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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:リスのお宿(ヒストリック)

岩SHOW

 さあ行くぞ! 私、岩SHOWが広大なネットのデッキを漁っている時に「おいおいこれはクールだなぁ」と感じたデッキを紹介する、Cool Deckのコーナーだ。

 クールの基準というものは……特にない。何をクールに感じるかはその時のテンションや体質にも左右されるし、何に気持ちがフォーカスしているかにもよる。大会で勝ったとかランク戦で無双した、という要素を重要視はしていないが、独創的な構成でそれを成し遂げたものなんかはクールに見えるよね。

 『ニューカペナの街角』リリース直後の今、プレイヤーたちがカードを集め出して、ある程度望んだ形のデッキを組み上げている、もっとも独創性が発揮されるタイミング。やはり新カードを使ったデッキはクールに見えるというもの。ただ単に新カードのみで固めたデッキよりも、既存のカードの可能性を拡げているリストには特にクールさを感じざるを得ない。

 というわけで今回は、『ニューカペナの街角』のカードの登場で誕生したデッキタイプ、しかも新カードと組み合わせることで見知っていたカードたちが別の輝きを放つようになった、そんなクールなデッキを紹介させていただこう!

Ganjara - 「Squirrel Hotel」
ヒストリック(BO1) (2022年5月)[MO] [ARENA]
4 《
4 《踏み鳴らされる地
4 《奔放の神殿
4 《岩山被りの小道
4 《カルニの庭
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《耐え抜くもの、母聖樹

-土地(22)-

4 《ゴブリンの壊乱術士
4 《若き紅蓮術士
4 《リスの将軍、サワギバ
4 《悪魔的な客室係

-クリーチャー(16)-
4 《厚鱗化
4 《騒鳴の嵐
4 《禁じられた友情
4 《苗木の移牧
4 《フレイアリーズの歌
2 《ボーラスの壊乱者、ドムリ

-呪文(22)-
MTG Arena Zone より引用)

 

このクールなデッキは?

 フォーマットはヒストリック、ご覧の通りグルール(赤緑)カラー。まず、デッキ名がクールだなと、思わず目が留まったね。その名も「Squirrel Hotel」。リスのホテル、かわいく言うなら「リスのお宿」とかになるかな。古く節くれだった大木の中には小さなスイートルームが……みたいなメルヘンチックな光景が思い浮かぶ。

 おいおいクールデッキじゃなくてキュートデッキか? それはそれで結構なんだけども、もちろんクールな要素もあるぜ。見て行こうじゃないか。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:客室係がご案内

 リスのカードはいろいろと入っているのが一発で分かるが、ホテルとは? その要素を担うのが新カード《悪魔的な客室係》だ。

 クリーチャーが戦場に出ると誘発する能力、団結。このデビルの客室係はホテルの玄関先にてスタンバイ。クリーチャー様が戦場にご入店なさるといらっしゃいませと能力誘発。ファンタジ―の世界らしく客室へご案内する前に武器をチェックするとのことで、それによりお預かりした武器を用いて自身のパワーを上昇させる、というフレイバーなのだろう。クリーチャーを戦場に出すことでドンドンとパワーを倍々にしていける、この分かりやすさが素晴らしい。

 セットリリース後はこれのパワーが数百、数戦、いや万を越えた値にまで成長しているスクリーンショットがSNS上に散見された。そりゃあこんなドリーミーでクールなカード、皆好きに決まってるって!

 リスを呼ぶ《騒鳴の嵐》をはじめ、《苗木の移牧》《禁じられた友情》《若き紅蓮術士》などのトークン生成カードが多数見られる。

 これによって客室係の団結を複数誘発させる!というシンプルな勝利への道が描かれているのが見て取れる。

 そこにさらに加わるのがリスのお宿の上客、《リスの将軍、サワギバ》だ。

 サワギバがいる状態でトークンを生成すると、追加でその数に等しいリスもやってくる。お連れのリスさんが行列を成してお越しくださったぞ! 客室係は今日も大忙し。客室係&サワギバがいる状況で《禁じられた友情》を唱えると……客室係のパワーは一気に16に! このマナ効率、クールすぎるな。

 トークンを展開して面で攻めるデッキに、客室係という一騎でぶち抜いていく要素が加わって……天下無敵感、クールすぎてたまんねぇ。

クールポイントその2:勝つために

 《悪魔的な客室係》はデッキに4枚のみ、これをサーチしたり同様の能力を持ったカードなども特には採用しておらず。そのあたりは1枚のカードに依存し過ぎないリアリズムが伺えるね。

 この文字通りのクールさは、楽しいデッキで勝つためにはとても重要なこと。そういった水増し要素は切り捨てて、トークンで純粋に殴って勝とうぜという、コンボに依存し過ぎないアグロデッキとしての側面も強く打ち出している。《ボーラスの壊乱者、ドムリ》などはその典型だ。

 《フレイアリーズの歌》もⅢ章能力が途轍もない破壊力を誇るトークンデッキの友である。クリーチャーにマナ能力を与えられるのも、客室係からの大量展開や《騒鳴の嵐》のストーム稼ぎにはもってこいでデッキの完成度を高めている。

 そして《厚鱗化》。クリーチャーを6/4のワームに、しかし能力はそのまま保持するという変則的な強化呪文だ。

 これは客室係に撃ち込むことで、団結誘発1回だけでもパワー12という致命的な存在に育てるためのコンボパーツだ。そしてそれと同時に、客室係を引けなかった時のフィニッシュを担うカードでもある。ゲームが長引いた時、小さなトークンが数だけ並んだ状況下で……超過で唱える! 見上げんばかりのワームの大群で、対戦相手をねじ伏せる!

 パーツが見事にデッキの戦術と噛み合った時、人はそこにクールを感じるのだ。

クールなまとめ

 《悪魔的な客室係》はロマンにあふれたカードであり、多くのプレイヤーの琴線に響きまくっていることだろう。パワー16,384で攻撃できたりするのは、正直こやつぐらいのもんだ。

 それをホテルの宿泊客、主にかわいいリスさんたちが後押しするというデッキのストーリー性も相まって、ニューカペナがまた新たなクールデッキを世に送り出したなぁとしみじみと。

 では今週はここまで。Stay cool! Welcome to our hotel!!

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