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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グルール・アグロ:ミッドレンジへの反逆(スタンダード&パイオニア)
「世の中、ミッドレンジ(中速デッキ)であふれ返っていて肩身が狭いぜ……」 そう感じるアグロデッキ好きも少なくないのでは。
ミッドレンジはコストパフォーマンスに優れたクリーチャー、使い勝手の良いパーマネント除去、打ち消しや手札破壊といった妨害、プレインズウォーカーなどのアドバンテージ獲得源といったパーツで構成される。
遅いデッキ相手にはクリーチャーを展開していってライフにプレッシャーをかける攻めの姿勢(アグロ)、速いデッキ相手には除去を駆使してアドバンテージ差を拡げていく守りの姿勢(コントロール)で戦える。アグロとコントロール、どちらとしても振舞えるってのは理論上最強っぽくはあるよね。
現在のスタンダードではこのミッドレンジ向けのカードが豊富にそろっており、まさしくミッドレンジ同士がぶつかり合い、1枚でも多くのリソース(資源)を獲得せんとアドバンテージ勝負を繰り広げる時代。
アグロにとっては硬い上にライフを回復させる《黙示録、シェオルドレッド》が頻繁に出現する、戦いにくいフィールドにはなっているのが現状だ。
ただ、だからといってアグロ好きがアグロを諦めてミッドレンジに迎合しなければならない……なんてことはまったくない。どんな環境であっても、先人たちはアグロを諦めてこなかった。
今この時代、そのバトンを受け取って突っ走るのは君の役目かもしれない。
10 《山》 4 《森》 1 《ジアトラの試練場》 3 《カープルーザンの森》 3 《落石の谷間》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(24)- 2 《フェニックスの雛》 4 《クウィリーオンの獣呼び》 4 《ヤヴィマヤの偶像破壊者》 3 《血に飢えた敵対者》 3 《シヴの壊滅者》 3 《原初の敵対者》 2 《轟く雷獣》 1 《燃え立つ空、軋賜》 -クリーチャー(22)- |
4 《熊野と渇苛斬の対峙》 4 《稲妻の一撃》 2 《神の火炎》 3 《引き裂く炎》 1 《未発見の脅威》 -呪文(14)- |
4 《辺境地の罠外し》 2 《墓所の門番》 1 《燃え立つ空、軋賜》 2 《火遊び》 2 《タミヨウの保管》 1 《未発見の脅威》 2 《家の焼き払い》 1 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
というわけでスタンダードにおけるアグロの希望の星、グルール(赤緑)を紹介しよう。大昔から「ステロイド」と呼ばれ愛された、アグロ的には鉄板の2色である。
緑には軽量コストながら戦闘面に優れたクリーチャーがおり、赤のそれはサイズでは緑に劣るものの速攻を持っているものが多く、対戦相手のライフに向かって真っすぐに突き進むにはおあつらえ向き。
それらのクリーチャーの攻撃を通すために《稲妻の一撃》などのダメージ呪文を除去として用い、場合によっては対戦相手本体に投げつけてとどめを刺す。古典的な戦法ながら、マジックの最も基本的な「自分から攻撃を仕掛けていく」という戦術を体感できて、いつまでも色あせない楽しさがグルールカラーのアグロには保持され続けている。
ひとくちにグルールと言っても狼男に寄せたものなどバリエーションはあるが、こちらのリストは《轟く雷獣》や《神の火炎》など改良されたクリーチャーがいることでダメージを伸ばせるカードを取り込んだ形。
《クウィリーオンの獣呼び》《血に飢えた敵対者》《原初の敵対者》《シヴの壊滅者》などナチュラルに+1/+1カウンターを得るものや《熊野と渇苛斬の対峙》を用いて、クリーチャーを改良して1ターンに与えられるダメージを伸ばしていく。
現スタンダード環境をアグロデッキで走るのであれば、冒頭でも触れた通り《黙示録、シェオルドレッド》というそびえ立つ壁を乗り越える手段は不可欠。《引き裂く炎》はもはやサイドからでは遅い、メインからしっかり搭載してこそ、というポジションに。
3マナとシェオルドレッドよりも軽いコストで対処でき、プレインズウォーカーも焼けるなど対象を選ばないインスタントなので、よっぽど極端なデッキでなければ打ちどころがなく手札のお荷物になるということもないだろう。さりげなくエンチャントデッキの《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》などのようなスピリットに対して唱えると本体ダメージのボーナスが美味しい。
可能な限りスピーディーな決着を望むアグロデッキではあるが、手札が切れて攻撃が途絶えてしまうことも。《未発見の脅威》はいざという時の保険として、クリーチャーを2枚提供してくれる。
どのような4枚を持ってくるか、そのチョイスは難しいところだが、パワー2の枠には《血に飢えた敵対者》を選びたいところ。これが対戦相手に選ばれなかったなら、その能力で墓地からもう一度《未発見の脅威》を唱えられる。
まあこれをやすやすと見逃してくれることはそうそうあることではないが、これがライブラリーに戻されたってことはパワー3とか4の他のメンツが手に入る、ってことでね。
3 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《カープルーザンの森》 4 《岩山被りの小道》 4 《バグベアの居住地》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(20)- 4 《僧院の速槍》 4 《フェニックスの雛》 3 《軍勢の忠節者》 2 《損魂魔道士》 4 《炎樹族の使者》 3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《無謀な奇襲隊》 2 《砕骨の巨人》 -クリーチャー(26)- |
4 《熊野と渇苛斬の対峙》 4 《火遊び》 4 《アタルカの命令》 2 《舞台照らし》 -呪文(14)- |
2 《怪しげな統治者、スクイー》 1 《砕骨の巨人》 2 《熱烈の神ハゾレト》 4 《引き裂く流弾》 3 《溶岩コイル》 3 《カーリ・ゼヴの巧技》 -サイドボード(15)- |
オマケで他のフォーマットにおけるグルールカラーのアグロを紹介しておこう。こちらはパイオニアのものなのだが、厳密に言うとグルールというより赤単かな(笑)。「アタルカ・レッド」と呼ばれているものだ。
その名の通り《アタルカの命令》がキーカードで、クリーチャー複数体で攻撃してからこのモード付きインスタント呪文を「対戦相手に3点ダメージ」「すべての自クリーチャーに+1/+1修整」を選択して唱えることで大ダメージを弾き出す!
前のめりなアグロを体現した、後退のネジを外してあるデッキだ。スタンダードにアグロで挑むことが苦しいのであれば、パイオニアなどで暴れ回るのも手だ。気持ち良く4ターン目に相手のライフを0にして、アグロ欲を満たそうじゃないか。
どれだけミッドレンジが万能であっても、高コストのカードが手札にダブついたり土地が思ったように引けないという状況に陥ることは避けられない。そうした隙を逃さずに一気に勝負を決める、アグロデッキの席は必ずやある。
野性味あふれるグルールを手に、嗅覚を研ぎ澄まし、勝機を決して見逃すな。アグロのゴールは、いつだって前進した先にある。
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