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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
タルキールがもたらしたもの? 3色デッキ2選(スタンダード)
9月27日。いつものように原稿に取り掛かろうと、PCデスクに向かった。
午前中のメイン作業はネタ集め。SNSや各種トーナメント結果を読み漁り、当コラムで紹介するのにふさわしい素敵なデッキリスト達を探すのだ。
日課をこなしていると、海外の方によるあるツイートが目に留まった。『タルキール覇王譚』発売からちょうど8年経ったよ、という内容。2014年9月26日、マジックの歴史的にも非常に意義のあるセットがリリースされた。もう8年か……
《溢れかえる岸辺》《汚染された三角州》《血染めのぬかるみ》《樹木茂る山麓》《吹きさらしの荒野》という友好色フェッチランドの再録は非常にインパクトがあり、あらゆるフォーマットで引っ張りだこのこの土地を求めて、皆がパックを剥きまくっていたなぁ。
《包囲サイ》《カマキリの乗り手》などの強力な3色カード、今では基本的なキーワード能力になった「果敢」の初登場などなど、『タルキール覇王譚』がもたらしたものは多くあるが……
マジックの歴史において無視できない影響力として「氏族/Clan」が登場したことに触れておこう。覇王譚のテーマは3色、それもこれまではあまりフィーチャーされなかった「楔3色」というもの。カード裏面に描かれた五角形、各色とその対角線上にある2色の組み合わせのことである。例えば白であれば黒と赤を組み合わせたものだ。
これまでこの3色には定着した呼称がなかった。隣り合った色の組み合わせである友好3色の場合は『アラーラの断片』で断片という概念が登場し、白青黒の3色は「エスパー」と呼ばれるように、すでに定着した呼称が存在したのだ。
氏族は断片と同様に3色の勢力であり、そしてこれまで定着した呼び名のなかった3色に新たな名前を与えることになった。マルドゥ、スゥルタイ、アブザン、ジェスカイ、ティムール。タルキール以降、スタンダード環境にはこれらの氏族カラーに合った土地が収録される機会が多く、断片カラーよりも氏族カラーのデッキを見る機会が圧倒的に多くなった。
今ではすっかりお馴染みの3色デッキ名が『タルキール覇王譚』でデビューして8年……感慨深いなぁ。
現行スタンダード環境においては、氏族の3色よりも断片の3色デッキの方が目にする機会が増えている。『ニューカペナの街角』にて「一家」という形でメインテーマとなり、《ラフィーンの塔》などのように友好3色のタイプを持った土地が登場。逆に楔3色でデッキを組むのであればちょっと多色土地が足りないかな、という状況だ。
ただ、だからといって氏族名を冠するデッキが全く組めないというわけではない。タルキール8周年をお祝いして、今回はスタンダードで組める楔3色のデッキを紹介だ!
5 《沼》 5 《森》 1 《島》 4 《死天狗茸の林間地》 2 《難破船の湿地》 2 《夢根の滝》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《天上都市、大田原》 -土地(24)- 4 《ラノワールの壌土語り》 4 《強請る大入道》 2 《活力を穢すもの》 2 《作業場の戦長》 1 《アヴァブルックの世話人》 2 《産業のタイタン》 2 《蝕むもの、トクスリル》 -クリーチャー(17)- |
2 《切り崩し》 2 《呪文貫き》 2 《タミヨウの保管》 3 《かき消し》 2 《連携探索》 4 《八百長試合》 2 《食肉鉤虐殺事件》 1 《完成化した賢者、タミヨウ》 1 《レンと七番》 -呪文(19)- |
2 《辺境地の罠外し》 2 《シルバーバックの古老》 1 《産業のタイタン》 1 《本質の散乱》 1 《否認》 2 《神への債務》 2 《ザルファーのフェイジング》 2 《ギックスの残虐》 2 《世界呪文》 -サイドボード(15)- |
1つ目はスゥルタイ(青黒緑)。土地の欄を見ていただければ、3色デッキなのに基本土地が多めな構成になっており、『団結のドミナリア』に《ラノワールの荒原》と《地底の大河》が再録されなかったことが少なからずこのカラーリングにとってのハンデになっていることが伺えるだろう。
なので、3色デッキではあるが緑のクリーチャーと黒の除去、そして少量の青のエッセンスというバランスで作られている。
メインの戦術は《八百長試合》を駆使したコストの踏み倒し。
《強請る大入道》など高パワー持ちとの組み合わせで、このエンチャントによりマナを支払わずにに呪文を唱えて有利に立とうというわけだ。
クリーチャーは大入道と《蝕むもの、トクスリル》以外は緑のものになっており、これにより《活力を穢すもの》による展開サポートと全体強化の恩恵が受けられる。
緑のパーマネントのコストをライフで支払い、かつ能力を誘発させられるので《八百長試合》とも相性抜群。7マナある状況から手札にこのワームとエンチャントがあれば、何もないところから一気にクライマックスな盤面を創り出すことだって不可能じゃない。
欲しい色マナが土地から得られにくい難点は《ラノワールの壌土語り》でカバーだ!
1 《島》 1 《山》 1 《平地》 4 《嵐削りの海岸》 4 《シヴの浅瀬》 4 《さびれた浜》 4 《アダーカー荒原》 3 《日没の道》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《皇国の地、永岩城》 -土地(25)- 1 《船砕きの怪物》 -クリーチャー(1)- |
3 《炎恵みの稲妻》 2 《電圧のうねり》 3 《かき消し》 2 《邪悪を打ち砕く》 2 《攪乱プロトコル》 2 《否認》 4 《鏡割りの寓話》 3 《記憶の氾濫》 3 《時の火炎嵐》 2 《告別》 2 《勢団の銀行破り》 4 《放浪皇》 2 《焦熱の交渉人、ヤヤ》 -呪文(34)- |
1 《聖域の番人》 1 《船砕きの怪物》 2 《削剥》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《邪悪を打ち砕く》 1 《否認》 2 《一時的封鎖》 1 《巨竜戦争》 1 《告別》 1 《勢団の銀行破り》 1 《未認可霊柩車》 1 《華やいだエルズペス》 -サイドボード(15)- |
こちらはジェスカイ(白青赤)カラーのコントロール。《アダーカー荒原》《シヴの浅瀬》と噛み合う2色土地が2つあるため、比較的運用しやすいカラーリングだ。
この色には新しい全体除去《時の火炎嵐》がある。
クリーチャーとプレインズウォーカーへの5点ダメージと効率の良いソーサリーであり、自身がプレインズウォーカーを展開していたとしてもキッカーで唱えることでこちらは被害を受けずに一方的な戦場を作ることが可能な、テクニカルな1枚だ。
この火炎嵐で対戦相手の攻勢を薙ぎ払い、《放浪皇》《焦熱の交渉人、ヤヤ》で戦場に蓋をして勝利する。
インスタント・タイミングで飛び出す《放浪皇》の強さは今に始まったことではないが、ヤヤはまだその強さを体験していないプレイヤーも少なくないのでは。彼女は4マナにして能力を4つも持っており、忠誠度も4スタート。モンク・トークンの生成から入ればいきなり5でなかなかに硬い。中途半端なクリーチャーの攻撃では即退場とならないタフさが魅力的だ。[-1]能力を2回も使えればもう元が取れている。
土地や除去など必要なカードをこれで獲得し、合間に火炎嵐で盤面をリセット。余裕が出来たらモンク軍団で攻勢に転じる。
彼女も《放浪皇》と同じく、いざとなれば除去にもなる。能力それぞれは効果が大きいというものではないが、とにかく能力が多く適用ではあるのでその辺はご愛敬。打ち消しと除去で自分とプレインズウォーカーたちを守り、気が付けばいつの間にか勝っているという理想のゲームを目指せ!
どちらも環境的にプッシュされているカラーリングではないが、それがどうしたという姿勢もデッキ構築には重要だ。環境的にレアな構成は、それだけで対戦相手に読みにくい戦いを仕掛けられる。「うわ、珍しいな」そう思わせた時点で、ゲームは既に優位に進んでいる……かもしれないな。
3色デッキの可能性、皆で掘り下げていこう!
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