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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
環境最終盤! 最後まで味わい尽くすグリクシス(スタンダード)
このコラムが公開されるのは……『団結のドミナリア』のプレビューがいざ始まろうというところかな。スタンダードをはじめとした各構築フォーマットに影響を与えるかもしれない新セットの内容が明かされる時がいよいよ来るぞ! いやぁもう楽しみでしょうがないな。
一部のカードや登場するキャラクターなどはチラッと公開されてはいるが、まだまだ謎だらけ。それゆえに期待感が高まる一方だ。何せ『ドミナリア』の時は初登場の英雄譚でお馴染みの次元の過去を描き、そして現在を生きる伝説的な人物たちの子孫、ウェザーライト号での冒険……それはもう物語上においてもカード的にも、非常に重要なセットだったよ。早くドミナリアを再訪する新セットに触れたい!
そんな待望のセットが出る頃には、スタンダードも新しい環境が始まるね。現行スタンダード、『ニューカペナの街角』環境は近年でも最も長い期間続いたシーズンになった。そろそろ新しい刺激が欲しいところ!
……でもあるが、同時に長く続いたこの2021-2022スタンダード環境もいよいよ終わりを迎えるということでもある。今しか、今しか遊べないぞ! そう考えればたっぷり遊んだはずなのに、まだやり残したことがあるように思ってしまう。
1 《島》 4 《ザンダーの居室》 1 《難破船の湿地》 4 《清水の小道》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 2 《憑依された峰》 4 《荒廃踏みの小道》 2 《目玉の暴君の住処》 -土地(26)- 4 《空飛ぶ思考盗み》 3 《税血の収穫者》 4 《死体鑑定士》 2 《欲深き者、エヴリン》 2 《トリックスター、ザレス・サン》 -クリーチャー(15)- |
3 《電圧のうねり》 2 《呪文貫き》 3 《かき消し》 2 《冥府の掌握》 2 《眼識の収集》 4 《鏡割りの寓話》 1 《食肉鉤虐殺事件》 2 《漆月魁渡》 -呪文(19)- |
1 《欲深き者、エヴリン》 2 《強迫》 2 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》 1 《電圧のうねり》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 2 《魂の粉砕》 2 《食肉鉤虐殺事件》 1 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
このリストは先日開催されたスタンダードのイベントの優勝デッキだ。環境の末期も末期、大末期に出現したのは独創性の高い、そしてどこか懐かしい要素も持っている。この時期にこんな素敵なデッキに会えるなんて……スタンダードの奥の深さ、器の広さを改めて実感。
デッキとしてはグリクシス(青黒赤)カラーの中速。スタンダードではもうどれほど見たかわからない定番のアーキタイプではあるが、そこにほんの少し別のエッセンスを加えるだけでその印象をガラリと変えている。
ニューカペナ・チャンピオンシップで登場した「グリクシス吸血鬼」がそのベースとなっている。《欲深き者、エヴリン》の持つライブラリーを追放してのアドバンテージ獲得能力。これを活かすために《税血の収穫者》《死体鑑定士》と組み合わせ、ド派手なアクションはないがジワジワと確実に有利な状況を作っていく……玄人好みの名デッキだ。
それらの吸血鬼の中には、他のタイプも持ち合わせている者が。「ならず者」である。ならず者は黒と青の主要なタイプとして度々取り上げられ、現行スタンダードでは『ゼンディカーの夜明け』にこのタイプを参照するカードがある。
それらの中から《空飛ぶ思考盗み》《トリックスター、ザレス・サン》を採用したのが上記のリストってわけだな。
《空飛ぶ思考盗み》はならず者で攻撃することで対戦相手のライブラリーを切削し、その墓地に8枚以上カードが落ちれば全ならず者のパワーを上昇させる。
そして《トリックスター、ザレス・サン》は攻撃している状態のならず者を手札に戻すことで手札から直接攻撃している状態で戦場に出せる。そして対戦相手に戦闘ダメージを与えることに成功すると、その墓地からパーマネントを1枚いただける。思考盗みで切削したカードを美味しくちょうだいしようってわけだが、同時にザレスは「ならず者=吸血鬼を手札に戻せる」カードであると考えることもできる。《死体鑑定士》およびエヴリンを手札に戻し、それらを再度唱えることで戦場に出た際の能力を再利用しようという寸法だ。
クリーチャー個々のサイズで勝負するというより、いかにアドバンテージと結びつけるかを重視する今のスタンダードを体現したようなデッキだ。
思考盗みもザレス・サンも、スタンダードで使用可能な期間はあとわずか。つまり、ならず者であり吸血鬼である連中とつるんでワルさができるのももうあと少し、限られた期間でしかない。このデッキのように、次期シーズンは残るカードと去ってしまうカードの組み合わせで、まだ誰も形にしていないデッキが組めるかもしれない。
夏の終わりまで、その最後のひと時を楽しむ。その時間が限られているからこそ、スタンダードというフォーマットは面白いのだ。
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