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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
儚い存在コントロール:アドバンテージも、フレイバー・テキストも味わう(パウパー)
カードテキストをしっかり読む。これはマジックをやる上では大事なことだ。
ちゃんと読んでいなくてあれ?となったことは僕の人生でも取り上げていてはキリがないレベル。特に新しいセットが出たばかりの頃はリミテッドも構築も、初見のカードがタップリ。マジック歴が重なると、マナ・コストやイラストの雰囲気から勝手に過去のカードと同様の挙動をするのだろうと思い込んでしまいがち。
最近のカードは過去のものと似た挙動をするがちょっと違う部分があるよ!というデザインが特に顕著に感じる。新しい時代へ確実に切り替わっているんだね。だから思い込みで適当にプレイして、ん?なんで?となってからテキスト読んで「あ~なるほどね」と、取り返しのつかない盤面になって負ける。あるある過ぎて困るぜ……謙虚にテキストをしっかり読む。1回読んだだけでは理解できていないこともあるので何度も読む。これを心がけよう(自戒)。
テキストを読む、それは何もゲーム自体に関わるルールの部分だけに限らない。マジックにはそのカードの背景を伝える、「フレイバー・テキスト」というものがある。
フレイバーの名の通り風味付けであり、ただゲームを行うためのカードに留まらずひとつの世界を作り上げている一部であるという、まあ平たく言えば雰囲気を盛り上げてくれるテキストってことだね。
背景世界に密接にかかわるワンシーンが説明されているものや、ネタに走ったコミカルな台詞、背景世界の各次元に伝わる伝承や格言などなど……中にはウィリアム・シェークスピアを引用しているものまで。
このフレイバー・テキスト、どれが好きかの議論というのはマジックオタクの間でしばしば白熱するものである。昨年(2021年)に出逢ったカード、そのルール・テキストはうっかり読み忘れてしまうが、フレイバーは目を通すことは忘れずに行った。その中でも良いなぁと思ったのは……『Secret Lair: Extra Life 2021』のカードたち。
このセットは子どもたちの病院のためのチャリティープログラムの一環であり、売り上げの一部がその活動に寄付されている。そしてこのセットの素敵なところは、収録されたカードを子どもたちが担当したということ。5歳から6歳の子どもたちが既存のマジックのカードの新規イラストを思いのままに描いたもの、そしてその構図や意図をベースにマジックでお馴染みのアーティストが描き上げたものをワンセットとして3種類を同梱したものだ。
子どもたちとアーティストの夢のコラボであるイラスト、どれもこれも良いのだが……イラストのみならずフレイバー・テキストも良いんだこれが。子どもたちが考えたのであろうそのフレーズに、なんだか元気が出てくる。
その中でも《熟考漂い》のものは、世界中のあらゆる人々に元気・勇気・希望……そういったポジティブな感情を抱かせるものだ。
「自分らしく、自由に、幸せに生きよう!」
こちらは意訳だが、うーんマジックって素晴らしいな。ニッコリ笑顔で嬉しそうに飛び跳ねるイラストともマッチしていて、見ているこっちまで嬉しくなってくる。最高だね。
このイラストとフレイバーで彩られたカードで、自分らしく生きることを体現したいなと。こういう「良いもの」に遭遇すると、思わず使いたい衝動に駆られるよね。
そんなわけで、今日は素敵な《熟考漂い》を自由に飛び回らせるデッキを紹介だ!
8 《冠雪の島》 2 《平地》 3 《平穏な入り江》 3 《アゾリウスの大法官庁》 3 《灰のやせ地》 1 《光輝の泉》 -土地(20)- 2 《海門の神官》 3 《石角の高官》 4 《熟考漂い》 2 《記憶の壁》 3 《渡る魂》 -クリーチャー(14)- |
4 《儚い存在》 1 《思案》 4 《定業》 3 《渦まく知識》 1 《払拭》 4 《蘇生の天使》 2 《対抗呪文》 2 《未達への旅》 3 《塵は塵に》 2 《晩餐への遅刻》 -呪文(26)- |
4 《孤独な宣教師》 2 《大祖始の遺産》 4 《青霊破》 1 《払拭》 1 《残響する真実》 1 《痕跡消し》 1 《存在の破棄》 1 《塵は塵に》 -サイドボード(15)- |
パウパーで《熟考漂い》を使う「儚い存在コントロール」だ。その名の通りキーカードは《儚い存在》。
これでクリーチャーを出し入れすることでアドバンテージを稼いでいく。《熟考漂い》はもちろん相性抜群! 2枚カードを引く能力を《儚い存在》で2回誘発させればそれだけでカード1枚で4枚ドローだからね、これはコモンしかない環境ではなかなかに追いつけない大きな差となる。
さらに、この組み合わせは真面目に唱えずとも成立する。《熟考漂い》を想起で3マナで唱えて戦場に出すことで、能力が2つ誘発。2枚ドローを解決し、そして想起で唱えたために生け贄に捧げる能力を解決する前に《儚い存在》を打ち込む。これで追放されて戦場に戻ると、漂いは先ほどまでのカードとは別のものとして扱われる。つまり生け贄に捧げなくて良くなり、戦場に留まってくれる。さらに漂いの能力で2枚ドロー……4マナで4枚ドローしつつ、次のアップキープを無事に迎えればさらに2枚ドローという最早わけのわからんアドバンテージの稼ぎ方を弾き出してくれる。こりゃあ、自由で幸せな生き方だよな!
他にも《儚い存在》と相性の良いクリーチャーカードで固めてあるので見ていこう。漂いと同じく手札を稼ぐ役の水増しとして《海門の神官》。手札はいくらあっても困ることはないからね。
アドバンテージ獲得を重視しているのでクリーチャーの線は細め。なので相手クリーチャーからの攻撃を食い止める役として《石角の高官》も必須と言える。
対戦相手の戦闘ステップを飛ばすので、攻撃を未然に防げるし《儚い存在》で使いまわして二度と攻撃させないなんていう鬼神の如き活躍っぷりも。
同じく攻撃を食い止める役としてブロック用のトークンを提供するのは《渡る魂》。
この鳥・トークンで攻撃ももちろんできるので、攻めの起点となってくれる。素出しは重いが、漂いと同じく想起でサクッとね。本人も2/4飛行で、鳥の群れとともに一気にライフをもぎ取ってくれるだろう。
ここまで《儚い存在》ありきのカードばかりで、例え反復がついているとはいえ数が足りるのか?と思われたかもしれない。この点を解決するのが《記憶の壁》だ。
これさえあれば、《儚い存在》2枚をグルグルと回すことが可能で、ついでに《渦まく知識》《晩餐への遅刻》などなど状況に合わせたインスタントorソーサリーを回収可能だ。余談にはなるが、この《晩餐への遅刻》のアートとフレイバーテキストも素敵なので、一度ご覧あれ。
コモン限定構築であるパウパー。だからといってアンコモン以上のカードがやるようなアドバンテージの稼ぎ方を諦める必要はない。《熟考漂い》で思いのままにドローし、不自由のない構築を楽しもう。そう、マジックとは心を自由にしてくれるゲームなんだよなぁ。
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