『ニューカペナの街角』のストーリーが公開され、カード情報も少しずつ明かされている今日この頃。

　このセットは３色を統べる一家がメインテーマであり、それぞれの３色の特性を今まで以上に推し進めるカードたちが多数登場するに違いない。これを書いている現時点ではまだ各一家のボス、一家の魔除けサイクル、そして一家の土地しか公開されていない。しかしすでにかなりワクワクしている、これは多色セットならではの期待感ってやつかな。

　個人的には今回の一家が扱う色の組み合わせ、「弧３色（友好３色）」と呼ばれるものが好きなので、最近の多色セットの中でも頭抜けた期待感を抱いている。デーモンたち、ワルなやつらが支配する都会が舞台ってのも良いじゃないか。どの一家のデッキを組むか、これからプレビューを眺めて期待を高めていくのだろう。

　少ないながらも現時点で判明している新規カード、その中でもやはり３色土地のインパクトは大きいね。

　３つの基本土地タイプを持つことから、それらの探してきたりその数を参照するカードとの相性はピカイチ。スタンダードであれば《古き神々への拘束》から持ってこれる多色土地が一気に３種類も増えるので、デッキ構築のバリエーションも拡がることだろう。

　３色デッキに留まらず、例えばこんなデッキが……

Ihavethefire - 「５色コントロール」
Magic Online Standard Challenge #12404244 13位 / スタンダード (2022年4月3日)[MO] [ARENA]

2 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《森》 3 《陽光昇りの小道》 3 《草茂る農地》 1 《極北の並木》 2 《日没の道》 2 《霧氷林の滝》 4 《闇孔の小道》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《廃墟の地》 -土地（24）- 4 《象徴学の教授》 3 《嘘の神、ヴァルキー》 3 《茨橋の追跡者》 -クリーチャー（10）-	4 《世界樹への道》 4 《消失の詩句》 4 《鏡割りの寓話》 1 《永岩城の修繕》 3 《古き神々への拘束》 1 《精霊の姉の召集》 3 《告別》 2 《神の乱》 1 《エメリアの呼び声》 3 《放浪皇》 -呪文（26）-	2 《軽蔑的な一撃》 2 《パワー・ワード・キル》 2 《才能の試験》 2 《真っ白》 1 《選別の儀式》 2 《ドゥームスカール》 1 《環境科学》 1 《封印突破法》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード（15）-

 

　現行スタンダードの「５色コントロール」だ。

　上述の《古き神々への拘束》から《霧氷林の滝》を持ってくることで安定して５色を得ようという機構を備えている。

　この枠を《ジェトミアの庭》や《スパーラの本部》と入れ替えることでさらに安定した運用が可能になる。土地が要らない時に引いてきたらサイクリングできるし、本当にこの手の５色デッキが好きな人にとっては待望の最後のピースがやってきた、時は来たって感じだね。

　約束された未来に対してもそうだが、何よりテンションが上がるのはこのデッキがそれらの土地の参入前から成立しているという事実だ。両面２色土地、そして３枚目以降の土地としてならアンタップ状態で戦場に出る２色土地。現行スタンダードでもこれらのマナ基盤には恵まれているのでこのような芸当も不可能ではない。

　《古き神々への拘束》と森タイプを持つ土地、さらに《世界樹への道》と《象徴学の教授》から持ってくる《環境科学》とが基本土地を供給することで、贅沢な５色のカードすべてを用いるデッキを実現させている。

　そんな潤沢なマナ基盤から放たれるのは……《神の乱》！

　問答無用のパワーカードであるが、普通のデッキでは使えない５色のコストの持ち主。このデッキほど徹底して５つの色マナを揃える構築をしていれば、この尋常ならざる５色のカードを運用できる。むしろこれぐらい徹底しなければ使えないというのもまた事実だね。

　《消失の詩句》など他にもパーマネントを破壊や追放する除去はてんこ盛りで、プレインズウォーカーなどを並べるデッキが流行っている今のスタンダードを戦う上で理にかなったデッキだと思うね。クリーチャーや機体などは《告別》で全部流して、一方的な盤面を作り上げて完全勝利だ！

　１枚だけではあるが《精霊の姉の召集》はこのデッキにとって良いアクセントになっている。

　英雄譚や《世界樹への道》など、生け贄によって墓地に落ちるエンチャントが多いデッキだ。それらをこれで墓地から拾って再利用しようというわけである。《鏡割りの寓話》《永岩城の修繕》は手札を捨てることができるので、これらで《神の乱》を墓地に送ってちょっと早く戦場に大口縄を招き入れるという小技も狙える。

　次期スタンダードで白黒といえば「常夜会」一家の色。この一家の能力である「謀議」も手札を捨てるものなので、《精霊の姉の召集》で凄いことができちゃう時代がやってくるかも？

　３色土地の参入でカラフルなデッキがあふれかえりそうな『ニューカペナの街角』期のスタンダード。それに先駆けて《神の乱》を用いたこのデッキのことを念頭に入れておくと、新環境で良いとこどりの「５色コントロール」が組めるかもしれないね。

　僕もこの手のデッキは大好物なんで、ちょっと磨いてみようと計画しているよ！