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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
シャークスティル(レガシー)
日本で賞金制のオープントーナメントが久しぶりに開催されたその裏で、アメリカなどの他国でもさまざまな大会が開催され、紙のカードで遊ぶ喜びの声をSNS上で見ることができる。どこの国も皆、楽しそうで見ているこっちも嬉しくなるね。
特に大会後にテーブルの上にデッキを広げ「今日の相棒はこれ! 優勝したぜ!」みたいな画像付き報告を見られるようになったのは、当コラムにとっても良いネタになるので嬉しい限り(笑)。
本日はアメリカ東部の都市、ボルチモアで開催された「Legacy $5K - SCG CON Baltimore」の結果より。参加者115人の大会でトップ8に入賞したデッキとは?
2 《平地》 3 《島》 2 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《沸騰する小湖》 2 《虹色の眺望》 1 《ヘリオッドの高潔の聖堂》 1 《カラカス》 1 《不毛の大地》 3 《ウルザの物語》 -土地(21)- 2 《永久のドラゴン》 -クリーチャー(2)- |
2 《両替機》 1 《魂標ランタン》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 4 《行き詰まり》 1 《否定の力》 2 《放浪皇》 4 《意志の力》 4 《サメ台風》 4 《虹色の終焉》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 1 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(37)- |
1 《山》 1 《封じ込める僧侶》 2 《外科的摘出》 1 《墓掘りの檻》 2 《耳の痛い静寂》 2 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《青霊破》 1 《安らかなる眠り》 1 《至高の評決》 2 《摩耗 // 損耗》 -サイドボード(15)- |
な、なんだぁこのデッキは……その名は「シャークスティル/Sharkstill」! スティルというのはレガシー黎明期に最強のコントロールとして君臨したアーキタイプのこと。当時は「ランドスティル」というデッキがあらゆるデッキの心をへし折っていたものだ。
スティルとは《行き詰まり》のことで、かなり癖の強いエンチャントである。
これが戦場にある時にプレイヤーが呪文を唱えると、これを生け贄に捧げつつその対戦相手はカードを3枚引けるというものだ。
2マナで置いとけば3枚ドローと、マナ効率はすこぶる良いのだが…プレイヤーが、という誘発条件が曲者。これ、《行き詰まり》を出しながら自分が呪文を唱えると、対戦相手が3枚引いてしまうのである。
つまり「勝ちに行こう」とフィニッシュを務めるクリーチャーやプレインズウォーカーを唱えるようなプレイングとは相性が悪い。つまりは呪文を唱える以外の方法で勝ちに行けば良いので、《ミシュラの工廠》を出してこれをクリーチャー化させて殴る……という気の遠くなるようなコツコツとした勝ち筋をたどっていく。
いつかは対戦相手がしびれを切らし、カードを3枚引かせてくれる。その物量差で相手の反撃を打ち崩し、また《行き詰まり》で蓋をして……という、好きな人は本当に大好きな戦術を用いるデッキだった。
「ランドスティル」は軽量で強力なクリーチャー、たとえば《秘密を掘り下げる者》などの台頭により、序盤に蓋をするタイミングが見つからず、同時に《終末》などの奇跡呪文の登場により別の形のコントロールへとバトンを託し、レガシーの表舞台からは去った……のだが。最近ではその奇跡デッキも含めてヘビーなコントロールデッキは下火に。趣味のデッキとなってしまったわけだが、だったら思いっきり趣味に走れば良いじゃないかと。このリストはそんな思いがあふれた、オリジナリティが高くカッコいい逸品だ。これでしっかり上位入賞しているのがたまらないよなぁ。
シャークの名の通り《行き詰まり》と組み合わせるのは《サメ台風》。
サイクリングすれば飛行持ちのサメを生成できるので、呪文を唱えずに戦闘要員を確保できる。サメに攻撃されるのがきつくなってきた相手が動いてくれるのをまったり待ちつつ攻撃するという寸法だ。
そしてもうひとつの勝ち手段、それが《ウルザの物語》!
構築物を生成できるので、これで地上を攻めていくのだ。Ⅲ章能力ではアーティファクトを戦場に直接出せるのだが、これもまた《行き詰まり》下で呪文を唱えずに勝つためのカードが割り振られている。《両替機》だ。
なんだこのカード?って人も少なくないだろう。《両替機》は『ニューカペナの街角』の統率者デッキ用のカードだ。レガシーならリーガルってわけだな。
このアーティファクトは手札の入れ替えと、宝物およびならず者の生成ができる。手札からカードを捨てる時に誘発するので、《サメ台風》のサイクリングや《行き詰まり》で手札があふれた時にも、これでカードを追放しておいてクリーチャーか宝物に両替することができるのがテクニカルだね。
《永久のドラゴン》も加わり、徹底して呪文唱えずに勝てる構築を目指した「シャークスティル」。惚れ惚れする良いデッキだ。
結果報告のデッキ写真も、カードの並べ方が非常に美しくてグッときちゃったよ。紙の大会に行ったら皆もデッキ写真を撮って、僕の心を揺さぶってほしいところだね。さあ、今日もデッキリストを検索だ。
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