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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:○○○○○・トロン~クールは地元のショップにある~(モダン)
今週もクールに決めるぞ、Cool Deckの時間だ。
『神河:輝ける世界』のオンラインリリース&プレリリースから1週間、いよいよ紙のカードも発売だ!
このセットはただでさえ魅力的なカードに、見た目のバージョン違いが多種多様、さらに日本でも著名なアーティストが担当したカードに直筆サインが施された超貴重なカードが手に入るチャンスもあり、とにかくパックを買うしかねぇなというセットになっている。ぜひともお近くのカードショップにて購入してほしいね。
そのお店の雰囲気が良かったらフライデー・ナイト・マジックみたいな店舗イベントに参加して、紙のマジックでこそ味わえる人と対戦する楽しさを体験してほしい。セット自体が話題性があるので、ここから紙デビュー、マジックデビュー、大いにあると思います。
そんな初心者には優しく紳士的に、しかしゲームは真剣にというスタンスで対応するのがクールなマジックプレイヤーというものだろう。
店舗のイベントの良いところは、オンライン上でランクやリーグを回しているだけでは会えないようなクールなデッキとの遭遇ってのもある。
各ショップの常連さんの中には、他人にはわからないほどに自分のデッキに情熱を燃やし、調整に調整を重ねた結果他のプレイヤーは想像すらしないデッキリストにたどり着いたクールなプレイヤーがいるものだ。せっかく実物のカードを集めるなら、オンライン上のそれよりもさらに「好きなカードを」という気持ちが強くなるというのはわかってもらえるよね。
それを突き詰めたプレイヤーが生み出したデッキは、オンラインで環境代表デッキと向かい合っている時とはまた違うゲーム体験を対戦相手にもたらす。自分にとっても相手にとっても、あるいはそのリストを見ただけの第三者にとってもクールなデッキってわけだ。
今回紹介するのは、日本のとあるショップで使用されたモダンのデッキ。メイドインジャパンのクールさ、それではとくと拝んでもらおうか。
4 《森》 4 《ウルザの塔》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 1 《大瀑布》 1 《爆発域》 -土地(18)- 3 《斬雲スリヴァー》 1 《屑肉スリヴァー》 2 《誘導スリヴァー》 4 《初祖スリヴァー》 3 《スリヴァー軍団》 4 《限りないもの、モロフォン》 -クリーチャー(17)- |
4 《召喚士の契約》 4 《古きものの活性》 4 《彩色の星》 2 《彩色の宝球》 4 《探検の地図》 4 《森の占術》 3 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(25)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》 1 《呪文滑り》 1 《調和スリヴァー》 1 《歩行バリスタ》 1 《墓掘りの檻》 1 《大祖始の遺産》 1 《防御の光網》 1 《液鋼の塗膜》 1 《罠の橋》 1 《忘却石》 3 《活性の力》 1 《彩色の宇宙儀》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
なんだよこりゃ。デッキ名は「スリヴァー・トロン」。マジックではかなり古くから用いられているフレーズが2つ並んでいるが、こんなデッキ名これまで見たことがない。
スリヴァーは初出が『テンペスト』で、以降不定期ではあるが継続して新種が作られている愛され部族。その特徴は、ほぼすべてのカードが他の同族に能力を共有するというデザインが施されていること。全員に飛行を与える《有翼スリヴァー》、+1/+1修整を与える《筋肉スリヴァー》といった具合に、並べば並ぶほど強くなっていく。
5色すべてに均等にカードが存在し、それぞれの色の得意とすることを共有する性質に加え、5色の伝説のスリヴァーも強力なので、可能な限り5色すべてを揃えたデッキで運用したい部族になっている。
対してトロン。こちらは《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》と3種の土地を揃えることで大量に無色マナを得て、アーティファクトやエルドラージといった無色のハイコスト・カードのカードパワーで圧殺するコントロールデッキの相称である。そう、色は度外視してとにかく数を求めて無色マナを得るデッキなのである。
大いなる矛盾だ。色マナがすべて欲しいスリヴァーを色マナを諦めているトロンで運用する。そんな不可能を可能にするのだから、マジックはクール、デッキビルダーもクールなのだな。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:無色の「スリヴァー」
単刀直入に答えを明かすと、《限りないもの、モロフォン》。これがキーカードだ。
この多相の戦士はすべてのクリーチャー・タイプを持つので、こんな見た目ではあるが立派なスリヴァーの仲間だ。そしてこれが戦場に出るに際して「スリヴァー」を選ぶことで、すべてのスリヴァーのサイズが強化される。
それはまあほんのオマケとして、本題はマナ軽減能力。モロフォンがいる限りスリヴァーはそのコストが色マナ各色1つずつ軽減されることになる。これは不特定マナには作用しないが、つまりはそれをコストに含まず色マナ・シンボルが1つ以下のカードはマナを支払わずに唱えられるということである。
そう、ここからスリヴァーの誇る5色の伝説スリヴァーを唱えようってわけなのだ。《初祖スリヴァー》、これをモロフォンから叩きつけるのがこのデッキの狙い。
《初祖スリヴァー》の持つ続唱能力で、そうだな……例えば、《斬雲スリヴァー》が出てきたとしよう。
7マナでクリーチャーが3体。斬雲によりすべて速攻を持っているため1/1+6/6+7/7、モロフォンの全体強化でさらに3点上乗せで計17点。
無色7マナであればトロンデッキは最速3ターン目に捻出が可能だ。3ターン目にこれだけの大ダメージを与えれば勝ったようなものであるし、続唱→初祖と解決した後にまだ手札に5色のスリヴァーがいればそこからさらに数を増やすことができる。
初祖2枚目でも続唱で十分頭数が増えるチャンスだが、《スリヴァー軍団》だったならもう打点がクールどころではないえらいことになる。
モロフォン!初祖!斬雲!軍団!これで20点を大きく上回るダメージをぶちかまして勝つ……決まればその日がクール記念日だ。
クールポイントその2:クールを支える真面目さ
かなりモロフォン頼みのデッキではある。4枚採用したカードが毎度そう簡単に手札に来てくれるものではないのはマジックの常。なのでロマンあふれるモロフォンムーブ以外にも、なんとか《初祖スリヴァー》に繋げる手段や、スリヴァー以外の勝ち筋を真面目に用意してある。こういうぬかりなさこそ、夢を見る時には大切になってくる。
まずはトロンの友と言える《大いなる創造者、カーン》。
彼の能力でサイドボードからアーティファクトを引っ張ってくる。《歩行バリスタ》《領事の旗艦、スカイソブリン》とスリヴァーに無関係な勝利を目指すためのカードや、《罠の橋》《液鋼の塗膜》などコントロール手段を確保。一般的なトロンとして立ち回るのもまた一興だ。
このカーンからアクセスできるカードに《彩色の宇宙儀》を仕込むことで、ある種5枚目のモロフォン的な無色マナから5色スリヴァーを唱える手段を用意している。このチョイス、いざとなれば5枚ドローもできてクール極まるね。
宇宙儀と同じく彩色を名に持つアーティファクトでマナを変換したり、《探検の地図》《森の占術》などウルザ土地を得る手段で《大瀑布》を持ってきたりと、なんとしてでもデッキを破綻させまいとする精神。これぞクールジャパンと言って差し支えはあるまい。
クールなまとめ
今回のクールなデッキを見て、こういうデッキと会いたくて、あるいは自分がそんなクールの伝道師となりたくて、近くのショップに足を運ぶというプレイヤーが1人でもいてくれればこの上ない喜びだ。『神河:輝ける世界』でショップデビュー、してほしいね。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Let's go to your local shop!!
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