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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グルール・ユートピア:またの名を「ポンザ」(モダン)
《Mystic Remora》がついに光るのかぁ。
『アイスエイジ』収録のコバンザメが描かれたアートが特徴的なこの1枚は、リリースからしばらくは注目されることが少ないマニアックなカードであったが……Elder Dragon Highlanderという遊び方が普及したことで一気に注目度がアップ。
青いデッキを使うプレイヤーは誰もが求める1枚になり……そしてその非公認なフォーマットは統率者戦と名を改めて公式に採用され、ますますプレイヤー数が増加。そうなるとこのコバンザメの需要はさらに高まったのだが、一度も再録されておらず手に入りにくいカードのひとつとなっていた。
そんな《Mystic Remora》はこのたびSecret Lair『Special Guest: Kelogsloops』に収録されることに。
新規アートとともにフォイル版もリリースされるので、キラキラ煌びやかなフルフォイル統率者デッキを作ろうとしているプレイヤーにとっては朗報だね。
この特別なセットはオーストラリアのアーティストKelogsloops氏が手がけたアートを用いたカードを4枚同梱しているもので、いずれも氏のアニメ調のタッチと淡く幽玄な色使いがカードに絶妙にマッチした逸品揃い。統率者で輝く《Mystic Remora》《芽ぐみ》に加えて《珊瑚兜への撤退》《楽園の拡散》とモダンで特定のデッキタイプを成立させているカードも収録されているので、幅広い層から需要を集めるセットになりそうだ。
特に《楽園の拡散》はデッキに採用する枚数も多く、これをSecret Lair仕様に統一できればかなりカッコいいデッキに仕上がりそうだ。
キツネやウサギが描かれたイラストもとてもかわいくて、デッキをテーブルに並べて眺めるだけでも有意義な時間になりそう。
……というわけで今回は《楽園の拡散》を用いるデッキの中でも定番のものをご紹介!
6 《森》 1 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(20)- 4 《東屋のエルフ》 1 《下賤の教主》 1 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 3 《砕骨の巨人》 3 《忍耐》 3 《歴戦の紅蓮術士》 2 《運命の神、クローティス》 2 《血編み髪のエルフ》 3 《激情》 -クリーチャー(22)- |
4 《楽園の拡散》 3 《稲妻》 4 《血染めの月》 2 《略奪》 1 《レンと六番》 3 《大いなる創造者、カーン》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(18)- |
1 《ワームとぐろエンジン》 1 《歩行バリスタ》 1 《トーモッドの墓所》 2 《大祖始の遺産》 2 《夏の帳》 1 《液鋼の塗膜》 1 《嵐の乗り切り》 1 《窒息》 1 《罠の橋》 1 《三なる宝球》 1 《引き裂く突風》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《虚空の杯》 -サイドボード(15)- |
モダンにおけるグルール(赤緑)カラーデッキの代表格で、《楽園の拡散》を搭載していることが特徴のため「グルール・ユートピア」と呼ばれたり、キャリアの長いプレイヤーだと「グルール・ポンザ」という表記をしたりもする。ポンザとはファストフードのメニューが由来とのことで、画像検索してみると具を包み込んだピザのようなものが出てくる。
お腹が空いてきたところでポンザの概念を。この名前で呼ばれたデッキはウルザ・ブロックの時代に登場した。《石の雨》《略奪》《なだれ乗り》などのカードで対戦相手の土地を破壊し続けるのを主戦略としている。機能不全に陥った対戦相手を一方的に叩くという、ある種究極の優越感を追求したアーキタイプだ。
ポンザが活躍したころから最早20年以上の時が経過しているが、当時のデッキに思い入れのあるプレイヤーは土地破壊要素を少しでも持つデッキのことをこう呼びたいってわけだな。
現在のポンザはゴリゴリに「土地を破壊する」と書かれているカードで固められているわけではないが、マナを自由に使わせないことがメインコンセプトであることには変わりはない。それを体現するのが《血染めの月》と(このデッキには入っていないが)《月の大魔術師》。
基本でない土地は山である。これによって基本土地を積極的に戦場に出してこない相手のマナベースを機能不全に陥らせる。基本土地がなく赤マナを有効に使えない対戦相手であればこれで一方的にタコ殴りってわけだ。
そんなイージーウィンを許すわけにはいかないので、モダンのデッキには基本土地を少しでも良いので搭載しておくのが定石だ。なので現在のポンザはこの数枚の基本土地を狙い撃つ。全部片っ端から破壊するのは難しいし、そもそも土地破壊用のカードばかりで構築することになってデッキパワーが下がってしまうからね。
《略奪》で破壊する、あるいは《大いなる創造者、カーン》がその破壊役になる。
カーンの[-2]能力でサイドボードから《液鋼の塗膜》をサーチ。
対戦相手のアップキープにこれで土地をアーティファクト化。これでカーンによりその土地は能力を起動できなくなるので、メインにてその土地を使ってマナを得られないという状況を作れるのだ。
また同様に土地をアーティファクト化させた上で[+1]能力でそれを対象に取ることで0/0のクリーチャーにして問答無用で墓地送りに、というテクニックも。どんなデッキが相手でもマナが使えなきゃ怖くない。健康的な考え方だよな?
この戦法を支えるのが《楽園の拡散》によるマナ加速というわけ。最速2ターン目に《血染めの月》で瞬殺なんてこともある。この拡散と緑の得意とするマナを加えるクリーチャーを用いて3~4マナのカードをいち早く展開するわけだが……このデッキならではのマナクリーチャーが《東屋のエルフ》。
森タイプの土地をアンタップするという形の変則的なマナ加速で、これはつまり森である土地に貼り付ける《楽園の拡散》との相性が抜群ってわけだ。
この2枚で一気に4マナ捻出して、カーンや《反逆の先導者、チャンドラ》、《血編み髪のエルフ》などのパワーカードを叩きつけて押せ押せのゲーム展開に持ち込んでいくのだ。
デッキのキーカードはユートピアと言い切る気持ちもわかるだろう?
このリストでは採用されていないが、最近はこのユートピアデッキにも2022年の赤の主役と呼べるカードが採用される傾向にある。そう、《鏡割りの寓話》だ。
赤くてクリーチャーが入っていればこれが出てくると思った方がいいというレベルのカードになりつつある、クリーチャーを採用していればどんなデッキでも輝く超優秀なエンチャントは、モダンでもそのシェアを確実に伸ばしている。《忍耐》や《激情》との組み合わせは文字通り鬼。
そんな感じで最新のスペシャルな美麗カードで彩られる、古からの戦法を用いるポンザデッキ。対戦相手がKelogsloops氏の《楽園の拡散》を1ターン目に出してきたら「そのイラスト良いですよねぇ」などとまったり話しかけつつ……2ターン目に「月」はやめてくれ!と心の中で祈ることにしよう。
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