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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:グリクシス招来(スタンダード)

岩SHOW

 秋空って感じの風景、夏を飛び越えて晩秋のような夜……見て、肌で感じるクールな季節がやって来た……と思っても良いのかな。どうも、秋は食欲、なおオールシーズン食欲全開、どうも岩SHOWです。

 秋は文化的なものも盛り上がる季節だからね、マジックなんてまさに自治体をあげて推奨してくれても良いんだぜと。運動会、焚火で焼き芋に芋煮、そしてマジック会。優勝や! 新セットのリリース時期でもある秋がマジックの旬と認識される、クールな未来も遠くない。

 というわけでマジック界のクールなカード、クールなデッキについてとことん語る金曜日の始まりだ。今日のテーマは……強さ。「今週のCool Deck」ではクールを第一に、ゲーム中の強さやトーナメント結果などは重要視しない方針でデッキを取り上げている。その企画に相反する「強いカード」をフィーチャーしよう。もちろん強さの中にもクールさは含まれる、強すぎること自体がクールでもあるからね。

 現在スタンダードで最も強い、強烈な1枚とは何だろう? この質問に対する答えはさまざまなものになる。各々自分が使って、あるいは対戦相手に使われて勝負が決した1枚を挙げることになる。それぞれが使うデッキやプレイスタイルによってその1枚は異なるものになるので、何が正しいとか答えを求めての質問ではない。

 しかし多くのプレイヤーがこの1枚を挙げ、また納得もするのではないだろうか。《絶望招来》。

 黒マナを4つも要求する、色濃いソーサリーにして、それに十分すぎるほど見合う成果を提供してくれる。クリーチャー・エンチャント・プレインズウォーカーの3種の生け贄を要求、できなければ2点ライフの喪失とこちらが1枚ドロー……3種のパーマネントを1枚で処理する除去になるか、あるいは相手のライフを6点減らして3枚ドローか……状況によりその効果にムラはあるが、どのような結果であれ唱えたプレイヤーにとっての恩恵・唱えられた側の絶望に変わりはない。

 このただでさえ強力な《絶望招来》、どうせならもっともっと強く運用したくないか? 例えばこんな風に……。

Platinum-Mythic Rank Player - 「グリクシス招来」
MTGアリーナ スタンダード ランク戦 6連勝以上 (2022年9月19日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
4 《ザンダーの居室
4 《憑依された峰
2 《硫黄泉
3 《血溜まりの洞窟
3 《難破船の湿地
3 《陰鬱な僻地
3 《嵐削りの海岸
1 《急流の崖

-土地(26)-

4 《さまよう心

-クリーチャー(4)-
3 《強迫
1 《消えゆく希望
1 《絞殺
2 《感電の反復
4 《鏡割りの寓話
3 《貴顕廊一家の魔除け
4 《大勝ち
1 《巨竜戦争
4 《家の焼き払い
4 《絶望招来
3 《災厄招来

-呪文(30)-
4 《寄生性掌握
2 《窃取
1 《魂転移
1 《不憫な悲哀の行進
1 《未認可霊柩車

-サイドボード(9)-

 

このクールなデッキは?

 『団結のドミナリア』期のスタンダードで《絶望招来》をとことん味わい尽くす「グリクシス(青黒赤)招来」だ。

 クリーチャーの数が極端に少なく、デッキを構成するのはインスタントとソーサリーが大半。それらの呪文で対戦相手をコントロールしつつ、自身の体勢を整えてから招来で勝つ……というコンボ的なデッキである。

 《絶望招来》で気持ち良く勝つために、このデッキでは《感電の反復》を用いる。

 {1}{B}{B}{B}{B}{U}{R}と計7マナ要求するとあって、コピーされた《絶望招来》の威力は尋常ではない。パーマネントは根こそぎ持っていくし、ライフもゴリゴリッと削り取り、こちらの手札はパンパンに膨れ上がる。

 この鬼のコンボに加えてもうひとつの「招来」、《災厄招来》も用いて《絶望招来》をおかわりする。墓地から唱えて、とにかく連打に次ぐ連打だ。

 《災厄招来》はソーサリーを相手のターンに唱えることもできてしまうぶっ飛んだインスタントなので、相手のターンに絶望+αが降りかかるなんてことも。

 《災厄招来》はマナ総量合計6のインスタント&ソーサリーを手札&墓地から唱えられるので、絶望にマナ総量1の呪文をくっつけられる。なので、メインから《強迫》が採用されているんだな。

 打ち消し呪文を落としたり、《婚礼の発表》《勢団の銀行破り》など相手の序盤の盤面づくりに必要なカードを抜いて時間稼ぎし、最終的に《絶望招来》で更地になったところに再展開するためのカードも許さない。対戦相手のドロー後に《災厄招来》から引いてきたカードを唱えさせる間もなく捨てさせて盤面は壊滅……クールすぎて言葉も出ないぜ。

 マナをたっぷりと必要とするコンボではあるが、これもコンボパーツの《感電の反復》によって用意することが可能になっている。《大勝ち》をコピーして宝物を4つ得ようという算段だ。

 《大勝ち》のコストとして捨てるカードにも《感電の反復》はおあつらえ向きだ。

 クリーチャーやプレインズウォーカーを除去するメインカードとして《家の焼き払い》を採用しているのも、この《感電の反復》との相性の良さから。

 デビルを生成するモードで唱えてこれをコピーすることで、一気に6体の速攻デビルでライフを詰めていくことが可能だ。

 《貴顕廊一家の魔除け》をコピーして対戦相手のライフを6点吸い取ってフィニッシュってのも、クールすぎてたまらんなぁ!

さらなるクールのために

 このリストに関して、これをクールと呼んでも良いものかと悩めるポイント、すでに気付いているかもしれない。サイドボードが……9枚しかない。

 9? なんとも中途半端ではある。BO1 では7枚のみ設定することができるので、そうなっているリストは見ることはある。でもこのリストはMTGアリーナのスタンダードBO3ランク戦において6連勝以上を達成したデッキを掲載するページにて見つけたものなので、おそらくはこのまま戦ってたんだろうな。うっかり設定忘れしたまま、15枚にすることもなくそのまま連勝……それもまたクールな事件だな。

 しかしながら僕らはここまで真似する必要は全くないので(笑)。残り6枚を何にするかしっかり各自で考えよう。僕の場合……《寄生性掌握》4枚を含む6枚もスロットが割かれている単体除去はもう十分。

 打ち消し対策もメインの《強迫》に《窃取》を足せば、手札破壊としてはちょうどいい枚数かな。

 無難に6枚選ぶなら……追加の《未認可霊柩車》1枚、《否認》《軽蔑的な一撃》2枚ずつで同型やコントロールを対策、念のためのアーティファクト破壊で《削剥》というチョイスかな。

 攻めた構成にするなら、アグレッシブサイドボード。コンボデッキ相手にクリーチャー除去を減らしてコンボ対策を盛ってくる相手に対してクリーチャーを投入して、思いがけない攻撃を加えていくクールな戦術だ。

 《マナ形成のヘルカイト》はクリーチャーでない呪文が主体のこのデッキだと悠々とトークンをばらまいて制空権を握ってくれることだろう。コンボで勝ったら、2本目はドラゴンでもぎ取ろう!

クールなまとめ

 最強のカードをより強く使う。どうせならどこまでも強さの高みを目指す。オーバーキルすらも超えて、オーバークールを目指すべし。《絶望招来》を1ゲームに1回だけなんて、もったいないぜ。クールに対して貪欲であれ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Invoke Greed!!

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