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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
最多勢力に立ち向かえ! 勝利を手にしたデッキたち(スタンダード)
前回触れた通り、今回は「第28回マジック世界選手権」にてスタンダードで用いられたエスパー(白青黒)以外のデッキを紹介だ。
何せ……少ない! 32名中22名がエスパーを選んでいる。他デッキの使用者は10名で、使用者2名が使用率2番手になるレベルだ。そんな少数精鋭たちの活躍ぶりはというと……
4 《沼》 4 《ザンダーの居室》 4 《硫黄泉》 4 《憑依された峰》 4 《難破船の湿地》 4 《シヴの浅瀬》 2 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 4 《死体鑑定士》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(11)- |
2 《切り崩し》 2 《強迫》 3 《冥府の掌握》 3 《かき消し》 2 《削剥》 4 《鏡割りの寓話》 4 《絶望招来》 2 《勢団の銀行破り》 1 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(23)- |
2 《燃え立つ空、軋賜》 2 《ローナの渦》 1 《切り崩し》 1 《強迫》 2 《削剥》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《冥府の掌握》 2 《勢団の銀行破り》 1 《漆月魁渡》 -サイドボード(15)- |
こちらのグリクシス(青黒赤)の中速デッキ。20歳のネイサン・ストイア/Nathan Steuer選手が用いたものこそ、エスパーの海と言われた世界選手権で優勝を勝ち取ったのである!
いやぁ、これは痺れるよね。グリクシスというが、青・黒・赤の3色が均等に用いられているというよりは、黒単色デッキに他2色が巧みに組み込まれていると認識するのが正しいものだ。《シヴの浅瀬》以外の土地すべてから黒マナが得られるという点からもその姿勢がうかがえる。
このグリクシスの主な武器は《絶望招来》だ。
劇的な決着をもたらしたことでも今一度注目されたこのソーサリー、以前よりその強さは全プレイヤーが痛感していたところだが、それをさらに強めたことは言うまでもないね。この必殺のソーサリーのために黒マナを得られるマナ基盤を用いているというわけだね。
クリーチャー・エンチャント・プレインズウォーカーをまとめて対処、それらがいなければライフと手札の差をつける。《黙示録、シェオルドレッド》との組み合わせで圧倒的なライフ回復で序盤のライフロスから立ち直り、これのドローにより次なる《絶望招来》に繋げる。
これだけのビッグアクションで勝負するので、先立つものはマナ。《鏡割りの寓話》はそれを後押しする、なくてはならないキーカードだ。運よく《キキジキの鏡像》まで育ったら《税血の収穫者》《死体鑑定士》をコピーして盤面を掌握せよ!
優勝は《絶望招来》という、エスパーの持つ《策謀の予見者、ラフィーン》に肩を並べるパワーカードを用いたグリクシスが優勝。正直なところ、エスパーのどれかが勝つんだろうなとぼんやり考えていたよ。己の想像力の無さを恥じると同時に、世界選手権のような場では思いもしなかったことが起こるね。
そういう意味では初日のスタンダード・ラウンドで好成績を残したイゼット(青赤)にも驚かされたね。
10 《島》 2 《山》 1 《ザンダーの居室》 4 《シヴの浅瀬》 4 《嵐削りの海岸》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(23)- 4 《傲慢なジン》 2 《墓所の照光者》 1 《溺神の信奉者、リーア》 -クリーチャー(7)- |
4 《考慮》 2 《消えゆく希望》 2 《下支え》 2 《絞殺》 4 《衝動》 3 《かき消し》 3 《否認》 1 《削剥》 4 《鏡割りの寓話》 2 《引き裂く炎》 1 《巨竜戦争》 2 《嵐風招来》 -呪文(30)- |
1 《墓所の照光者》 1 《溺神の信奉者、リーア》 2 《トレイリアの恐怖》 1 《消えゆく希望》 1 《呪文貫き》 2 《削剥》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《勝利の炎》 2 《発見への渇望》 1 《巨竜戦争》 1 《家の焼き払い》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
デッキの主役は《傲慢なジン》。
3マナでタフネス4の飛行、パワーは墓地のインスタント&ソーサリー分。それらの呪文を唱えるコスト軽減と、マナ総量からは考えられないレベルの能力のオンパレード。
このジンを主役とした青単色のデッキ自体はスタンダードにおいて広く知られていたものの、そこに赤を足した構築とはどんなものだろうか?
メタゲームブレイクダウンにてこのデッキの使用者がいることを知った時にはその内容が気になっていたが、使用者ジュリアン・ウェルマン/Julian Wellman選手は巧みなプレイングで早朝実況する我々、そして視聴者を魅了してくれた。プレイングに関しては文章化が難しいので、せっかくだからビデオアーカイブを確認してほしいね。
打ち消しで対戦相手の行動を縛りつつ、ドローで手札の内容を強いものにしていく。4マナ以上揃ったらジンを戦場へ。残った1マナで打ち消しか《下支え》を構えて除去から護り、1ターン耐えて無事にターンが返ってくればジンタイムの始まり。
1マナになった《衝動》で打ち消しや後続をかき集め、ゲームを完全に掌握する!
《キキジキの鏡像》でジンをコピーして一瞬で20点のライフをもぎ取ったり、《下支え》で《溺神の信奉者、リーア》を戦場に居座らせて絶対的なアドバンテージ差を見せつけて心をへし折るかして勝利する様は圧巻。
このような青い少数のクリーチャーを打ち消しで護って戦うデッキというのはカード1枚1枚のもたらすバリューは小さく、常に綱渡りをするかのような不安定さがあるものだが……カードパワーの化身である《鏡割りの寓話》でその点を解決。
《下支え》でゴブリン・シャーマンを強化して2/2によるブロックを一方的に討ち取る光景も凄まじかった。要するに《下支え》、メチャ強。このリストでウェルマン選手はスタンダード・ラウンドを4勝1敗と好成績で駆け抜け、一躍注目される存在となった。
世界選手権のような大舞台はなかなか一筋縄ではいかないもの。多くのプレイヤーが最強であると認識して持ち込んだ「エスパー」も、今回取り上げたデッキたちの前に敗れたのである。もちろんプレイングというのも大いに関係のあるところだが、最多勢力に勝てるデッキを見つけて見事にデッキ勝ちしたという印象を受けたね。
これにて『団結のドミナリア』環境のスタンダード、ビッグイベントは終了。続く『兄弟戦争』に向けて、良い環境末期だったと思う。次のスタンダード環境は一体どうなるのだろうか? そしてそこで勝ちを重ねて、次に夢の舞台に立つのは一体誰だ? 君であることを願っているよ!
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