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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:ネクロディスク~極悪の系譜~(過去のフォーマット)
さあいくぞッ! クールなデッキを紹介する金曜日!
クールな出来事……毎週のように新しいクールさが押し寄せてくるものだが、やっぱり当コラム的にはプロツアー復活のニュースを取り上げないわけにはいかないな。
そもそも僕が担当するデイリー・デッキはプロツアー『ゲートウォッチの誓い』の優勝デッキを紹介するところから始まった(はずだよな?記憶が曖昧だが……)(編集より:記憶は正確です。「岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青赤エルドラージ(モダン)」が第1回で、2016年2月29日掲載でした)。
そしてこの定期的に開催される世界最高峰の競技イベントにおいて、結果を残したデッキや野心的な構築を施したデッキなどなど……いろいろなクールなデッキと出逢えるのは最高だったな。
もちろん、ここ2年ほど開催されていたチャンピオンシップなどのオンライン・トーナメントでもさまざまなデッキとの邂逅があったのだが、やっぱりプレイヤー同士が世界中から一堂に会し、面と向かってカードを手にぶつかり合うプロツアーの持つ熱量やドラマこそクールなものなんだよなぁと。
あと当コラムでも過去のイベントをプロツアーと呼びつつ、今のそれにあたるイベントの名前が違うことがマジック初心者に混乱を招きかねなかったからね。なんだかホッとしているよ(笑)。
この流れだと、今回は過去のプロツアーにて活躍したデッキを紹介することがまあバレバレだよね。隠してもしょうがない、今回はこのデッキを紹介するには良い機会じゃないかな?
18 《沼》 4 《不毛の大地》 -土地(22)- 2 《走り回るスカージ》 -クリーチャー(2)- |
4 《暗黒の儀式》 4 《強迫》 3 《Demonic Consultation》 4 《ネクロポーテンス》 4 《暴露》 2 《ネビニラルの円盤》 4 《Contagion》 4 《堕落》 3 《闇の旋動》 4 《生命吸収》 -呪文(36)- |
3 《次元の狭間》 3 《火薬樽》 2 《Dystopia》 2 《非業の死》 3 《迫害》 2 《ネビニラルの円盤》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
以前に紹介した「メイヤーオース」。これが優勝したのは、数あるプロツアーの中でも特に伝説と呼ばれる大会の1つであるプロツアー・シカゴ1999。
決勝戦、「メイヤーオース」とトップデッキによる逆転合戦を演じた準優勝デッキこそ、この「ネクロディスク」だ。
ネクロとは《ネクロポーテンス》。
2000年代以前のマジックを象徴するパワーカード中のパワーカードだ。ライフ1点を手札1枚に変換する、シンプルにして強力過ぎる能力を持ったエンチャント。しかもイラストも名前も、黒マナ3つが並んだコストもクールすぎるときたもんだ。
この鬼強ドローエンジンであるネクロ、弱点は通常のドローができなくなるという点。ライフが支払えないほど減ってしまえば、それは新規の手札を得られないということになる。
そこで重宝するのがディスクこと《ネビニラルの円盤》だ。
これは土地以外のパーマネント(当時はプレインズウォーカーがいないので)全部を根こそぎ破壊するリセットボタンであり、対戦相手の戦力を殲滅しつつ自身のネクロを破壊して通常ドローを取り戻そうという魂胆だ。
ネクロによる圧倒的ドローとディスクによる無慈悲なコントロール、この2枚を抱えた「ネクロディスク」は、当時マジックをプレイし始めた僕のようなプレイヤーにとっては、眩いばかりのクールなデッキとして映ったものだ。
シカゴの決勝戦へと進出した上記の「ネクロディスク」はエクステンデッドというフォーマット仕様のもの。《不毛の大地》《暗黒の儀式》など現在のレガシーなどでもお馴染みのカードもあれば、ネクロや《Demonic Consultation》などこの時代にしか目にする機会がなかったマジック黎明期ならではのパワーカードも並ぶ、今見ても胸がワクワクする色褪せない魅力を放つデッキだ。
デッキとしてはコントロールに分類される。《強迫》《暴露》で手札を捨てさせ、《Contagion》などでクリーチャーを除去。
そして《堕落》《生命吸収》を対戦相手に撃ち込んでライフを削り切って勝利する。
ゲームプラン自体はシンプルだが、ネクロとディスクの組み合わせがこのプランをこの上なく強固なものへと昇華させている。
ネクロデッキならではの特徴として、ピッチスペルが山盛りなことが挙げられる。「ピッチスペル」とは通常のマナ・コストの支払いとは別に、何らかの代替コストを支払って唱えられる呪文の愛称だ。上記のリストでは《暴露》《Contagion》がこれに該当する。
これらはどちらもそのピッチコストが手札を1枚追放するという、通常のゲームにおいては無視できない損失を要求してくる。マナの代わりのコストは決して安くはないが、《ネクロポーテンス》さえあれば1枚の手札などたかが1点のライフ。気にせずガンガン手札を切ってゲームをコントロールし、後からネクロでしっかり手札補充するのだ。
こうして序盤からカードを大量消費することで、もう1つのピッチスペル《闇の旋動》を唱えてライフを護りつつ増やすという作業も捗る。
もうかれこれ20年以上眺めているリストだが、見れば見るほど惚れ惚れするクールさだなぁ……。
18 《冠雪の沼》 4 《ミシュラの工廠》 4 《露天鉱床》 -土地(26)- 4 《ストロームガルドの騎士》 4 《惑乱の死霊》 1 《ヨーティアの兵》 1 《センギアの吸血鬼》 -クリーチャー(10)- |
1 《ズアーの宝珠》 4 《暗黒の儀式》 1 《象牙の塔》 4 《トーラックへの賛歌》 3 《生命吸収》 3 《ネクロポーテンス》 4 《ネビニラルの円盤》 2 《鋸刃の矢》 2 《Contagion》 -呪文(24)- |
2 《Withering Wisps》 1 《ヨーティアの兵》 1 《Demonic Consultation》 1 《恐怖》 4 《Dystopia》 1 《闇への追放》 3 《Infernal Darkness》 2 《Contagion》 -サイドボード(15)- |
追いクール!
オマケで、上記のエクステンデッドのネクロよりも遡った時代、1996年の世界選手権にて上位に入賞した「ネクロディスク」も紹介しておこう。
この大会は後に「ネクロの夏」と呼ばれた。「ネクロディスク」を始めとするネクロ系デッキが大躍進、他のデッキを圧倒してしまったのだ。マジック黎明期のスタンダード、その今との空気感の違いが伝わればクールかなと。
まず土地構成、《ミシュラの工廠》も強いが《露天鉱床》4枚って。1ターン目からバシバシ土地破壊してくるなんて、想像しただけで気絶しそうだ。
《ストロームガルドの騎士》などのクリーチャーたちもイラストの雰囲気が相まって最高に心が昂る面々だ。
その中に《ヨーティアの兵》が混じっているのも面白い。
おそらくは《白騎士》などのプロテクション(黒)を持つクリーチャーをブロック可能で、かつ黒いデッキ同型において《恐怖》などで除去されない、それでいて低コストのクリーチャーを求めた結果のチョイスなのだろう。クールすぎるなぁ、26年前のスタンダード……。
元祖「ネクロディスク」もエクステンデッドのものと同じく、手札破壊とネクロ&ディスクでアドバンテージ差を拡げるコントロール要素を持ちつつ……そして同時にクリーチャーで攻撃して勝つという、中速デッキとしての側面も持ち合わせている。
この時代のネクロを圧倒的な存在へと引き上げていたのは《象牙の塔》と《ズアーの宝珠》。どちらもデッキに1枚しか採用できない、当時の制限カードだ。
ネクロで毎ターン手札を7枚キープしていれば《象牙の塔》で3点回復、タップリ26枚の土地は不要なものを《ズアーの宝珠》のコストに充てて2点回復と、ネクロの弱点を帳消しにする恐るべき回復機構!
他にもイラストと能力がどちらもクールの極みにある《Infernal Darkness》などなど、本当に一生眺めていられそうなリストである。
クールなまとめ
プロツアー復活を祝して、伝説のプロツアー・シカゴ1999よりエクステンデッドの「ネクロディスク」、そしてネクロつながりで世界選手権1996のスタンダードのデッキとを紹介させていただいた。
古い時代のデッキをよりクールに感じてしまうのは、少し懐古に寄り過ぎているかもしれないが……今のマジックと過去のマジック、そこには必ず共通するクールさがあり、そしてそれぞれに違う部分もまたクールである。それを伝えられる存在になるべく、過去・現在・未来とすべての時間軸のデッキをこれからも追いかけていく所存だ。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! We love Necro!!
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