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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アブザン小悪疫:自分も損して勝ってこそ(モダン)

岩SHOW

 現実世界では絶対にイヤだが……マジックにおいては、自分も損するカードが好きだったりする。自分も痛いからこそ相手にも痛い目にあわせることができる、そういうカードが昔からたまらなく好きなんだよな。

 問答無用、対戦相手を叩き潰す純粋なパワーカードももちろん良いもの、気分も良いし最高。でも、そういう一方的なものよりもなんかこっちの手も煩わせる暴れ馬的なカードの方がそそられるというか、なんかスマートに感じるというかね。

 ほら、紳士的じゃないか。「もちろん私も同じ目に遭いますので、どうか納得していただけませんか?」というジェントルな要求をするカードでゲームをしたい。

 ただ、自分が受ける被害はなんらかの手段で軽減するちょっとズルいデッキであることがまた重要。そこも含めてのスマートさ、スタイリッシュさだ。

 今日もいつものように当コラムで紹介するデッキを求めてリストを漁っていると。モダンで琴線に触れるジェントルなデッキを発見。これは取り上げるっきゃないでしょ!

IPlayBadDecks - 「アブザン小悪疫」
Magic Online Modern League 5勝0敗 / モダン (2022年7月21日)[MO] [ARENA]
3 《
2 《神無き祭殿
2 《草むした墓
1 《インダサのトライオーム
4 《湿地の干潟
2 《血染めのぬかるみ
2 《悪臭の荒野
1 《無声開拓地
1 《ロークスワイン城
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
4 《トロウケアの敷石

-土地(24)-

4 《恐血鬼
2 《陰謀団の先手ブレイズ

-クリーチャー(6)-
4 《致命的な一押し
4 《コジレックの審問
4 《小悪疫
4 《未練ある魂
4 《名誉回復
4 《虹色の終焉
3 《ヴェールのリリアナ
2 《飢餓の潮流、グリスト
1 《不笑のソリン

-呪文(30)-
2 《封じ込める僧侶
2 《戦争の報い、禍汰奇
2 《戦慄の朗詠者、トーラック
2 《ダウスィーの虚空歩き
1 《ゲトの裏切り者、カリタス
1 《ケイヤの手管
2 《冥途灯りの行進
2 《虚空の杯
1 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ

-サイドボード(15)-

 

 モダンの黒を中心とし白と緑を足したデッキをご紹介。このデッキの主役は《小悪疫》!

 全プレイヤーはライフ1点を失い、カード1枚を捨て、クリーチャーと土地をそれぞれ1つ生け贄に捧げねばならない。

 対戦相手の資源(リソース)をカード3枚分も失わせるので効果は大きいカードではあるが、自分もその被害を受けるということで、何も考えずに唱えても美味しい思いができるわけではない。

 こちらはクリーチャーを出さずに相手は出しているという状況なら、カードの枚数的アドバンテージ差は五分というところ。もう一声! そのリクエストにこのリストはしっかり応えられる作りになっている。

 《小悪疫》が自身にとって最も足を引っ張る要素はやはり土地の生け贄。クリーチャーは出さないデッキ作りはできても、土地は絶対必要だもんな。なので、古来より組み合わせて使う土地がある。《トロウケアの敷石》だ。

 これが墓地に置かれるとライブラリーから平地タイプの土地を持ってきて戦場に出せる。土地破壊に耐性があるだけでなく、《小悪疫》のような生け贄に捧げるカードと組み合わせても実質的に損失ゼロで運用できるということだ。

 《小悪疫》と併せる場合は{B}が得られないというのが唯一の欠点ではあるが、そこは《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》でカバー。

 この2枚の組み合わせであれば2ターン目に《小悪疫》というムーブも可能で、相手が1ターン目に出した土地と《敏捷なこそ泥、ラガバン》などのクリーチャーをまとめて刈り取れる。これが決まればゴキゲンなゲームの始まりだ。

 手札から捨てるカードも工夫によって損失をゼロにできる。《未練ある魂》や《恐血鬼》は格好の捨て札候補。

 どちらも墓地から唱えたり出したりと、捨てたカードをクリーチャーとして戦場に出すことができる。サイズは小さいものではあるが、《小悪疫》でリソースを削っている状況であれば相手からは大きなクリーチャーが出てくる心配もない。小粒でもピリリと辛いところを見せつけながらじっくりと攻めていこう。

 《虹色の終焉》《致命的な一押し》でクリーチャーを含むパーマネント対策はバッチリ。《名誉回復》は土地すらも破壊するのだから、《小悪疫》と併せてハメ技的に土地を攻めていくプランも取れる。

 《小悪疫》とともに自分にもデメリット有りなパーマネントを削る手段として採用された《陰謀団の先手ブレイズ》にも注目だ。

 アートのインパクトも半端ないが、毎ターン土地、クリーチャー、アーティファクト、のうち1つの生け贄を要求する。生き延びればゴリゴリと土地を削り、自由なゲームプランを許さない極悪クリーチャーだ。これの生け贄とは無縁なプレインズウォーカーを出すことで、一方的な盤面作りも可能にしているデッキ構築がニクイね!

 とにかくこちらの思惑通りに、自由のないアリ地獄に引きずり込んでやる!というワルでありながら、使うカードは自分にもマイナスに働く要素を持っているから紳士的。どうかな、自分が損するカードの魅力、伝わったのなら嬉しいんだけどな。

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