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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
一家の長でデッキ構築(3)ジアトラは生け贄を求むる(パイオニア)
『ニューカペナの街角』は『神河:輝ける世界』に引き続き、発展した都市を舞台としたセットとなった。
神河は近未来・サイバーパンクな世界観だったのに対して、ニューカペナの街はかつて我々の次元で黄金時代とも称された、近代化が進んだ1920年代のアメリカに近い空気感だ。今までのマジックにはない味わい深さで……正直言って大好きです。
他の次元に見られるような、アーティファクトなど科学が無茶苦茶発展しているのに中世ヨーロッパ風な石造りや藁ぶき屋根の家に住んでる、というアンバランスさもマジックらしくて良いのだが……魔法と科学をベースに発展した都市というナチュラルさは個人的にずっと求めていたものだった。
このニューカペナの摩天楼を築き上げたのは、デーモンと契約したドラゴンであるジアトラ、そして彼女が長を務める土建組一家に属する労働者たちだ。あれだけの規模の街を作り上げたのであれば、その一家が富と権力を手にするのも当然と言えば当然のこと。
《焼却するもの、ジアトラ》はそれを体現するかのように宝物を3つも生成する能力を持つ。しかも毎ターン誘発させることが可能だ。あふれんばかりの金銀財宝!
しかしながらそれには対価が必要だ。そう、クリーチャーの生け贄である……。
ニューカペナを支配する一家の長を主役としたデッキを構築するシリーズも第3弾。今回は《焼却するもの、ジアトラ》をフィーチャーしたデッキについて考えよう。
彼女はターン終了時にクリーチャーを生け贄とすることで、そのパワーに等しいダメージを任意の対象に与えつつ宝物を3つ生成する。伝説のドラゴン、そしてジャンドカラーと呼ばれる黒赤緑の3色らしい荒々しい能力がなんとも興奮を掻き立てる。
クリーチャーやプレインズウォーカーへの除去として機能すると同時に、プレイヤーにダメージを与えて一気に追い詰めることも可能となっているのが嬉しいところ。生け贄に捧げるクリーチャーの用意、そして宝物3つの使い道をしっかりと用意できれば、まさに鬼神のごとき活躍を見せてくれるはず。
これらの条件について考えた時、ジアトラ自身のカラーリングも相まってあるデッキが思い浮かんだ。フォーマットは……パイオニア。ちょうどMTGアリーナにパイオニア準拠の新フォーマット「エクスプローラー」がやってきたのもあって、注目を集めている環境だね。
そこでのジャンド、もとい土建組デッキと言えば……。
2 《血の墓所》 4 《荒廃踏みの小道》 4 《草むした墓》 4 《花盛りの湿地》 4 《闇孔の小道》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《岩山被りの小道》 -土地(23)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 4 《波乱の悪魔》 2 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 -クリーチャー(14)- |
4 《致命的な一押し》 4 《魔女のかまど》 4 《命取りの論争》 4 《パンくずの道標》 2 《暗殺者の戦利品》 2 《鏡割りの寓話》 3 《食肉鉤虐殺事件》 -呪文(23)- |
3 《思考囲い》 3 《燃えがら蔦》 2 《暗殺者の戦利品》 1 《軍団の最期》 3 《真っ白》 1 《食肉鉤虐殺事件》 2 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
「ジャンド・フード」! その名の通り食物を主軸とした、中速デッキの1つだ。
食物・トークンを生成するカード、およびそれの生け贄に関するカードを採用。中核とも言えるエンジンは《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》。
かまどで使い魔を生け贄に捧げて食物を得て、その食物を墓地の使い魔のために生け贄とすることで戦場に戻す。パーマネントの損失なく対戦相手のライフを1点奪い取ることが可能で、相手の攻撃をブロックしてから起動することで尽きぬブロック役を確保しながらライフを攻めるという正真正銘の攻防一体デッキである。
この食物の生け贄によって《パンくずの道標》が誘発、手札もモリモリと獲得して長期戦もどんとこい。
また生け贄というアクションが同一ターンで何度も何度も行われるので《波乱の悪魔》で大量のダメージを飛ばしたり、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》がガンガンに成長したりと決定力の高さも武器となっている。
理想的なゲーム展開に持ち込めた時の満足感が高く、人気のアーキタイプの1つとなっている。
ここに《焼却するもの、ジアトラ》を放り込みたいというのは……黒赤緑の3色好きにとっては自然な感情ではないだろうか。
ジアトラもまた生け贄を発生させる。しかもクリーチャー・カード1枚から宝物も含めれば計4つの生け贄に繋がる。《波乱の悪魔》で盤面を綺麗にお掃除してしまえる値だな。コルヴォルドでも十分ではあるのだが、このカラーリングのドラゴンが2体並ぶという、ちょっとしたオーバーキルな状況も体感してみたいもんだよ。
他にも土建組のカラーリングや生け贄というテーマから、パイオニアのジャンドで試してみたいニューカペナの新カード、あるねぇ。とりあえず……《土建組一家の魔除け》! これでしょう。
3枚もの瞬間的なアドバンテージをもたらすため、対戦相手のターン終了時に唱えて次のターンに追放した3枚をフルに使う、という贅沢プランを味わってみたい。墓地追放も《弧光のフェニックス》デッキのような相手にはブッ刺さるし、生け贄要求除去は《波乱の悪魔》がピクリと反応。3つのモードすべてが有用であれば、パイオニア環境でも強そうだなぁと。
あとはやっぱり《敵対するもの、オブ・ニクシリス》か。
彼の場合、上記のフード型だと犠牲能力で生け贄に捧げるクリーチャーの候補が少ないのが難点となる。何せ《金のガチョウ》を生け贄に捧げた場合、忠誠度が0のトークンが発生して即消え去ることになるからね。
なので食物シナジーを減らし、空いたスロットに《ラノワールのエルフ》や《忘れられた神々の僧侶》など他のクリーチャーもたっぷりと用意した、《集合した中隊》型や《ボーラスの城塞》型の方が効果的に運用できるだろうね。
2 《ジアトラの試練場》 2 《血の墓所》 4 《荒廃踏みの小道》 3 《草むした墓》 4 《闇孔の小道》 3 《花盛りの湿地》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《岩山被りの小道》 -土地(23)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 4 《波乱の悪魔》 2 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 1 《焼却するもの、ジアトラ》 -クリーチャー(15)- |
4 《魔女のかまど》 3 《致命的な一押し》 4 《パンくずの道標》 3 《命取りの論争》 2 《鬼流の金床》 1 《暗殺者の戦利品》 3 《食肉鉤虐殺事件》 2 《土建組一家の魔除け》 -呪文(22)- |
上記のリストにジアトラをはじめとした新カードをチョイ足しし、ジアトラのための生け贄クリーチャーを確保しやすくするために《鬼流の金床》も採用してみた。
元々のリストが完成度の高いフードデッキ、これ以上いじる必要もないかもしれないが……そういう強さが約束されているデッキだからこそ、こういうお試し枠を放り込んでもデッキとしては機能してくれるという安心感があるのも事実。
ヒストリックでフードデッキを組んでいた人なら問題なくエクスプローラーのそれが組めるので、MTGアリーナではこの土建組が食料供給施設を建造するデッキの姿を見る機会はかなり多くなることだろう(本コラムの執筆時時はまだ実装前)。そこにジアトラ含む新カードを投入して、思うがままに暴れる……大いにありでしょう!
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