッキならなおよしというものです。後先を顧みないゴブリンの生きざまをあらわすかのようなギャンブル性の強いカードで、10点以上のダメージを与えることもあれば0点という悲しい結果も……。
このゴブリンが作った破壊力の高い放火砲、それを知恵を用いてより正確に運用しようとしたのが我々人類です。
放火砲が土地がめくれてストップするのであれば、めくれないようにすればいい。そんなシンプルな考えから用いられたのが《マナ切り離し》。
これでライブラリーの中の土地カードをすべて追放すれば、放火砲を起動して対戦相手に大ダメージが与えられるというワイルドなコンボ! さらに《ゴブリンの徴募兵》でライブラリーのゴブリンを上からズラッと積み上げてからファイア!これらの一撃必殺コンボデッキは放火砲のファンを大いに増やしました。
後にレガシーでは《土地譲渡》を用いてデッキに1~2枚だけの土地を持ってきて1ターン目にぶっ放すことを狙ったワイルドすぎるデッキも作られました。これらの活躍から放火砲自身とそれを用いるデッキはその英名から「ベルチャー」と呼ばれ親しまれてきました。
さあ、見えてきました。あそこにゴブリンの集落がありますね。情報ではここでもベルチャーが作られているとか……あ、あれだ! ほら、見えますか? ベルチャーの新しいリストが!!
-土地(0)- 4 《エルフの神秘家》 4 《金のガチョウ》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《よろめく怪異》 4 《楽園のドルイド》 4 《絡みつく花面晶体》 4 《カザンドゥのマンモス》 -クリーチャー(28)- |
4 《思考囲い》 4 《命取りの論争》 4 《悪魔の意図》 2 《バーラ・ゲドの復活》 2 《ペラッカの捕食》 4 《ハグラの噛み殺し》 4 《変わり樹の共生》 4 《アガディームの覚醒》 4 《ゴブリンの放火砲》 -呪文(32)- |
これはヒストリック環境において作られた新しいベルチャーの仲間です。
ご覧の通り土地は0枚! う~ん、ワイルド! 『ゼンディカーの夜明け』のモードを持つ両面カードで、第2面が土地のものを大量に採用。これにより土地・カードは1枚もデッキに入っていないのに土地をプレイできるという摩訶不思議なデッキを組むことができます。土地が入っていないライブラリーを求めるベルチャーにはこの上ないデッキ!
現在この構築を施したベルチャーデッキがモダンで活躍中ですが、それのヒストリックバージョンが登場したというわけです。
『兄弟戦争』のパックには通常のセット収録カードに加えて、旧枠版アーティファクトが封入されています。これらの特殊なカードはスタンダードでは使用できず、それが元々使用可能なフォーマットでのみ使うことができます。
MTGアリーナではこれらのカードは(《ミシュラのガラクタ》を除いて)すべてヒストリックで使用可能で、この枠から《ゴブリンの放火砲》が出ることからこのデッキが成立したというわけです。ヒストリックはアンソロジーなどの特殊な再録が発生する環境なので、いつかベルチャーみたいなデッキが組めるかなとかうっすら思ったことはありましたが……それが現実のものになると「う~ん、ワイルド!」しか言葉が出てきませんね!
黒と緑の2色で組まれ、このカラーリングの両面カード以外に搭載されているのはマナ加速。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》といったエルフなど森の仲間たちがその役目を担っています。どうやらゴブリンとは共生関係にあるようですね。
《よろめく怪異》を《命取りの論争》と組み合わせることで宝物を大量に確保しつつ、ドローを進めてベルチャーを確保。
ベルチャーを探す手段は黒にもうひとつ、《悪魔の意図》!
2マナで何でも持ってこれる万能ワイルドサーチ呪文、まさかこのタイミングで帰ってくるとは! スタンダードやパイオニアへの影響を考えていましたが、よりカードが軽くて生け贄にしても痛くないクリーチャーが揃っているヒストリックであれば、相当にワルなことができるでしょう。
今回はワイルドなベルチャーの新型をご紹介しました。《ゴブリンの放火砲》以外にも旧枠版アーティファクトはヒストリックに影響を及ぼすカードが盛りだくさん、皆さんも手に取ってデッキを組んでみましょう。じゃあ、次のWild Deckに出会うまで……ごきげんよう!
――放火砲が発射される光景とカオスなBGMが流れて終了――
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