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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ドミナリアと言えば……青単的には「ジン」!(スタンダード)
かつて『ドミナリア』にはある秘密が隠されていた。
それはドミナリア次元、およびそれと併合されたラース次元を舞台にした過去のセット名が、カード名やテキスト欄等に含まれていたというマニアがニッコリしそうな仕掛け。
この隠し要素の代表的な1枚、《大嵐のジン》は英名で《Tempest Djinn》。
高い人気を誇った『テンペスト』の名を与えられているだけあってか、カード自体も強力。3マナと軽く、島の枚数分のパワーという打撃力の高さ、飛行、タフネス4の硬さ、を兼ね備えた名カードだ。
当時のスタンダードでは、この青のトリプルシンボルのクリーチャーを用いた青単色のデッキが多くのプレイヤーに用いられた。《魔術師の反駁》《潜水》などの優秀なインスタントで対戦相手の行動を阻害しつつ攻撃を通し続けて勝つ、テンポデッキという職人向けのジャンルだ。
『団結のドミナリア』には《大嵐のジン》を彷彿とさせる、3マナでタフネス4、パワーも変動制の《傲慢なジン》がいる。
こちらは墓地のインスタントおよびソーサリー分のパワーを持ち、それだけでなくそれらの呪文のコストも軽減するなかなかのハイスペックっぷり。似たようなカードで《認識を食うもの》を知っている世代としては、3マナでこんな優れたクリーチャー、アリなのか?と驚きを隠せない。
そんな《傲慢なジン》を使って、『ドミナリア』時代の青単を思い起こさせるデッキが現行スタンダードにあるぞ。
20 《島》 1 《天上都市、大田原》 -土地(21)- 4 《傲慢なジン》 1 《トレイリアの恐怖》 -クリーチャー(5)- |
4 《考慮》 4 《消えゆく希望》 4 《衝動》 4 《かき消し》 4 《否認》 4 《アーテイの嘲笑》 4 《発見への渇望》 4 《中略》 2 《渦巻く霧の行進》 -呪文(34)- |
2 《心悪しき隠遁者》 2 《真髄の針》 2 《とんずら》 2 《呪文貫き》 2 《本質の把捉》 3 《一蹴》 2 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
この青単はクリーチャーを最小限に抑えた構成。《考慮》《衝動》《発見への渇望》とインスタントのドローが揃っているので、これで数少ないクリーチャー・切り詰めた土地・打ち消しやバウンスなどの妨害手段と、その時その時場面ごとに必要なカードを引き込むという算段だ。
ジンが戦場に出ればすべてのインスタントが1マナ軽くなるので、より一層手数での勝負が挑めるという作りだ。《アーテイの嘲笑》は{1}{U}で何でも確定で打ち消せる可能性を秘めている!
たった5枚のクリーチャーを引くことができたら、それを何が何でも打ち消しで守って勝つ。パワフルなカードを叩きつけるデッキと異なり、それらを捌いて戦う綱渡り的なデッキであり、完璧に使いこなすのは容易ではない。
興味は持ったけども使いこなせる自信がない……というプレイヤーは、まず《トレイリアの恐怖》や《帳簿裂き》といったクリーチャーを足して、自分なりに使いやすい形に調整してから徐々に洗練させて尖ったデッキに仕上げるのが良い。最初は「こんなの回せない」と思っても、数をこなせば馴染んでくるからマジックは不思議なゲームだ。
このリストはサイドボード込みでBO3仕様になっているが、出たとこ勝負・理想的にクリーチャーと打ち消しを引き込んだら勝ちなBO1からスタートすることも同時にオススメしていこう。
20 《島》 1 《天上都市、大田原》 -土地(21)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《帳簿裂き》 4 《トレイリアの恐怖》 -クリーチャー(12)- |
4 《考慮》 4 《消えゆく希望》 4 《とんずら》 4 《呪文貫き》 4 《本質の把捉》 4 《かき消し》 3 《発見への渇望》 -呪文(27)- |
1 《幽体の敵対者》 2 《真髄の針》 4 《否認》 3 《軽蔑的な一撃》 4 《一蹴》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
《傲慢なジン》と同じく《トレイリアの恐怖》も魅力的なクリーチャーだ。下手すりゃ1マナで5/5の護法持ち! デカくてタフなナイスフィニッシャー候補。
《帳簿裂き》で謀議すればより早くこの海蛇の登場を促せる。このリストではジンは不採用で、《秘密を掘り下げる者》が主役ポジション。さながらモダンやレガシーのデルバーデッキのスタンダード版だ。
デッキとしてはより軽く、《とんずら》などで対戦相手の除去を回避して完走を目指す。
《トレイリアの恐怖》以外は素のスペックは低いので、殴り合いは苦手。なので《本質の把捉》もがっちり4枚採用だ。
青単では《本質の散乱》を完全に上回っていそうなこのクリーチャー打ち消しではあるが、ジン入りの構成だと散乱の方が青マナ1つのみで運用できるという点で勝っていることもある。このあたりの呪文のチョイス、綺麗に4枚ずつ揃えるか、それとも1枚挿しも含めて散らすか。そこのところも使用者の個性や癖が反映されて面白い。
絶対にこれ!という正解のリストがあるわけではなく、プレイヤーの数だけ手に馴染むベストな形がある。上記2つのリストの良いとこ取りなジン&デルバー型も大いに結構! 君だけの青単をぜひとも構築してほしい。
《大嵐のジン》にハマった世代も、その時代を知らない新しい世代も、『ドミナリア』と『団結のドミナリア』の2セット間の繋がりを感じながら、イカした青単ですべてを捌いて勝利する感覚を味わってくれ! 願わくば、僕の呪文は打ち消しまくらないでほしいけどね!
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