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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

一家の長でデッキ構築(1)ラフィーンは謀議で勝利する(スタンダード)

岩SHOW

 お久しぶりってことになるのかな? ゴールデンウィーク期間は当コラムも休載となっていたので、1週間丸々更新がなかったことになる。皆、連休はどう過ごしていたかな?

 親しい人たちとマジックを通じて楽しいひと時を送っていた、それは最高。いつも通り仕事だけど家に帰ってMTGアリーナで一息、それも素晴らしい。タイミングも良く『ニューカペナの街角』の店頭販売およびオンラインでのリリースが合わさったので、新しいマジック体験に満ちた1週間になったはずだ。デッキ構築に頭をフル回転させる、良い意味での悩ましい日々を過ごしたんじゃないかな。

 このコラムが公開されるタイミングだと、ニューカペナの新カードについて研究がある程度進んで、このカードが強い・このデッキが環境の基準、みたいな新常識が知れ渡っていることかとは思う。ただ締め切りの関係もあって、このタイミングではそういった最新オブ最新のデッキを取り上げられないのが惜しい限りだ。

 なので今週は平日5日間という連載方式を利用して、ニューカペナの全「一家」の長を主役としたデッキアイディアを紹介してみようかなと。フォーマットもスタンダードのみならず色々取り上げられたらとね。ちょうどパイオニアが「エクスプローラー」という名前でMTGアリーナにやってくるので、このフォーマットへの注目度も上昇しているだろうからね。

 さて、一家のリーダーでデッキ構築するシリーズ初日、トップバッターを務めるのは一家の中でもマナ最軽量のトップである《策謀の予見者、ラフィーン》だ。

 常夜会一家のメカニズムは「謀議」。カードを1枚引いてから捨てる、「ルーター」や「ルーティング」と呼ばれる類の処理を行う能力だ。手札の枚数自体は増えないが、その内容を入れ替えることでより状況にマッチしたカードを手に入れられる。

 具体的には、必要以上に引いた土地をもっと役に立つカードに入れ替えるのがもっともよくあるケースだね。また墓地に落とすことで得するカードを活かしたりといった具合に、ゲームを円滑に進めてくれる便利なものだ。

 ただ、謀議はこれにさらにプラスの要素がある。クリーチャーと関係があり、手札を捨てた際に土地でないカードであったら、謀議を行ったクリーチャーに+1/+1カウンター1個を置くというオマケ付きだ。

 謀議を行う常夜会一家の長であるラフィーンは攻撃クリーチャーの数だけの謀議を行える。手札の大幅入れ替えとクリーチャーのがっしり強化を狙えるわけで、ラフィーン自身は1/4と控えめなスペックながらも大きなダメージを叩き出す可能性を持っている。

 3色要求とはいえ3マナと軽いので、デッキのキーカードとして複数採用しやすい。さらに伝説のクリーチャーであっても謀議という能力の性質上、これを引きすぎて困ることはないだろうね。

 というわけでラフィーンを主役にしたリスト、こんな形はどうだろうか。

岩SHOW - 「エスパー・ミッドレンジ」
スタンダード (2022年5月)[MO] [ARENA]
1 《平地
2 《ラフィーンの塔
3 《さびれた浜
4 《連門の小道
3 《砕かれた聖域
4 《陽光昇りの小道
4 《清水の小道
1 《皇国の地、永岩城
2 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《目玉の暴君の住処
-土地(25)-

4 《エイヴンの心臓刺し
4 《帳簿裂き
4 《光輝王の野心家
4 《策謀の予見者、ラフィーン
1 《常夜会一家の介入者
-クリーチャー(17)-
3 《消失の詩句
4 《婚礼の発表
2 《常夜会一家の魔除け
1 《虚空裂き
3 《漆月魁渡
4 《放浪皇
1 《蜘蛛の女王、ロルス
-呪文(18)-

 前環境でも人気の高かった「エスパー(白青黒)ミッドレンジ」。この環境では「中速常夜会」とでも呼んだ方が雰囲気が出るか?

 《漆月魁渡》《放浪皇》と強力なプレインズウォーカーが参入したことにより作られたデッキで、これらと《婚礼の発表》《蜘蛛の女王、ロルス》など、とにかくトークンを生成して戦場を作っていくのが特徴。

回転

 また白と黒の誇るクリーチャー除去に青の《否認》《軽蔑的な一撃》など打ち消しを搭載することで、ゲームを自分にとって理想的な速度な展開に持っていく。アグレッシブなデッキ相手にはコントロール的に立ち回り、自分よりも遅いコントロールにはクリーチャーで押す攻めのデッキとなる、その柔軟さが強みである。

 そのエスパー・ミッドレンジを《策謀の予見者、ラフィーン》を主軸に組んでみた。《帳簿裂き》とともに謀議を行い、ガンガンと手札を入れ替えて相手に合わせたベストなゲーム展開を進められるようにサポート。

 同時に《光輝王の野心家》《放浪皇》とラフィーンとでトークンなどを強化して殴り切る。

 コントロールのイメージが強いカラーリングでのビートダウンを仕掛けて勝利する仕様だ。特に《漆月魁渡》の忍者や《蜘蛛の女王、ロルス》の蜘蛛といったブロックをすり抜けられるトークン・クリーチャーを強化するのはかなりのプレッシャーとなるだろう。

 謀議は墓地を満たすという要素でも有効活用できる。《エイヴンの心臓刺し》を採用し、墓地にマナ総量が異なるカードを揃えて3/3飛行・接死という強烈な航空戦力を確保だ。

 墓地に落ちたカードは単に放棄されたカードではなく、《見捨てられたぬかるみ、竹沼》で回収して戦力として利用可能だ。

 デッキ内にスペースがあれば《記憶の氾濫》のようにフラッシュバック呪文を入れることで謀議や各種カードの切削から次の呪文に繋がっていく構築を狙ってみても面白いものになりそうだ。トークンと相性の良い《忘却の儀式》とかも良いね。

 サイドボードには《軽蔑的な一撃》《強迫》《食肉鉤虐殺事件》などのお約束カードとともに、『ニューカペナの街角』の色対策カードも併用してみたい。《痛烈な一撃》であれば後手でも《無謀な嵐探し》などに対処しやすく、《一蹴》は手札消費なしで大きな時間稼ぎが可能と、この2種類は特に強力に見えるね。

 追加の《常夜会一家の介入者》で相手の大技を退け、墓地r対策には《未認可霊柩車》を走らせるなど、ニューカペナはサイド後のゲームにおいて輝くカードも抜かりなしの布陣だな。

 以上が《策謀の予見者、ラフィーン》を主役としたスタンダードのデッキ案だ。これが公開される頃には似たようなリスト、はるか上位互換のリストが出回っているかもしれないし、あるいはラフィーンはまだまだ鳴りを潜めているかもしれない。

 個人的には扱いやすい伝説のクリーチャーだと考えているので、皆もこのカードやラフィーンというキャラクターに興味が湧いたなら、デッキを作って楽しんでみてね!

 では次回は貴顕廊一家のあの人を……。

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