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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
親和:帰ってきたデッキ、帰ってこられる環境(モダン)
このコラムでも何度も何度も同じ話を繰り返していることがあるが、マジック歴で見れば僕ももうすっかりおじいちゃんだ。大目に見てくれると助かるね。
何度も繰り返してしまう話題として「懐かしいカードやデッキが活躍していると嬉しくなる」というものがあると自覚している。これもおじいちゃんマインドの表れだな。古き良き友が活躍しているのを聞いたような感覚だよ。アイツも頑張ってるな、こっちもまだまだ負けてられないなと、爽やかな気持ちになれるものだ。
盛者必衰はマジック界にも当てはまること、どれだけ一時代を築いたデッキでもさまざまな要因でその勢力を弱めて使用率が落ち、次世代のデッキにとってかわられ追いやられる時がやってくる。それだけ魅力的な新しいデッキが誕生しているという証拠ではあり、そのため喜ばしい現象ではあるが……同時に少し寂しいという気持ちも。
どんどんと時代が進むとそうした入れ替わりがあったこと、そしてデッキそのものを忘れてしまうのだが……マニアたちの記憶の片隅で生き続けたそれが、時折トーナメント結果に姿を現すことがある。そのような意外な再会は、長くマジックを続けたものにとってはほっこりと喜ばしいものだ。
というわけで、今回もそんな懐かしいデッキの2022年最新版をお届けしよう。フォーマットはモダンだ。
1 《島》 4 《霧霊堂の橋》 2 《剃刀潮の橋》 4 《ダークスティールの城塞》 2 《宝物庫》 4 《ウルザの物語》 -土地(17)- 4 《メムナイト》 4 《羽ばたき飛行機械》 1 《ジンジャーブルート》 4 《金属ガエル》 4 《滞留者の相棒》 4 《思考の監視者》 2 《マイアの処罰者》 -クリーチャー(23)- |
1 《溶接の壺》 4 《バネ葉の太鼓》 1 《上天の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 4 《頭蓋囲い》 4 《金属の叱責》 2 《物読み》 1 《影槍》 2 《イラクサ嚢胞》 -呪文(21)- |
3 《刻まれた勇者》 2 《トーモッドの墓所》 2 《狼狽の嵐》 3 《減衰球》 2 《ハーキルの召還術》 3 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
モダン自体が懐かしいカードを堪能できるコンセプトのフォーマットではあるのだが、トーナメントともなると新しい時代のカードに彩られた流行りのデッキが支配的になりがちではある。
ただそんなハードな環境ではあっても、モダンはファンデッキでも十分に勝てるというのがまた魅力だな。使用可能なカードの範囲が広いので、デッキの地力は基本的に高い。時代の流れで姿を消したデッキであっても久しぶりに対戦すると「あれ、結構つええな」という感想を抱くのはあるあるだ。
このリストもそんな思いにさせてくれそうな懐かしのデッキ、「親和」だ。親和(アーティファクト)能力を持ったカードをコスト軽減して唱えるために、軽量のアーティファクトを最序盤からばら撒く、速攻で仕掛けるアグレッシブなデッキだ。
かつてはモダンで最強の座を争うデッキの一角ではあったのだが、キーカードである《オパールのモックス》を失ったことで大きくパワーダウン。それ以降数をガクッと減らし、遭遇するのはレアなデッキとなってしまった。
この2022年に組まれた、帰ってきた親和デッキ。まず、矛盾したことを言うようだが……このデッキは上記のかつてモダンで鳴らした親和デッキとは構造が異なる。だがこれこそ正真正銘の親和デッキだ。
どういうことかというと……その《オパールのモックス》から展開するアグロデッキは、「親和」とは名ばかりで親和能力を持っているカードが0枚、なんてこともザラだったのである。え?と思うのも無理はないが、その「親和」と呼ばれたデッキも、最初期は《金属ガエル》や《物読み》など親和カードを搭載していた。しかしながら時代の移り変わりとともに、軽くて強いアーティファクト・クリーチャーが登場したことで、親和カードはとってかわられることになった。それでもなお、プレイヤーたちは呼び慣れた「親和」というデッキ名を使い続けた、とまあこういうわけ。
では改めて上記リストを見てみよう。そこには親和と書かれたカードが……ある!なんと16枚も! つまりこのリストはかつて暴れ回った親和の再来にして、その始祖である真なる意味での親和デッキの再来でもあるのだ。まさかこの夏に《金属ガエル》や《マイアの処罰者》の姿を見るなんて、なんだか嬉しくなっちゃうよ。
ただまあすべてが懐かしいというわけではなく、親和を蘇らせたのは2021年に新登場した親和カードおよび《霧霊堂の橋》《宝物庫》などのアーティファクト・土地の追加によるところが大きい。
土地を出し、《メムナイト》《羽ばたき飛行機械》《バネ葉の太鼓》などを連打して親和カウントを稼ぎ、カエルにマイアに《滞留者の相棒》、《思考の監視者》などの親和クリーチャーを早期ターンに降臨させて開幕からガッツリ攻める! これぞ親和の本領だ。
ただ親和持ちを並べるだけではやや物足りず、また展開を加速するための小さなアーティファクトにも意味を持たせるために、親和デッキでは《頭蓋囲い》を使うのが定番だ。
かつてはこれを《墨蛾の生息地》に装備させてフィニッシュというのが基本戦術だった。このデッキでは生息地は不採用だが、代わりにクリーチャーを用意する土地として《ウルザの物語》を使用する。
Ⅱ章能力で生成する構築物は、これもまた《頭蓋囲い》の追加のようなもの。トークンを2体生成しつつⅢ章能力で《真髄の針》《影槍》など状況に合わせたアーティファクトを追加し、パワーで押し切ってやろうという算段だ。
囲いか構築物によるビートダウン、その周りに群がる親和クリーチャー……ブン回った時の展開力は、現モダンの使用率上位デッキにも比肩しうるもの。このリストも128名参加のトーナメントにてトップ16と大健闘。親和の可能性を感じさせてくれる、ワクワク感にあふれたリストだな。
あなたが今慣れ親しんでいるデッキも、いずれは他のデッキにそのポジションを奪われることになるかもしれない。新しいカードが加わりカードプールが拡がり続けるモダンというフォーマットにおいて、これは避けられぬ運命である。
でも同時に、追いやられたってあきらめる必要はない。いつまでも自分が好きなデッキを磨き続けても良いのだ。チャンスは巡ってくる、その返り咲きのタイミングを窺いながら……好きなデッキをいつまでも愛してあげてほしいね!
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