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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グルール・ペインター:君はフレイムタンを知っているか(レガシー)
「フレイムタン」というフレーズを聞いたことはあるだろうか。キャリアが長いプレイヤーは自分でも口にしたことがあるんじゃないかな。短いプレイヤーはネット上の実況なんかで耳にしたことがあったりするのかも?
フレイムタンとは、英語をそのまま日本語に訳して「火炎舌」という意味。いや、結局わからんと言われるかもだな。これは懐かしのカード《火炎舌のカヴー》のこと。
4マナでパワー4という攻撃役にはもってこいなスペックに、ついでにと言うにはあまりにも強烈すぎるオマケが。クリーチャー1体に4点ダメージ!
当時のスタンダードなど各フォーマットのクリーチャーのほとんどこの能力の射程圏内、カード1枚で除去と殴り役の両方が得られるという、2枚分の仕事をするスーパーパワフルなカードだった。
この伝説的な1枚がリリースされて以降、似たようなクリーチャーのことを「○○のフレイムタン」と呼んだりする。○○には元号やセット名、ダメージ値やクリーチャータイプなどがいろいろと入る。在りし日の名クリーチャーの影を追っている、そんな郷愁的な想いと、単純にフレイムタンと言っておけばダメージを飛ばすクリーチャーであるという認識が伝わるので楽というのもあって、僕も使いがちな便利フレーズだ。
あの日々を知るプレイヤーは懐かしんでもらって、知らなかった人には時代を創ったカードを1つ知ってもらう良い機会になったんじゃないかなと思って、取り上げさせてもらった。
なぜこのタイミングでフレイムタンの紹介をしたかというと、この春に新たなフレイムタンの系譜が登場していたからだ。『神河:輝ける世界』から《双弾の狙撃手》のことである。
4マナ2/3、少々サイズは小さめだが到達を持っているのでブロック役としてカバーできる範囲は広い。ダメージは2点と控えめではあるが、プレインズウォーカーやプレイヤーにも飛ばせる万能っぷりはかなり評価できるポイント。
そして「魂力」能力で手札から捨てても同じく2点ダメージ除去として運用可能で、こっちは2マナで使える軽さが魅力だ。
そしてこのカードにはさらに歴代フレイムタンの中でも独自性が高く、評価できるポイントがあるのだが……それはこれを採用したリストを見ながら話そうか。
4 《山》 2 《Taiga》 2 《樹木茂る山麓》 1 《大焼炉》 4 《古えの墳墓》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《裏切り者の都》 4 《ウルザの物語》 -土地(21)- 4 《ゴブリンの溶接工》 4 《ゴブリンの技師》 4 《絵描きの召使い》 1 《ブレイヤの見習い》 1 《月の大魔術師》 1 《双弾の狙撃手》 -クリーチャー(15)- |
4 《水蓮の花びら》 1 《ライオンの瞳のダイアモンド》 3 《丸砥石》 4 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 3 《稲妻》 4 《むかしむかし》 1 《罠の橋》 2 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(24)- |
2 《月の大魔術師》 1 《トーモッドの墓所》 3 《外科的摘出》 2 《夏の帳》 1 《丸砥石》 1 《真髄の針》 1 《液鋼の塗膜》 1 《罠の橋》 1 《マイコシンスの格子》 1 《紅蓮操作》 1 《大いなる創造者、カーン》 -サイドボード(15)- |
そんなわけでレガシーより「グルール・ペインター」だ。例によってオンラインでのトーナメント結果からピックアップしてきたリストである。ペインターこと《絵描きの召使い》を用いたコンボデッキだ。
絵描きの能力で全てのカードに追加の色を与える。そうすると《丸砥石》を起動した場合、どんなカードが切削されても必ず同じ色のカードが2枚落ちたことになるので、この能力が相手のライブラリーを削り切るまでノンストップとなる。まさしく一撃必殺!
そして指定する色は青にする。そうすることでレガシーにおいて赤が誇る1マナインスタント《紅蓮破》《赤霊破》が青くないデッキ相手にも突き刺さる確定打ち消しになり、土地すら破壊する超万能パーマネント除去となる。コンボなのにコントロールすることにも長けた恐るべきデッキなのだ。
このリストに最新のフレイムタンこと《双弾の狙撃手》の姿が。何ゆえのチョイスなのだろうか?その理由はいろいろとあるのだが……まずは視覚的に最も分かりやすいポイントから。アーティファクトである! これだな。
ペインターデッキはコンボを成すカードが2枚ともアーティファクトであるので、これに関する能力を持ったカードを搭載することでデッキの完成度を高めている。《ゴブリンの溶接工》《ゴブリンの技師》を採用し、コンボパーツが打ち消されたり手札から捨てさせられたとしても、墓地から再利用するというルートを設けているわけだ。
《ライオンの瞳のダイアモンド》を絡めてグルグル回し、予想外の角度からコンボを成立させるなんていう荒業もあったり。
ここに《双弾の狙撃手》が絡むとどうなる? フレイムタンとして除去を行った後に墓地の絵描きなどと交換して、というのは序の口。魂力で捨てて2点、さらに《大焼炉》などのマナ総量が0のアーティファクトを餌に溶接工の能力を起動し、墓地から出てきた狙撃手がさらに2点! クリーチャーやプレインズウォーカーを並べるデッキには脅威となる盤面お掃除っぷりを発揮するのだ。
《秘密を掘り下げる者》などのタフネス2以下の軽量クリーチャーはレガシーには多く、また魂力であれば《スレイベンの守護者、サリア》に阻害されずにサクッと除去できるなど、レガシー環境のクリーチャーを倒すにはもってこいな《双弾の狙撃手》。派手さはないが、シブい選択肢として今後さまざまなフォーマットで注目の1枚となりそうだね。
ところでこのリスト、ペインターでは定番の赤単、あるいは白を足した形とは違ってグルール(赤緑)なのが珍しいね。緑を足す理由は《むかしむかし》!
1ターン目には0マナで唱えられるこのインスタントで、《古えの墳墓》などの土地を探して序盤の加速を安定させる。マナが揃った状況下では絵描きや各種ゴブリンなどのクリーチャーを見つけてコンボ成立を後押し。あるいは《ウルザの物語》を手に入れてそれ1枚で勝ちに行くってのもアリだ。
この物語もまた《丸砥石》を見つけるサーチになっているのも何ともニクい。コンボパーツの枚数が少ないので、細かい工夫を盛り込んでデッキに幅を持たせることが可能。それがペインターデッキの最大の魅力かもしれないね。
最新のアーティファクト製フレイムタンを備えた「グルール・ペインター」、眺めているだけでもレガシーの楽しさが伝わる素敵なリストだなぁ。
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