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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
パイオニアを知ろう! 緑単信心編(パイオニア)
世界選手権、無事終了。年内も残すところあと2か月弱。マジックプレイヤーが今注目すべきは……「プレイヤーズコンベンション愛知2022」!
ラスベガスでのマジック史上最大の宴の次は、日本に帰ってくるマジックの祭典! 11月26・27日、楽しみしかねぇ。
2年以上も開催されなかった日本国内でのマジック大型イベント、あらゆるプレイヤー層が楽しめるお祭りがいよいよ開催だ。
メインイベントは招待制の「チャンピオンズカップファイナル」、これに出場可能な選手はもう決定しているが……祭典はそれだけじゃない、場内ではこれでもかと言わんばかりにトーナメントやイベントが開催される予定だ。
中でも注目は「プレイヤーズコンベンションオープン 2022」! 「チャンピオンズカップファイナル」と同じパイオニアで開催され、立ち位置としてはかつてのグランプリ的なイベントになる。賞金およびその先のハイレベルなトーナメントへと参加権利と、そして優勝者としての誉れとを手に入れられるビッグトーナメント。パイオニアが好きなプレイヤーにはぜひとも参加して、競技マジックの熱さを体感してほしいところだ。
そんなわけで当コラムでもパイオニアのデッキを紹介する頻度が増すことになるだろう。スタンダードよりも広く、モダンよりは狭い使用可能カードプール。その中から組まれた珠玉のデッキは、パイオニアならではの独特な雰囲気をまとっている。
そんなデッキたちの中でも環境を代表する逸品がこちら!
13 《森》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《ハイドラの巣》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(21)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《老樹林のトロール》 3 《恋煩いの野獣》 4 《茨の騎兵》 -クリーチャー(19)- |
4 《ニッサの誓い》 4 《狼柳の安息所》 4 《収穫祭の襲撃》 4 《ビヒモスを招く者、キオーラ》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(20)- |
1 《ダークスティールの城塞》 1 《隕石ゴーレム》 1 《トーモッドの墓所》 1 《真髄の針》 1 《減衰球》 1 《漸増爆弾》 1 《死に至る大釜》 1 《異形化するワンド》 1 《鎖のヴェール》 1 《王神の立像》 1 《影槍》 1 《勢団の銀行破り》 1 《キランの真意号》 1 《エシカの戦車》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
「緑単信心」! これぞパワーデッキ、圧倒的な力で押して押して押し通す、デッキとしては非常に分かりやすいジャンルになる。ビッグマナというもので、大量のマナを用意してドカンと重いカードで勝負しましょうという戦術を用いる。
《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》《狼柳の安息所》と緑得意のマナ加速によりそれを遂行するわけだが、信心の名の通り《ニクスの祭殿、ニクソス》がメインエンジンとして採用されている。
《老樹林のトロール》《茨の騎兵》と緑のマナシンボルが濃厚なパーマネントを展開することで、ニクソスから爆発的なマナを得てさらなる展開に繋げようという魂胆だ。
パイオニアの「緑単信心」はそのマナを注ぐ先、フィニッシャー枠がアーティファクトになっている。具体的には《大いなる創造者、カーン》がその窓口を担当する。
サイドボードからアーティファクトを手札に加えられるので、これでその都度、状況にあったカードをサーチして戦況を有利に導くのだ。
《エシカの戦車》などの機体や《王神の立像》といった攻めるアーティファクトで勝ちに行くのはもちろん、
《隕石ゴーレム》《真髄の針》《トーモッドの墓所》などの相手のデッキに対するアンチカードも持ってくることができるのが器用だ。
そしてこのカーンを用いた無限コンボも定番となっている。《死に至る大釜》を用いるのだ。
このカードの第2面《修復の噴出》はパーマネントを2枚回収した後に4点のライフを得て、その後追放される。追放領域にある時には《死に至る大釜》の特性を持つので、アーティファクトとしてカーンの[-2]能力で手札に加えることが可能だ。
この特性を活かしたコンボは、まずカーンおよび《ビヒモスを招く者、キオーラ》を2枚ずつと、信心が十分にある状態での《ニクスの祭殿、ニクソス》が必要になる。
ニクソスからマナを得て、それをキオーラでアンタップしてもう一度起動してマナを加える。そしてカーンで大釜を手札に加える。2枚のプレインズウォーカーを起動し終わったら、キオーラの2枚目を唱えて1枚目は墓地に。またキオーラでニクソスを起こし、そしてカーンも2枚目投下。墓地にキオーラとカーンが揃ったところで《修復の噴出》を唱えて2枚を回収、追放された《修復の噴出》→《死に至る大釜》をこれまたカーンで回収。後はキオーラの出し直しから同じことを繰り返す……このループにより無限にライフを得ることが可能だ。
ニクソスから得られるマナの量によっては無限マナも成立し、黒マナを得られれば最後は《死に至る大釜》として戦場に出して能力起動、膨大に得たライフ分の枚数ライブラリーを切削してフィニッシュへと至る。
《森の女人像》を用いることで大釜を唱えるパターンもあるが、このリストでは不採用で《鎖のヴェール》でカーンとキオーラの行動回数を増やし、《勢団の銀行破り》を持ってきてこれから宝物を得て支払うという力技で解決している。これぞ強欲なパワーデッキスタイル!
ご覧の通りメインからしてサイドのカードを使えるので、さまざまな相手をナチュラルに対策できるのが「緑単信心」の強さなのだ。実質75枚のメインデッキで戦っているようなもので、これは他のデッキにはないアドバンテージとなっている。
コンベンションの場でもメタゲームを担う一角として無視できない存在となるであろうデッキだが、『兄弟戦争』の加入でそれは決定的なものになりそうだ。ウルザとミシュラの工匠兄弟によるアーティファクトでの戦争なのだから、強力な選択肢が増えることは予想していたが……そこにかなりテクニカルな選択肢が加わった。
まずは《石の脳》。
《漂流自我》と同様の効果を持つ手札・墓地・ライブラリーからのカード追放であり、特定のカードに依存したコンボをはじめとするデッキへの強烈なアンチカードとして機能する。マナの生産さえ間に合えば、信心がコンボを対策できる時代がやって来たというのだ。
さらにもう1枚、《停滞の棺》も面白い。
自身がプロテクション(すべて)を得るということは、呪文や能力の対象にならず、ダメージを受けないということである。アグロデッキの攻撃やコンボデッキのフィニッシュをこれで華麗に回避して、護身完成に持ち込むのもいやらしい戦略ではないだろうか。
どちらの伝説のアーティファクトも追放するのがコストであるため、カーンによって何度も投げつけられるのも面白い。無の空間から脳みそや棺を量産しまくるカーン、想像するとシュールだな……。
クリーチャー除去兼しつこいフィニッシャーとなる《ファイレクシアへの門》も選択肢として魅力的で、『兄弟戦争』万歳!と信心ユーザーはガッツポーズ中だろう。
コンベンションの地にて大暴れしそうな予感の「緑単信心」。パイオニアを戦うにはこのデッキとがっぷり四つに組み合うことは避けられない! 使うも対策するも無視できない、環境を定義するデッキ……今後も月末のイベントに向けて、パイオニアの主役的なデッキを紹介していくのでよろしく!
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