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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
青赤緑のテンポデッキ:帳簿を割いたら墓地が増える(レガシー)
《帳簿裂き》……なかなかにアウトローな名前の鳥さんだ。
2マナ1/3飛行、プレイヤーが同一ターンに2回目の呪文を唱えた際に能力が誘発、「謀議を行う」という『ニューカペナの街角』の新メカニズムをフィーチャーしたデザインである。
このカード、正直なところ使われるまで能力を完全に把握はできていなかった。対戦相手が2回呪文を唱えても誘発するなんて、思ってもみなかったよ。
また謀議という能力についても、多くのプレイヤーが想像していたよりもずっと強いものだったことに驚いたんじゃないかな。カードを1枚引いて1枚捨てる、ルーターと呼ばれる見慣れた能力に「+1/+1カウンターを置けるかも」というオプションが付くだけでまるで別物のようになった。
ただ手札を入れ替えるだけでなくタフネスが上昇し得るということで、ダメージを与えたりマイナス修整を与える除去では対処しにくいという点が、このカードに印刷された額面から想像できないレベルの硬さをもたらしている。
というわけでセットリリース直後からかなりのやり手であると期待されていた1枚である《帳簿裂き》。2回行動に絡んで強くなるという特性から、どちらかといえば低コストの呪文がひしめくスタンダード以外のフォーマットにてポテンシャルを発揮することが予想されていたが……実際のところ、パイオニア・モダンといったフォーマットでこのクリーチャーを試すデッキが多数見られた。
そして1ターンに複数行動といえば、外せないのがレガシー。このフォーマットで新たなスター候補となるか?
クリーチャーに求めるハードルが高いレガシーで、このワルな鳥を羽ばたかせるデッキを紹介しよう!
1 《島》 1 《神秘の聖域》 3 《Volcanic Island》 3 《Tropical Island》 1 《Taiga》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 4 《帳簿裂き》 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 1 《厚かましい借り手》 2 《濁浪の執政》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《もみ消し》 4 《稲妻》 1 《紅蓮破》 2 《目くらまし》 1 《激しい叱責》 4 《表現の反復》 4 《意志の力》 -呪文(26)- |
1 《厚かましい借り手》 1 《激情》 2 《外科的摘出》 2 《花の絨毯》 2 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《燃えがら蔦》 1 《激しい叱責》 1 《無のロッド》 1 《紅蓮地獄》 1 《否定の力》 1 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
レガシーでは一大勢力を担う青赤系デッキ。細かい違いを含めればいくつかのバリエーションに分かれるが、上記のものはテンポデッキと呼ばれる軽い呪文で手数勝負をするデッキに分類される。
青いデッキにはお約束カード《渦まく知識》《思案》と場面ごとに必要なカードを引き込める、強力すぎる1マナドローがある。
これらで土地やその他のカードを適宜手札に補充して戦うのがテンポデッキの基本だ。
そして《意志の力》《目くらまし》とマナを必要としない打ち消しも忘れちゃいけない。
序盤の攻防においてこれらの打ち消しで対戦相手をシャットアウトするのが得意で、その序盤戦をいつまでも続けたいので《不毛の大地》で土地を破壊し、《霧深い雨林》などのフェッチランドを《もみ消し》してズルズルダラダラとこちらのペースに付き合ってもらう……
というのが昔ながらのレガシーのテンポデッキだ。
ここに赤が絡むとクリーチャー除去兼ライフにとどめを刺す《稲妻》などのダメージ呪文、1マナ最強クリーチャーの呼び声も高い《ドラゴンの怒りの媒介者》、そして青いデッキとの戦いにおいてキラーカードとなる《紅蓮破》《赤霊破》といた面々が加わる。
決定打は2マナにしてテンポデッキが求める手数の確保という面ではベストカードである《表現の反復》がある。
これらで低コストの呪文を毎ターンザクザクと唱えて行動回数で対戦相手を圧倒。最後は肥えた墓地をコストに《濁浪の執政》でフィニッシュ!そんなデッキかな。
このリストはそんな青と赤のテンポデッキに《帳簿裂き》を4枚フル投入。最序盤からドローして除去、ドローして打ち消しなどと2回行動は得意中の得意とするデッキだけに、このならず者を着実に育てて強力な打点へと昇華させることが可能となっている。
また、謀議で手札を捨てるということは墓地の枚数が増えるということ。《ドラゴンの怒りの媒介者》の昂揚を達成させたり、《濁浪の執政》のための餌を用意したりと、単に自分自身が強いというだけでなくデッキの他のカードとも噛み合っている点が素晴らしい。
そしてこの墓地耕しの達人《帳簿裂き》がいるからこそ、このデッキは緑を足している。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を使うっていうわけだ。
スタンダードで現役だった当時、このカードのあまりの強さに恐れおののいていたプレイヤーも少なくないことだろう。あのウーロはレガシーにてバリバリ現役で、その桁違いのカードパワー相変わらず爆発させている。ライフ回復・ドロー・土地展開と嬉しい要素を3つ詰め込んだ6/6のボディは色を足す理由として十分すぎるもの。
素出しで序盤の展開を支えた後、たっぷり貯まった墓地から脱出能力で降臨してゲームを終わらせる。厄介な《帳簿裂き》にやっとの思いで《剣を鍬に》を唱えたらとんでもない二の矢が……という光景、今後見る機会が増えそうだ。
最後に、良いところばかり挙げてきたレガシーにおける《帳簿裂き》の見過ごすことはできない弱点に触れておこう。青いカードであるため、本文中にも登場した《紅蓮破》《赤霊破》でサクッと潰されてしまうということだ。
せっかく育ててもいつ1マナで潰されるかわからない、なのでこれのサイズアップだけを考えて謀議で手札を捨てていくと悲しい結末に繋がることも……あくまでクリーチャー軍団の一角と認識して、これにすべてを懸けたプレイングをして1マナで足元をすくわれないように!
逆にこういうカードが出てきたことで、アンチ青の赤い二大インスタントは今後ますます必須カードとしての地位を確立していくことだろうなぁ。
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