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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
『団結のドミナリア』新環境! 緑系アグロ編(スタンダード)
前々回、前回と続けて『団結のドミナリア』参入後のスタンダードのデッキについて考えてみた。どちらも前環境から存在するデッキであり、そしてローテーションの影響を受けつつもその形を維持できるものであった。
今回はそれらと比べると、ちょっと話は違ってくる。なぜなら……。
19 《冠雪の森》 4 《ハイドラの巣》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(25)- 4 《隆盛な群れ率い》 4 《群れ率いの人狼》 4 《老樹林のトロール》 4 《原初の敵対者》 -クリーチャー(16)- |
4 《吹雪の乱闘》 3 《蛇皮のヴェール》 4 《レンジャー・クラス》 3 《達人の咎め》 1 《不自然な成長》 4 《エシカの戦車》 -呪文(19)- |
4 《辺境地の罠外し》 2 《ウルヴェンワルドの奇異》 3 《豊穣の碑文》 4 《壊れた翼》 2 《古霊招来》 -サイドボード(15)- |
今回取り上げるこの「緑単アグロ」。環境最終盤のイベントでもいくつも優勝や上位入賞を果たしていた、超強力なアーキタイプなのだが……これらは「赤単アグロ」や「エスパー・ミッドレンジ」とは異なる未来をたどる予感だ。
このデッキは上記の2つに比べて、ローテーションで失うものが多すぎるのだ。それはもう、アーキタイプの存続が危ぶまれるレベルで……。
マナ総量に対して優れたサイズのクリーチャーを展開し、前のめりに攻撃して勝つアグロデッキの鑑とも呼ぶべきデッキである。そんなクリーチャーの中でも2マナ3/3《群れ率いの人狼》、そして3マナ4/4トランプルの《老樹林のトロール》がスタンダードから離れる。
どちらも単純なサイズで優れているだけでなく、カードドローや死亡後もマナ加速兼トークン生成と、ただ殴り合うことだけに特化したわけではない点が素晴らしい。
また4マナ域には2021-2022シーズンのスタンダードにおける緑の象徴《エシカの戦車》が。
1枚でクリーチャー3体分以上の働きが見込めて、除去1枚で完全に対処されにくいそのしぶとさと、そしてパワー4と単純な打撃力の面でも優れた、緑のアグレッシブなデッキ全てを支えた正真正銘のパワーカードだ。
《エシカの戦車》もついにスタンダードでお役御免か……人狼も老樹林も含めてパイオニア(エクスプローラー)など他のフォーマットでまだまだ活躍できるので、これからも末永くよろしくな!
……気持ちのよい別れを済ませたところで、ドミナリア環境の「緑単アグロ」のリアルを受け止めよう。
主力が軒並みいなくなった! 上記の3強以外にも《吹雪の乱闘》《冬を彫る者》と氷雪土地のパッケージ、《ハイドラの巣》や《レンジャー・クラス》といった継続戦闘能力を上げるパーマネント、いざという時の《蛇皮のヴェール》……細かな部分でもこのデッキを形作っていたものが失われてしまう。
もちろん残るものもある、《古霊招来》《ウルヴェンワルドの奇異》など優れたものも残るのだが……以前のようにあまり単色にこだわらずにデッキを組んでも良い、そんな転換点に来ているのかもしれない。
『団結のドミナリア』は特にキッカーや版図など、多色のデッキを推奨するものになっている。だったらいっそ、それに思いっきり乗っかった緑のアグロを組んでみるのが良いんじゃないのか?
1 《山》 1 《森》 1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 4 《ジェトミアの庭》 2 《ジアトラの試練場》 1 《スパーラの本部》 1 《ラフィーンの塔》 3 《草茂る農地》 3 《落石の谷間》 4 《スランの門》 -土地(23)- 4 《無謀な嵐探し》 2 《結ばれた者、ハラナとアレイナ》 4 《ニショーバの喧嘩屋》 4 《ヤヴィマヤの偶像破壊者》 4 《ラノワールの緑後家蜘蛛》 4 《ラーダの扇動者》 2 《連合の大将軍、ラーダ》 -クリーチャー(24)- |
4 《ガイアの力》 4 《稲妻の一撃》 4 《力線の束縛》 1 《群れの渡り》 -呪文(13)- |
赤緑を中心とした版図アグロのサンプルリストだ。
版図とは基本土地タイプを1つでも多くコントロールしていればボーナスを得られる能力。なので《ジェトミアの庭》などの基本土地タイプを複数持つもの、そして新しく《スランの門》も加えてマナ基盤を作ることでその恩恵を受けるわけだが、5色出るからと言って必ずしも5色デッキとして組まなければならないわけではない。
このリストでは青と黒のマナ自体は使わない形にしている。可能な限り色マナトラブルの発生を抑えようと努力しているわけだ。タップインの土地が多くなっているので、1マナのクリーチャーは不採用。1ターン目はタップインを処理して2ターン目から仕掛けるという狙いでやっていくのが現実的かなと。
《ニショーバの喧嘩屋》や《ガイアの力》など、版図で5種類揃えば非常にマナ効率に優れた打点を生み出すカードを使って、スピーディーに勝負を終わらせることを狙っている。《無謀な嵐探し》と《結ばれた者、ハラナとアレイナ》で速攻を与えてクリーチャーをガンガン攻撃に送り込んでいこう。
《ヤヴィマヤの偶像破壊者》もキッカーで速攻を与えられるので、2マナ3/2か3マナ4/3速攻かを場面によって使い分けて、効率よくダメージを叩き込んでいきたいね。
緑系多色も良いが、やっぱり単色で組みたい! そんなこだわりもわかる、わかるよ。なので失ったものは多いなりに緑単を考えてみた。
19 《森》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《廃墟の地》 -土地(23)- 4 《隆盛な群れ率い》 2 《辺境地の罠外し》 4 《茨橋の追跡者》 2 《秋の占い師》 4 《ウルヴェンワルドの奇異》 1 《バイパーの牙、サリス》 4 《クウィリーオンの獣呼び》 4 《ラノワールの壌土語り》 4 《活力を穢すもの》 1 《シルバーバックの古老》 -クリーチャー(30)- |
4 《尾の強打》 3 《勢団の銀行破り》 -呪文(7)- |
自分がプレビューを担当したのもあって、《クウィリーオンの獣呼び》はかなり期待している1枚。
これの能力を誘発させるためにも可能な限りクリーチャーを投入! 《活力を穢すもの》を主役とすることで、ゲーム終盤に1~2マナのちっぽけなクリーチャーを引いてきても無駄になりにくい、むしろ打点を大きく引き上げてくれるグッドドローと呼ばれるような形を意識してみた。
こうやって見ると失ったものは多いけれどもデッキにはなるなぁと。マナシンボルが濃厚なカードは多くないので《カープルーザンの森》《ヤヴィマヤの沿岸》を用いて赤か青を足すという構築もアリだろう。
本音は《羅利骨灰》《太古の番人、ネマタ》を足したいところだが、《ラノワールの荒原》が来てからが無難かな……。
「緑単アグロ」の振り返りと、新たな時代の緑系アグロについて考えてみた。色を絞る構築が功を奏した前環境、そこから一変して多色デッキになるか、あるいは単色魂を維持し続けるか? 皆の好みはどっちかな? 良い緑のアグロが組めたら、こっそり教えてね!
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