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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
セレズニア・エンチャント:神秘の力に触れよう(アルケミー&スタンダード)
日本には「
マジックの世界では、神と言えばテーロス次元が今ではお馴染みである。神と繋がりのある人物や生き物は、テーロス次元ではエンチャントでありクリーチャーであるカードとして表現されていた。多元宇宙の魔法の中でも、エンチャントはより神秘的、神性の強いものとして作られてきたのでこの設定はスルッと受け入れることができ、マジック界でもすっかりお馴染みのものとなった。
しかしながらマジック史的には、テーロス次元よりも先に神河次元が登場していたわけで。日本をモチーフにしたこの次元も神と呼ばれるスピリットがあらゆるものに宿っている。
この神河への再訪となった『神河:輝ける世界』では、やはりというかこのエンチャントとクリーチャーの両タイプを持つカードが輸入されてきた。テーロスほど何かの神を熱心に信仰しているというわけではなさそうな、ラーメン屋の店主のようなごくごく一般の人たちがこれらのカードに当てはめられているのが実に面白い。商売繁盛を願ってとか、生活の一部にごくごく当たり前に神々との接点があるということなんだろうな。
そんな日本のプレイヤーからすれば親近感の湧く神河のクリーチャー・エンチャント。それらの中でも公開された際に特に強そうに見えたのは……《樹海の自然主義者》。
2マナ2/2絆魂と構築でも採用して問題なく働くスペックに、エンチャントを唱えるのに支払うマナが何でも{1}安くなるというかなり強烈なマナブーストっぷりである。オーラを軽減するカードなどはちょくちょく作られたが、アンコモンでどんなエンチャントでもOKというのはかなりの大盤振る舞いである。
このカードを軸にしたエンチャント主役のデッキが出てくるかなと思っていたが……案の定、強力なリストが新環境開幕とともに出回ることになった。
4 《平地》 2 《森》 4 《草茂る農地》 4 《枝重なる小道》 2 《皇国の地、永岩城》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 1 《ハイドラの巣》 4 《見捨てられた交差路》 -土地(24)- 4 《気前のいい訪問者》 4 《樹海の自然主義者》 4 《無常の神》 4 《神憑く相棒》 2 《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》 -クリーチャー(18)- |
1 《ポータブル・ホール》 4 《魅知子の真理の支配》 3 《監禁の円環》 4 《婚礼の発表》 2 《精霊界との接触》 4 《神聖なる憑依》 -呪文(18)- |
2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 2 《ポータブル・ホール》 1 《パラディン・クラス》 4 《獅子の飾緒》 2 《神聖なる一撃》 2 《レンジャー・クラス》 2 《仮初めの時間》 -サイドボード(15)- |
こちらはアルケミーの「セレズニア(白緑)エンチャント」。
白と緑はマジックの歴史においてもかなり古い時代から今日に至るまで、エンチャントとそれとシナジーを形成するカードを輩出してきている。このデッキはその最新型というところ。アルケミーのものではあるが、《見捨てられた交差路》を別の土地に置き換えればスタンダードでも使用可能なので、両環境で通用するデッキとしてまとめて扱わせてもらおう。
デッキとしてはクリーチャーでのビートダウンを狙う、比較的アグレッシブでパワフルなものである。クリーチャーを唱え、エンチャントを唱え、それらを強化してサイズ差で圧倒、ぶちのめす。その展開力を《樹海の自然主義者》で加速させるというわけだな。
というわけでまずはその打撃力の要となるカードを見てみよう。まずはクリーチャー陣から新しいスピリットである《気前のいい訪問者》《無常の神》。
これらはエンチャントを唱えていくことでグイグイとサイズが上がる。特に《気前のいい訪問者》は他のクリーチャーにも+1/+1カウンターを置けるので、自然主義者を育てて絆魂で殴り合いを制する戦術が非常に強力だ。
《無常の神》はトランプル持ちであり、またエンチャントが墓地に落ちればこれが墓地から手札に戻るので、コントロールなどに対して再展開がしやすい設計なのはとてもとても偉い。
エンチャントを唱えて打点に、となれば既存のカードから《神聖なる憑依》。
これも前環境から一部のプレイヤーから密かに注目されていた1枚だが、ここにきて大量のエンチャントの登場によりいよいよ本領発揮。このカードが生成するトークンはスピリットであり、スピリットの数を参照したサイズの持ち主。エンチャント連打で数を増やし、また上記の2種のスピリットとも密かに噛み合っているので、見た目よりもはるかに高い打点を弾き出すデッキのメインエンジンだ。
4マナという重さが弱点ではあったものの、自然主義者から3ターン目に出せたりするとその制圧力を存分に発揮してくれる。7枚以上のエンチャントを並べ、スピリットに飛行と警戒をもたらすのも決して夢ではない。《神憑く相棒》や《婚礼の発表》などドローできるエンチャントを連打し、これらのスピリットで勝負を決めろ。
そしてもう1枚、このデッキでこそポテンシャルを発揮する新たな1枚を紹介しておこう。《魅知子の真理の支配》である。
戦場に出た際、また次のターンに誘発する能力は、クリーチャー1体のサイズをエンチャント&アーティファクトの数だけ+修整。これ、平然と+3/+3以上を叩き出す。これを2回行いつつ、上記のスピリットたちの誘発を促すだけでも十分強い。
そこに加えてⅢ章能力で、今度は自身がその修整値と同じサイズのクリーチャー《魅知子の肖像》になるのだからたまらない。それだけターンが進めば7/7くらいになるのはザラ。ドラゴンやデーモンをものともせず突き進む魅知子……チクショウ、震えが止まらねぇ。
この英雄譚も《樹海の自然主義者》がいればたったの1マナ。やっぱりこのオヤジ、何かがおかしい。とりあえず使って損はしないぞ! 主要パーツにしてアンコモンなのでプレイヤーにも優しい。非の打ち所がない!
というわけで八百万の神に馴染みのある我々にとっては親しみやすそうなエンチャント・デッキ、皆にはどう見えただろうか。魅力的に映ったのであれば、白と緑の神々への感謝と尊敬の気持ちを持って、このデッキを堪能してほしい。
まだまだエンチャント・デッキはカード枚数などの調整や取捨選択など、発展性が見込めるデッキなので各々で高めていこうじゃないか。《調和の織り手》を採用するのはかなり良さそうだぜ!
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