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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

バント・インフィニティ:無限の資源を手に入れろ(アルケミー)

岩SHOW

 マジックは基本的に「有限」のゲームである。

 《限りある資源》というカード名に見て取れるように、資源(リソース)の数は限られている。リソースとは手札、ライブラリー、墓地にあるカード・トークンも含む各種パーマネント、マナやライフ、エネルギーなど数字で管理するものなどなど……これらはゲーム中において有限なものであり、それゆえに慎重に用いていかねばならない。

 一度失ったリソースを取り戻すことは容易ではなく、開いたリソース差を取り返すことは困難を極める。《資源の浪費》は敗北につながりかねないのだ。

 そんな限りのあるリソースを、好きなだけ湯水のごとくジャブジャブと浪費することができるとしたら? そんなの、最高としか言いようがないね!

 無限のリソースが確保できれば勝利はもう目の前、そんな人類の夢をかなえる……かもしれない、そんなデッキを紹介しよう。その名も「バント(緑白青)インフィニティ」だ。

eliott dragon - 「バント・インフィニティ」
アルケミー(BO1) (2022年3月10日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《平地
1 《
4 《草茂る農地
3 《枝重なる小道
3 《夢根の滝
2 《樹皮路の小道
4 《さびれた浜
2 《連門の小道
1 《耐え抜くもの、母聖樹
2 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
1 《ストーム・ジャイアントの聖堂
-土地(26)-

4 《樹海の幻想家、しげ樹
4 《巨大な空亀
-クリーチャー(8)-
4 《運命的不在
1 《ジュワー島の撹乱
1 《黄昏の享楽
4 《日没を遅らせる者、テフェリー
3 《放浪皇
4 《A-ゼロ除算
4 《神聖な粛清
1 《公式発見
4 《書庫の鍵
-呪文(26)-
2 《環境科学
2 《アルカイックの教え
1 《害獣召喚学
1 《記憶留出法
1 《マスコット展示会
-サイドボード(7)-
eliott dragon氏のTwitter より引用)

 

 これはアルケミーのBO1(一本勝負)用のリストだ。

 「バント・インフィニティ」、大胆な名前をつけたものである。インフィニティ、すなわち無限。基本的に有限のゲームであるマジックであるが、時に無限の扉を開くカードやコンボが存在する。無限マナ、無限トークン、無限ダメージ……その中でもこの「バント・インフィニティ」が誇るものは無限のリソースだ。果たしてそれをどうやって確保するのか?

 その答えは『神河:輝ける世界』がもたらした2枚のカード。

 まず最初の1枚、《樹海の幻想家、しげ樹》。

 伝説のクリーチャー・エンチャントであり、戦場から手札に戻ることでライブラリーから土地を戦場に出す起動型能力を持つ。これでマナ加速をして後続に繋げるだけでなく、相手の攻撃をブロック後にこれを起動することで手札に逃げる、エンドレスなブロック役という務めも果たせる。

 この土地を出す際にはライブラリーの上から4枚を見て、その中から土地を1枚選ぶわけだが、残ったカードはすべて墓地に落ちる。これはもったいないようにも見えるが、大丈夫。手札に戻ったしげ樹のもうひとつの能力・魂力にて墓地の伝説でないカードを手札に戻すことが可能だ。

 1枚だけ戻す場合にはマナ効率という面ではあまり良いとは言えないが、枚数が増えれば増えるほどゲームに与える影響は大きくなるのでマナをたっぷり注ぐ価値にあふれている。必要なマナは自分の能力で土地を並べ、戻すカードはその際に落ちたものを拾うという自己完結っぷりが素晴らしい。これ単体で見ても緑絡みのコントロールデッキではぜひとも使ってみたくなる逸品だ。

 ただ、しげ樹だけではインフィニティは名乗れない。しげ樹の魂力は伝説を対象にできないので、2枚でお互いを回収しあってグルグル回すということはできない。ただ、他のカードの力を借りれば可能になる!というわけで《巨大な空亀》の出陣だ。

 2種類ある魂力のうち緑の方は、墓地からカードを1枚手札に戻せる。つまり、空亀の魂力でしげ樹を戻す→しげ樹の魂力をX=2以上で起動して空亀+他のカードを手札に戻す→以下繰り返し、と動くことで尽きることのない無限のリソースを確保する、という作戦だ。

 悠長に見えるかもしれないが、しげ樹のマナ加速があればこれが結構つながるものでね。《A-ゼロ除算》や除去を回収し続けて相手の動きをコントロールし続けても良いし、《放浪皇》《マスコット展示会》などフィニッシャーを何度も叩きつけるのも気分が良い。

 とにかくこのインフィニティ体験は、一度は味わっておくべきだね! 何せインスタントのタイミングで動けるので、対戦相手のターンにどう動いてくるのかを見届けてから、ターンエンドに狙っていけるのが強いんだよなぁ。

 《日没を遅らせる者、テフェリー》と組み合わせてマナ加速をすることで魂力ループを助けるのが《書庫の鍵》だ。

Key_to_the_Archive.png

 2マナ出るだけでなく、この鍵はミスティカルアーカイブのカードを手札に加えられるという臨機応変な働きを見せるコントロール要素であり、フィニッシャーも兼ねるすごいアーティファクトだ。

 そして本来アルケミー環境には存在しないそれらの強力なインスタントやソーサリーを、上記のコンボで回収して唱え続けるのがとにかく強力。もちろん最強は……《時間のねじれ》。

 これを手に入れた暁には、リソースだけでなくターンも無限に得られるようになってしまう。嗚呼、良い気持ちだ……と、恍惚のマジックを味わうべし。

 《新たな芽吹き》も空亀の代わりになる(というかこっちの方がマナ効率がいい)ので無限のリソースをガッチリ支える。どのカードをドラフトするにせよ、《書庫の鍵》は君の期待に応えてくれるスーパーカードなことは間違いない。

 強さと楽しさ、そしてアルケミーらしさを堪能できるという点が素晴らしい「バント・インフィニティ」。《樹海の幻想家、しげ樹》×《巨大な空亀》(あるいは他の墓地回収カード)は他のフォーマットでももちろん機能するので、この動きに惚れ込んだらいろいろなデッキを組んで無限のリソースを味わい尽くしてほしいね!

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