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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ダークハート・ドレイン(モダン)

岩SHOW

 今週もやってきたぞ! クールなデッキ、クールなカード、クールな戦術テクニック……細かいことは気にしない! 少しでもクールに感じたのであればそれがすべて! チャラいようで真面目で無骨、でも遊び心にあふれまくっている! そんなデッキを紹介できればという願望に従って書き続けているシリーズだ。

 クールなものって人と共有したくなるんだよな。黙って秘密にしているってのもクールではあるんだが、どうせ良いものなら皆で分かち合おうぜ、と。同じゲームを好きなもの同士、世代や地域、文化は違ってもクールは全人類共通! まあこんな暑苦しくなくても良いのだが、「あ、これ自分も好きだな」という反応がひとつでもあれば、このコラムの存在意義もあるってなものよ。

 この「今週のCool Deck」はどちらかというとクセの強い、マニア好みのデッキを取り上げることが多い。平たく言えば万人受けはしないデッキ、になるかな。誰からも愛されるデッキというものがあるのなら、決してそんなことはなくその存在を知る者自体がごく一部、そんなデッキもあって良いじゃないか。

 今週のデッキもこれを読んでくれた全員が良い反応をしてくれるとは思っていない。しかしながら、いやだからこそと言おうか。刺さる人にはブッ刺さる! 僕もそんな刺さった人間だから断言できる! これこそ「Cool!」と言いたくなるデッキだッッ!

Nikki Galatowitsch - 「???」
MasonForge Series Modern $1.2K!!! / モダン (2022年8月7日)[MO] [ARENA]
4 《
2 《
4 《草むした墓
4 《新緑の地下墓地
2 《育成泥炭地
1 《闇孔の小道
1 《ラノワールの荒原
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ

-土地(20)-

4 《薄暮薔薇の棘、ヴィト
4 《ドロスの大長

-クリーチャー(8)-
2 《ズアーの宝珠
4 《夜の衝突
4 《コジレックの審問
4 《思考囲い
2 《塵へのしがみつき
3 《吸血鬼の口づけ
2 《梓の幾多の旅
2 《繁茂の絆
2 《森の暗き中心
3 《不憫な悲哀の行進
4 《傲慢な血王、ソリン

-呪文(32)-
3 《戦慄の朗詠者、トーラック
3 《致命的な一押し
3 《夏の帳
2 《スフィアー・オヴ・アナイアレイション
4 《虚空の力線

-サイドボード(15)-
Melee より)

 

このクールなデッキは?

 とあるモダンのオンライントーナメント結果をチェックしていると現れた、まさしく異形のデッキリストである。人によってはデッキにすら見えないかもしれない。やりたいことがなんとなくわかってもその全容も把握できないかもしれない。でも、マニアは反応してしまう。クリーチャーの欄を見た瞬間に「こいつはクールな予感がするぜ」と。こいつの名は……そうだな、「ダークハート・ドレイン」とでも呼ぼうか!

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:大長と薄暮薔薇

 全8枚のクリーチャーのチョイスがヤバい。《ドロスの大長》と《薄暮薔薇の棘、ヴィト》!

 大長はゲームの開始時に能力が誘発するという稀有でクールな能力の持ち主。開始時の手札にあれば公開して対戦相手のライフ3点を失わせ、こちらは3点のライフを得る。このようなライフを吸い取る類のアクションは「ドレイン」と呼ばれている。初手7枚に引き込めるかは運次第だが、マナ不要・手札も減らさずにドレインできるのは素晴らしい。

 一方、ヴィトはこちらがライフを得れば対戦相手のライフを同量失わせるというクールな能力の持ち主。回復するだけの効果を実質ドレインにしてしまう、さまざまなコンボが狙える1枚だ。

 この両者は吸血鬼という点で共通している。大長はかなりイレギュラーな見た目をしてはいるが……それもまたクールということで。で、これを活かして《傲慢な血王、ソリン》を採用。

 ソリンの能力で手札から公開したあとしばらく手札に居座る大長を早いターンに出すというのが主な狙い。3ターン目に6/6飛行・絆魂、こいつぁクールな制圧力! さらにヴィトと並べば、戦闘ダメージで6点・絆魂で6点回復してさらに6点と、猛烈にライフをすり減らすことが可能となる。これぞ瞬殺!

 ソリンは吸血鬼に絆魂を持たせることもできるので、ヴィトを強化しながら自身でその能力を誘発させてライフを失わせるというムーブも可能だ。

 憶測にはなるが、このデッキをデザインした人は大長が好きなんだろうな……この個性的な1枚をどれだけ活かすか、考え抜いた末のこのリスト。そんな愛情が伝わってくる、クールなだけでなくハートウォーミングなデッキでもあるのだ。

クールポイントその2:古の暗き中心 (ダークハート)

 このデッキにはヴィトと組み合わせるためにライフを得るカードがてんこ盛りになっている。《繁茂の絆》《吸血鬼の口づけ》《不憫な悲哀の行進》……これらでこちらは回復しながら相手のライフを詰めていこうという算段だ。

 そんなライフ回復カードの中でも一際異彩を放つのが《ズアーの宝珠》《森の暗き中心》!

 他のデッキリストでお目にかかることはほとんどないカードだな。どちらも土地を生け贄に捧げることでライフを回復できる。ヴィトを出したら一気に土地を生け贄に! 土地6枚生け贄で12~18点、それだけで決着がつくゲームもありそうだ。

 《森の暗き中心》は森タイプの土地しか生け贄に捧げることができないのだが、そこは《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》があるので縛りがないのも同然だ。

 この特徴的なエンチャントを用いたドレインデッキなので「ダークハート・ドレイン」と名付けさせてもらった。クールに感じてもらえたら幸いだ。

 また、これらの土地参照カードのために《梓の幾多の旅》を忍ばせているのもシブいぜ。

回転

 これで土地をより早く戦場に並べつつ、Ⅱ章能力ではしっかりライフ回復。こういう細かいところまでケアすることで自分のやりたいことを結実させる。これぞ、クールなデッキである。

さらなるクールのために

 ヴィトを用いたコンボとして《回生 // 会稽》の《会稽》との一撃必殺がある。

 それについて何か参考になるものはないかと探してみたら……過去に自分が書いていた。ワオ、クール。自分でやったことを覚えていない(覚えられない)のはノットクールだが……良ければこちらもご覧になってね! 懐かしい気持ちになれるかも。

 また、吸血鬼に寄せて構築するのも一興。《蒐集家、ザンダー卿》のようにソリンからコスト踏み倒しで出したい巨大吸血鬼は他にもいるので、モダン環境の血に飢えた怪物たちを今一度チェック!

クールなまとめ

 モダン環境でこのデッキに勝ち続けられるポテンシャルがあるのかというと、トーナメントレベルでは少々難しいものがありそうというのが個人としては正直なところ。

 しかしだからと言って、使ってはいけないわけではないし戸惑う必要もない。自分がクールと感じたカードに愛情を注ぎ、立派なデッキを組み上げる。気分だけのクールを突き詰めて、その良さをわかってくれる人が他にひとりでも見つかれば……それがクールデッキなんだよ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool Drain it all!!

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