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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グルール・アグロ:オール4枚構築のススメ(パイオニア)
マジックの構築戦では、特殊なフォーマットでない限りは基本土地以外のカードは同名のものを4枚までしか採用できず、60枚以上のデッキを構築して対戦する。
60枚以上なので61枚でも62枚でも、100枚でも1000枚でも良いんだが……ほとんどのプレイヤーが60枚にまとめたデッキを使っているよね。
これはなぜか。その理由は至ってシンプル。61枚以上になると、60枚ジャストの場合よりも特定のカードを引く確率が下がってしまうからだ。4枚までしか採用できない重要なカード、可能な限り引ける確率を高めるためにも欲張らずにキッチリ60枚に収める技量と節度が重要だ。
であれば、デッキパーツをすべて4枚ずつ採用した60枚デッキが理想形か?というと、これはアーキタイプによるね。4枚採用がズラリと並んだ60枚が理想的なのはアグロなどのクリーチャー主体のデッキだ。土地24枚・クリーチャー6種24枚・その他の呪文3種12枚みたいな構成が理想的に思えるね。
何度回しても安定した動きが期待できる、真っすぐに攻めるデッキにはムラが少なければ少ないほど良いからだ。
3 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《カープルーザンの森》 4 《岩山被りの小道》 3 《ハイドラの巣》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 4 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《漁る軟泥》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 4 《無謀な嵐探し》 -クリーチャー(24)- |
4 《絞殺》 4 《エシカの戦車》 4 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文(12)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- 2 《引き裂く流弾》 2 《燃えがら蔦》 4 《ニッサの敗北》 4 《アクロス戦争》 2 《歓楽者ゼナゴス》 -サイドボード(14)- |
このパイオニアのグルール(赤緑)カラーのアグロデッキはまさしくその理想のバランスで構築されている。
《エルフの神秘家》と《ラノワールのエルフ》は同一カード8枚体制ということになるので、かなりの確率で1ターン目からマナエルフ→2ターン目に3マナのアクションという理想のムーブが決められるだろう。
これはMagic Online上のイベントで全く同じリストでトップ8に2名を入賞させたものである。今のパイオニアに対するアンサー的なデッキだということだな。パイオニアでのグルールも数あれど、この形は特徴的で印象に強く残るものである。
4枚ズラリと並ぶカードの中でも、このデッキの個性を際立たせているのが伝説の機体2種。《エシカの戦車》と《領事の旗艦、スカイソブリン》!
緑のアグロだと《エシカの戦車》4枚採用はスタンダード現役当時でもよく見たものだ。伝説なので戦場に複数枚並べることはできないが、それを加味しても4枚採用してどのゲームでも戦場に出したいデッキ内の攻めの要。4マナで2体の猫を生成、攻撃する度にどんどんトークンが増える……機体本体はソーサリーの全体除去を受けても戦場に残り、返しにトークンが展開できれば一瞬で戦場を立て直せる。対戦相手も真っ先に除去してくるカードなので、4枚採用して複数枚ドローすることを狙うのは当然のことだ。
もし集中してこの機体を引いてしまっても、2枚目を唱えて猫2体を得るだけのカードとして開き直って使用できるのもこのカードの良いところ。4マナ4/4相当ならマナに見合う価値がある。
そして《領事の旗艦、スカイソブリン》、これを4枚採用している徹底ぶりこそがこのデッキのオリジナリティ。こちらは《エシカの戦車》に比べると5マナでやや重く、手札でダブつく重荷になりかねない。そのリスクを背負ってでも、この巨大機体のカードパワーを何よりも評価している。だからこその4枚!
戦場に出るか攻撃すれば3点ダメージを飛ばす除去能力持ちで、かつ飛行で6/5とスペックもオバケ。これに搭乗し続けられれば1枚でゲームに勝ててしまうレベルだ。機体やアーティファクトが絡むデッキに1~2枚採用されることはあっても、4枚全積みという思い切ったリストは初めて見たかもしれないな。
《エシカの戦車》と同じく、1枚が戦場に定着している時に2枚目以降を唱えて、5マナで3点除去の使い捨てとして開き直ってプレイしても悪くはない。最も悪いゲーム展開はスカイソブリンを引けないこと。この結論に達したとしても、なかなか実行できないものではあるよね。そういう戸惑い、躊躇を撤廃してこそ、強いデッキは組めるものなのだろうなぁ。
このリスト、パイオニアのものではあるがエクスプローラーでも再現できる構成だ。《変わり谷》だけは現在MTGアリーナに存在しないので、ここを《バグベアの居住地》などの他の土地でカバーしてやればメインに関してほぼ再現が可能。
問題はサイドボードだが、パイオニア環境の対策カードがなくとも、そもそもが対策すべき仮想敵も異なってくるので、エクスプローラーに合ったカードをチョイスして15枚埋めてやれば問題はないだろう。
メインからも墓地利用デッキへの《漁る軟泥》、アグロデッキに対する壁であり《黙示録、シェオルドレッド》に向かっても殴りかかれる《恋煩いの野獣》などなど、環境を戦う上で有用なカードは搭載されている。同様の方向性のカードを水増しして、サイド後も安定したデッキとして立ち回ろう。
機体が主役、オール4枚構成の「グルール・アグロ」、今後の台風の目になるか?
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