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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アゾリウス・コントロール:コントロールの生命線、土地について(スタンダード)

岩SHOW

 前回は《耐え抜くもの、母聖樹》の参入により強化されたデッキを紹介した。

 そのラストでも触れたが、今回の母聖樹が属する「魂力」持ちの伝説の土地サイクルはどれも魅力的なデザインになっており、さまざまなフォーマットで多くのデッキのスパイスとして機能する可能性に満ちている。

 伝説なので戦場に複数枚出せないというデメリットもあるが、アンタップ状態で置けて、状況に合わせて呪文的にも運用可能なこの素敵な土地。使い勝手はやや異なるが、『ゼンディカーの夜明け』の土地のモードを持つ両面カードと似たようなものである。

 土地の枚数はある程度は欲しいが、土地ばかり引いてもゲームにはならない。そういう構築の悩みを解決してくれるこれらの土地。併せて使うことでよりデッキの柔軟性が増すことは言うまでもないね。

 土地の枚数が必要なデッキといえば……やっぱりコントロール。コントロールデッキはやることが多い。相手の呪文を打ち消し、クリーチャーなどのパーマネントを除去し、減った手札をドローなどで補充し、ゲームに勝つためのフィニッシャーを繰り出す……そりゃあマナがいくらあっても困ることはない。かと言ってマナだけしか得られない土地だけ引いてもしょうがないというのもわかってもらえるよね。

 コントロールの命綱である土地、引けない状況を防ぎつつ、引きすぎた時にはマナ供給源以外の仕事をしてくれる…そんな器用なカードをふんだんに取り入れたデッキを紹介しよう。スタンダードの「アゾリウス(白青)コントロール」だ。

Alexander Andersson - 「アゾリウス・コントロール」
Standard $100 CASH Payout Weekly 3勝0敗 / スタンダード (2022年3月5日)[MO] [ARENA]
6 《平地
2 《
4 《さびれた浜
4 《連門の小道
2 《ストーム・ジャイアントの聖堂
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
1 《廃墟の地

-土地(21)-

4 《象徴学の教授
2 《砂漠滅ぼし、イムリス

-クリーチャー(6)-
3 《ジュワー島の撹乱
2 《運命的不在
2 《却下
1 《否認
4 《永岩城の修繕
4 《記憶の氾濫
4 《ドゥームスカール
2 《告別
4 《エメリアの呼び声
1 《オンドゥの転置
3 《勢団の銀行破り
3 《放浪皇
1 《モルデンカイネン

-呪文(34)-
3 《心悪しき隠遁者
1 《砂漠滅ぼし、イムリス
2 《否認
1 《才能の試験
1 《雲散霧消
1 《告別
2 《環境科学
1 《記憶留出法
1 《アルカイックの教え
2 《マスコット展示会

-サイドボード(15)-
MTGMelee より)

 

 コントロールのテンプレとも言えるアゾリウス、この色こそコントロールの純正カラーと感じるベテランプレイヤーの割合はかなりのものだろう。青の打ち消しとドロー、白のパーマネント除去。伝統的なスタイルでゲームのペースを相手に握らせず、ゆるぎない根を張ったような印象を対戦相手に与える横綱相撲を信条とするデッキだ。

 このリストの土地の総数は21枚。コントロールデッキとして見るのであれば、これはかなり少ない枚数で、生命線である土地が3枚並ぶのも難しいかもしれないレベルである。

 が、そこは両面カードで土地を水増ししてある。それらを含めれば29枚、これだけあれば事故るまいという安心感にあふれたものだ。

 その両面カードのラインナップは……序盤においては2マナの打ち消しとして大活躍な《ジュワー島の撹乱》、パーマネントを根こそぎ総ざらい《オンドゥの転置》、そしてアンタップで置けてフィニッシャーも務める《エメリアの呼び声》。

回転

回転

回転

 これだけでも十分な選択肢だが、そこに加わった魂力土地が《皇国の地、永岩城》と《天上都市、大田原》。

 どちらもクリーチャーへの対策として用いるのがメインになるだろう。4点ダメージで幅広い攻撃クリーチャーを除去する永岩城。大田原は時間稼ぎだけでなくトークンに対して使えば確定除去になり、プレインズウォーカーなど厄介なものをどかしてから再度出てきたところを《否認》で弾くようなテクニカルなプレイも可能にしてくれる。土地を引きすぎて手詰まりになることはない、さあ安心して29枚の土地の恩恵を全力で受けようじゃないか。

 土地に関するカードをもう1つ。平地を持ってこれる《永岩城の修繕》だ。

回転

 この英雄譚、かなり面白くて強い注目のカードだ。土地が止まるという危険な自体を防ぎ4マナ以上のコントロールの勝負圏内へと繋いでくれる橋渡しだけでも十分だが、特筆すべきはⅡ章能力の特殊さ。墓地から2マナ以下のパーマネントを戦場に出せるのだが、これを行う際には手札からカード1枚を捨てることになる。この時に墓地に何もカードがなくても、先ほどⅠ章で持ってきた《平地》などの土地を捨てると……それをそのまま戦場に出せてしまう。

 土地1枚分のマナ加速になり、《ドゥームスカール》や《告別》といった重めの全体除去が間に合わないという自体を防ぐ、アグロ相手にスピード勝負を挑めるマナ加速要素だ。最初にこの動きを目にした時は「そういうカードだったのか」と声に出てしまったもんだね。

 もちろん2マナ以下のパーマネントを普通に釣り上げて再利用するのも強く、このリストだと《象徴学の教授》を使いまわすことでかなり気持ちよくなれる。

 Ⅲ章能力でクリーチャー化すると攻撃すればどんどんトークンを増やす、1枚でフィニッシャーになれるポテンシャルを持っている。全体除去で巻き込んでしまうのが嫌なら《天上都市、大田原》で手札に戻すというテクいムーブもあるぜ。

 《永岩城の修繕》を使いこなして戦う、これが新しいスタンダードのコントロールの形だ。

 土地周りがかなり強力なスタンダードの「アゾリウス・コントロール」。現在この環境のアグロは「白単」などコントロールに対して耐性を持つものが多くあるが、それらに対して新カードで対抗していくことができるか。コントロールの真価が試されるのは、環境が進んだ今まさにこれからだ。ゲームの支配者となれ!

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