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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
セレズニア・トークン:ニューカペナ後の改造案とともに(スタンダード)
このコラムを執筆しているタイミングでは、ぼちぼち『ニューカペナの街角』の新カード情報が出回り、今回のメインテーマである3色の組み合わせ=5つの一家の詳細も明かされてきた。
それぞれの一家のテーマは他のものと異なるので、各人の好みによって評価は分かれるはず。こういう時は素直に自分が「あ、良いなコレ」「なんか楽しそうだな」と思ったその直感を信じて、次期環境のデッキをイメージするのが最善ではないかな。
マジックは実際にゲームをプレイする以前の段階、デッキ構築もまた醍醐味である。そこの部分を先入観などなく純粋に楽しめる期間というのは、実はそう長くない。このカードはどれぐらい強いのか、実際にプレイするとどんな挙動になるのか? そういった幻想にあふれた構築は、セットリリースの前から楽しんでおくべきだと僕は考えている。新カードを眺めて脳内であれこれ膨らませる、今しかできない遊びを満喫してほしいね。
そんなわけで、プレビュー期間における当コラムではお馴染みになった新カードを採用したデッキに対する考察を今回もやっていきたい所存だ。あくまで、いちプレイヤーの考え方として受け止めてもらって、皆のアイディアを引き出すお手伝いができればとの思いでやっている企画。デッキがあまり強くなかったとか、もっとコンセプトに沿ったカードがあったとか、そういうのはご愛敬として流してもらえたら助かるね。
ではまず……現スタンダードのデッキを1つ紹介するところからスタートしよう。
3 《森》 3 《平地》 4 《草茂る農地》 4 《枝重なる小道》 2 《ハイドラの巣》 2 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《皇国の地、永岩城》 2 《廃墟の地》 -土地(22)- 3 《裕福な亭主》 3 《絡みつく花面晶体》 3 《スカイクレイブの亡霊》 2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 2 《夜明けの空、猗旺》 1 《ドリッズト・ドゥアーデン》 1 《ブレタガルドの守護者、メイヤ》 -クリーチャー(15)- |
2 《冥途灯りの行進》 4 《婚礼の発表》 2 《フェリダーの撤退》 3 《収穫祭の襲撃》 4 《エメリアの呼び声》 4 《エシカの戦車》 2 《放浪皇》 2 《レンと七番》 -呪文(23)- |
3 《エメリアのアルコン》 3 《粗暴な聖戦士》 1 《スカイクレイブの亡霊》 2 《真髄の針》 2 《冥途灯りの行進》 2 《勇敢な姿勢》 2 《ドゥームスカール》 -サイドボード(15)- |
『神河:輝ける世界』期スタンダードの「セレズニア(白緑)トークン」だ。
その名の通り《エメリアの呼び声》などのトークンを生成するカードをたらふく詰め込んで《エシカの戦車》とのシナジー(相乗効果)を堪能する、クリーチャーで殴り勝つことを狙った中速のデッキである。
戦車と言えば最強の相方《レンと七番》。
これが生成するツリーフォークは土地の枚数分のサイズを誇る超大型トークンで、これを戦車でコピーすればかなり強靭な戦場が作り出せる。
ツリーフォークのサイズアップに貢献し、またレン自身の[+1]能力で墓地に落ちることでフラッシュバックで唱えられるなど相性の良い《収穫祭の襲撃》も採用。
これにより《ドリッズト・ドゥアーデン》《ブレタガルドの守護者、メイヤ》といった他のデッキではあまり見ないクリーチャーを複数展開するのも強力だ。
土地が複数枚戦場に出ることを見越しての、メイヤや《フェリダーの撤退》のチョイスが光る。
白を採用していることで現環境における最強カード候補《放浪皇》《婚礼の発表》も使える点が素晴らしく、またこれらもトークン生成カードである。
シナジーに大きく依存しているデッキではないながらも、いざという時はそれをフル活用して戦えるという分厚い構成のデッキだ。
白が絡むことでサイドボードからは《粗暴な聖戦士》などパーマネント対策も水増し可能で、それを緑の《絡みつく花面晶体》《裕福な亭主》といったマナ加速でサポートするのはまさしく鉄板。プレイしていて安定しているデッキだなと感じること間違いなしであり、1枚挿しの遊び心も光るかなりイカしたリストだ。
このトークンを用いるセレズニアに採用してみると面白そうな『ニューカペナの街角』の新カードを紹介しよう。
1枚目から早速3色目が追加されることになるが、今回の看板的神話レア・一家の長をカード化した3色の伝説クリーチャーサイクルより、《宴の結節点、ジェトミア》を。
クリーチャーを特定数以上コントロールしているとボーナスを付与するタイプの全体強化であり、トークン・デッキであればまずスタートラインの3体は容易に揃えられる。全体パワー+1と警戒を与えることで、攻防同時に行える軍団の誕生だ。
6体となると少々ハードルは上がるかもしれないが、同じくクリーチャーデッキと対戦する際にはゾロゾロ並べて睨み合うのが基本的な展開になるので、これもそんなに難しいことではない。そうなるとさらにパワー+1でトランプルと、膠着状態を打破するのには最も効果的な能力を得られる。
そして9体以上だと、さらなるパワーの上昇と二段攻撃! 二段攻撃とトランプルの組み合わせは二桁ダメージを弾き出して即座にゲームを終わらせるもの。とはいえ9体とか並ぶか?と思われるかもしれない。まあ安定してそんな数が並ぶということではないが……。
実際に上記のリストをプレイしていて、同じセレズニア系のデッキと当たった場合にはこのような光景に幾度か遭遇した。お互い横並びデッキだと、こんな具合に殴るに殴れずにズルズルとゲームが長引いてしまいがち。その状況下で引いてきて、これ1枚でフィニッシュまでもっていけるという《宴の結節点、ジェトミア》はかなり期待できそうだなと、そう睨んでいるね。
《舞台座一家の魔除け》もパワーを上げてトランプルを与えるカードであり、また除去やそれ自身がトークンを生成するなど器用なインスタントだ。
その器用さゆえにひとつひとつの効果はコスト比で見れば大人しめではあるが、デッキコンセプトには合っているので1~2枚忍ばせてみたいな。
3色目として赤を足すのであれば《ジェトミアの庭》など赤マナを得る土地が必要になってくる。《裕福な亭主》の宝物も頼りとなるだろう。宝物と言えばこんなカードもあるな……《祝祭の出迎え》。
このクリーチャーは他のクリーチャーが戦場に出てくると能力が誘発、3つのモードから1つを選んで解決する。その「宝物1つをタップ状態で生成する」というのは足した赤マナを得る手段、そして純粋に次のターンに本来より1マナ重い呪文が唱えられるマナ加速として、堅実な働きが期待できる。
トークンが複数体生成された際には宝物以外に《祝祭の出迎え》自身に+1/+1カウンターを置いての強化、そして2点のライフを得る回復能力と、これまた誘発させればさせただけ得するものが揃っている。《エシカの戦車》などで一気に美味しい思いをしたいところだ。
《祝祭の出迎え》と同じく団結能力を持った《噂の蒐集家》も、一見地味ではあるがドローというどんなデッキでもあれば嬉しいボーナスを与えてくれるので、考慮に値する1枚じゃないかな?
1 《森》 1 《平地》 4 《ジェトミアの庭》 4 《草茂る農地》 3 《枝重なる小道》 3 《岩山被りの小道》 2 《針縁の小道》 1 《ハイドラの巣》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 1 《バグベアの居住地》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(24)- 4 《裕福な亭主》 2 《スカイクレイブの亡霊》 1 《敬愛されるレンジャー、ミンスク》 1 《夜明けの空、猗旺》 1 《ブレタガルドの守護者、メイヤ》 4 《祝祭の出迎え》 1 《噂の蒐集家》 2 《宴の結節点、ジェトミア》 -クリーチャー(16)- |
2 《舞台座一家の魔除け》 1 《冥途灯りの行進》 4 《婚礼の発表》 2 《フェリダーの撤退》 2 《収穫祭の襲撃》 2 《エメリアの呼び声》 4 《エシカの戦車》 1 《放浪皇》 2 《レンと七番》 -呪文(20)- |
というわけで上記のセレズニアに赤を足してみたリストがこちら。「ナヤ・トークン」、あるいは「舞台座トークン」なんて呼んでも良いかもしれない。
もちろん、これはあくまで当コラム執筆時点で公開されているカードのみを採用した形になるので、もっともっとトークン戦略と噛み合うカードがあるかもしれない。その場合はそれらをどこに採用するか? むしろコンセプトを少々変えたデッキを組んでみるか? など、皆がそれぞれのデッキを妄想して楽しんでみてほしいところ。
今週はこんな感じでプレビュー時点で思いついたデッキを既存のデッキとともに紹介していくので、どうぞよろしく!
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