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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

土地がパーマネントを破壊する、「Lands」デッキの最新テクニック(レガシー)

岩SHOW

 暖かくなってきたので、久しぶりに近所をゆっくり散歩などしてみた。

 毎年この時期、いつの間に?と驚かされるのが梅の花だ。梅の樹に咲いた白やピンクのかわいい花、昨日まではつぼみがついているのさえ気付かなかったレベルなのに、本当にいつの間にか咲いているので毎度毎度驚かされるのだ。その流れで桜の樹を見てみると、うーんまだ少し先か?なんて、やってくる春に対して気分が高まってくる。樹を見れば春の訪れが分かるのが良いよね。

 桜が散って鮮やかなグリーンに覆われれば初夏が、紅葉すれば秋が……と。日本の風景には桜に銀杏に、さまざまな樹木が関わっているのだなぁ。樹ってやっぱり良いもんですよ。

 というわけで日本風の次元・神河の皆さんも樹はお好きですか?……テクノロジーが発達した現在の神河は、過去に存在した樹海を切り開いてしまって、高層ビルを建てているようだ。大蛇や数々の神々が住んでいた森は随分と減ってしまったのか……なんだか考えさせられる設定だ。

 ただそのビルに囲まれて、一本の御神木は数千年の時を生き続けている。今でも、だ。そう、母聖樹である。

 《すべてを護るもの、母聖樹》として崇められたこの樹は、他の樹々が伐採された中、唯一残されたかつての森林の名残りとなっている。最古にして最大のこの樹は、良き自摸の時代を生き抜鍛えた《耐え抜くもの、母聖樹》として、今でも自然に帰りたい者にとっての救済の地として大事に護られている。

 アートを見るに、この樹マジででけぇな。こんなサイズ……のものはないかもしれないが、まさしく御神木と思える巨大な樹を一度拝んでみたいものだ。

 《耐え抜くもの、母聖樹》はセットリリース時から目玉カードとして世界中のプレイヤーの注目を集めた。《帰化》と同様のコストで同じくエンチャントとアーティファクトを破壊できる「魂力」の持ち主で、それらに加えて土地も破壊可能ときたもんだから対処可能なものの幅の広さにたまげたよな。

 割られた相手は基本土地タイプを持つ土地を戦場に出せるので、一方的な破壊ではないのだが……いざという時に危険なものを処理できる土地ってのは便利なものだ。

 この破壊は呪文ではなく能力なので、《襲来の予測》のような通常の打ち消し呪文で対処不可能なのも強みだな。

 スタンダードでもかなり強くて使い勝手の良い土地ではあるが、フォーマットで使用可能なカード枚数が膨れ上がれば上がるほど、強くてデンジャラスなカードに対する強烈なカウンターパンチとして存在価値が高まる。

 というわけで今日はこの《耐え抜くもの、母聖樹》の恩恵を受けたレガシーのデッキを紹介だ。

T0ast . - 「35Lands」
Paper Legacy Discord Saturday tournament - 3/5/22 4勝0敗 / レガシー (2022年3月5日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《Taiga
2 《霧深い雨林
3 《燃え柳の木立ち
2 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ
1 《カラカス
1 《ボジューカの沼
4 《不毛の大地
3 《リシャーダの港
1 《爆発域
4 《演劇の舞台
3 《暗黒の深部
4 《ウルザの物語
2 《イス卿の迷路
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale
-土地(35)-

1 《エルフの開墾者
2 《忍耐
-クリーチャー(3)-
4 《モックス・ダイアモンド
4 《輪作
4 《踏査
2 《探検の地図
1 《真髄の針
1 《黄鉄の呪文爆弾
4 《壌土からの生命
2 《罰する火
1 《影槍
-呪文(23)-
1 《死者の原野
2 《紅蓮破
2 《赤霊破
1 《スランの鋳造所
4 《抵抗の宝球
1 《倦怠の宝珠
2 《窒息
2 《活性の力
-サイドボード(15)-
MTGMelee より)

 

 レガシーならではのデッキの1つ「35Lands」だ。

 読んで字のごとく35枚の土地。レガシーにおける土地の比率が非常に高いデッキの歴史は古く、2006年には土地を43枚採用したデッキが大型トーナメントで上位に入賞し、一気に注目されるようになった。このデッキを「43Lands」と呼び、以降同じようなリストを枚数関係なく43と呼んだり、リストに合わせてきちんと42や36と呼んだり……その辺は人それぞれ。多くの場合は単に「Lands」や「土地単」と呼ばれるね。

 かつては《ミシュラの工廠》《樹上の村》《ナントゥーコの僧院》などクリーチャー化する土地を勝ち手段として、対戦相手の土地を《不毛の大地》で破壊したりクリーチャーを《蛮族のリング》で除去したり。そしてそれらの土地を《踏査》で高速展開し、《壌土からの生命》で再利用し……というのが土地デッキの基本線だった。懐かしいなぁ。

 今現在の土地単系のデッキは《暗黒の深部》を主な勝ち手段としている。

 この土地を《演劇の舞台》でコピーする。

 そうすると氷カウンターが乗っていない深部が出来上がるので、これを生け贄に捧げてマリット・レイジを呼び出しパワー20で一撃必殺。《不毛の大地》で妨害されやすいコンボではあるが、そこは《壌土からの生命》で何度でもやってやるという姿勢で勝負だ。

 それを各種ニッチな仕事をする土地で固めた、コントロール要素の強いコンボデッキというところかな。

 コントロール要素ということで新カード《耐え抜くもの、母聖樹》はまさにうってつけだ。《不毛の大地》と同じく能力の起動で墓地に行くので、《壌土からの生命》で拾ってもう一度! 容易にアドバンテージが取れるということだ。

 これと《爆発域》でパーマネントを薙ぎ倒し続けて、消耗戦もどんとこいだな。

 クリーチャーやプレインズウォーカーを捌くことに関しては《罰する火》も使い減りしない資源として役に立つ。

 《燃え柳の木立ち》をタップして{R}を加えると、対戦相手はライフを得る。これにより墓地の《罰する火》の能力が誘発し、その{R}をそのまま支払うことで手札に戻ってくる。これで焼き尽くしてやろうじゃないの。終盤は対戦相手のライフをちょっとずつ削る手段にもなって勝ちを近づける役目も。

 土地単とは一見無縁そうなカードもこのデッキを強化している。《ウルザの物語》だ。

 アーティファクトがあまり並びそうにないデッキにおいてこのカードが生成する構築物を上手く使えるのか? これが実はなかなかに噛み合っており、土地単における重要なマナ加速である《モックス・ダイアモンド》が並ぶので2/2、3/3は保証されているようなもの。

 Ⅲ章能力でこのダイアモンドを持ってきても良いし、あるいは《影槍》を持ってきてマリット・レイジに装備させ、飛行クリーチャーでブロックしてしのぐことを許さないという荒業も。

 《暗黒の深部》コンボのためのパーツを探す《探検の地図》や、コンボを阻害する《不毛の大地》《カラカス》を止める《真髄の針》を持ってこれたり。

 さらにサイド後は《スランの鋳造所》のような墓地対策に繋げたりと、大活躍この上なしってなもんなのだ。もちろんこれも《壌土からの生命》で何度でも出し直せる。エンドレス構築物で勝負だ!

 土地カードが含まれないセットなんてまずないので、毎セットごとになんらかの収穫を得る可能性に満ちた「Lands」デッキ。《耐え抜くもの、母聖樹》はかなりデカい強化で、今後もこのカードはレガシーでシブい働きを見せてくれることだろう。

 サイクルの他の土地も能力で呪文のようなことができるので、あらゆるフォーマットで活躍の余地がある。基本土地を1枚それらと交換するところから、お試しでやってみよう。便利な土地でマジックライフをより豊かなものに。

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