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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:2021年を締めくくるのは「あの2枚」共演デッキ(モダン)

岩SHOW

 良い子の皆、メリークリスマス! 今週もCool Deckのコーナーがやってきたよ!

 2021年内のデイリー・デッキの更新は今回がラストになる。次に皆に会うのは2022年。神河やドミナリアへの再訪だったり、新しい次元の登場、そしてウルザの過去を振り返ったり……楽しみなことが山盛りな年になるだろうね。

 ありがたい話だねぇ〜。来年も今年以上にマジックにのめり込むんだろうなと。このゲームは一体何年我々のハートを鷲掴みにし続けるのだろう。2022年も当コラムは新たなデッキ、よりクールなデッキを取り上げられるように突っ走るぞ! 1人でも多くの人に楽しんでもらえることを願って……。

 というわけで2021年内最後のクールなデッキを紹介するわけだが……どうしたもんかな。まず2021年を振り返るのが良いのかな。構築フォーマットに影響を与えた出来事とカードを振り返ろう。

1月:『カルドハイム』リリース。氷雪メカニズム復活。その後のスタンダードにおける各色の定番となるカードが複数登場。

代表カード:《不詳の安息地》《アールンドの天啓》《黄金架のドラゴン》《エシカの戦車

4月:『ストリクスヘイヴン:魔法学院』リリース。2色のインスタントとソーサリーを主軸としたセット。ミスティカルアーカイブはヒストリックを激変させる。履修と講義によりサイドボードを用いた戦術の幅が拡がる。

代表カード:《精鋭呪文縛り》《ゼロ除算》《表現の反復》《マスコット展示会

6月:『モダンホライゾン2』リリース。モダンおよびエターナル環境でのみ使用可能な特殊セットの第2弾が登場。文字通り、新カードで環境を染め上げた。

代表カード:《ウルザの物語》《敏捷なこそ泥、ラガバン》《エスパーの歩哨》《ドラゴンの怒りの媒介者》、《孤独》などインカーネーション5種

7月:『フォーゴトン・レルム探訪』リリース。「ダンジョンズ&ドラゴンズ」とのコラボセット。ダンジョンやクラスなど独創的な能力が新しいゲーム展開をもたらす。

代表カード:《レンジャー・クラス》《裕福な亭主》《群れ率いの人狼》《ポータブル・ホール》、《フロスト・ドラゴンの洞窟》などクリーチャー化する土地5種

8月:『Jumpstart: Historic Horizons』リリース。ヒストリック環境に『モダンホライゾン』1&2のカードなど、再録カードを多数連れてきたアリーナ専用セット。新規カードも収録され、永久に○○する・抽出・創出といったアリーナならではの新能力が登場。

代表カード:《サリアの副官》《猛火のルートワラ》《海辺の斥候》《魂の仲介人、ダブリエル

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9月:『イニストラード:真夜中の狩り』リリース。史上初の秋の2大セットの先陣。狼男を中心にゴシックホラー世界の怪物と人間が激突する、部族デッキ推奨セット。

代表カード:《粗暴な聖戦士》《無謀な嵐探し》《食肉鉤虐殺事件》《レンと七番

回転

回転

11月:『イニストラード:真紅の契り』リリース。全セットより史上最短でのリリースはスタンダードなどのフォーマットに休む暇のない変化を与えた。

代表カード:《スレイベンの守護者、サリア》《船砕きの怪物》《不笑のソリン

12月:新フォーマット・アルケミー実装&専用カードリリース。マジックにおける初のデジタルに特化したフォーマット。スタンダードをベースに、リリース時から調整されたカードとデジタルならではの挙動を行う新規カードを用いてデッキを構築する。2022年、マジックの新境地となるか。

代表カード:《審問官の隊長》《公式発見》《街裂きの暴君》《白髪混じりの猟匠》《書庫の鍵》《血塗られた刷毛

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Sanguine_Brushstroke.png

 他にも『ヒストリック・アンソロジー』など細かいセットもあるが、ザッと挙げれば上記のようなところか。いやぁボリューミー。

 ほぼすべての月になんらかの構築フォーマットにおける変化がもたらされており、改めて振り返るとこのコラムのためにデッキを追いかけるのに忙しかったなぁと(笑)。それもまた幸せなことなんだけどね。

 さて、これらの変化がもたらされたことで生まれた2021年のデッキ。それらの代表として挙げられるデッキってのは、それだけでもうクールすぎる存在なわけだ。今年を代表するデッキねぇ……カードで考えた時……あらゆるトーナメント結果で名を連ね、SNS上でもたびたび話題になっていたカードが2枚思い浮かぶ。

 まず《ウルザの物語》。

 英雄譚にして土地という、何でもありの『モダンホライゾン2』だからこそ可能なデザイン。アーティファクトの数だけのパワー/タフネスの構築物を2体得られて、1マナのアーティファクトもサーチ可能と大盤振る舞い。

 モダン・レガシー・ヴィンテージと、使用可能なフォーマットすべてのアーティファクト主体デッキに影響を与えた。それどころか、決してアーティファクト主体ではないデッキにも1マナアーティファクトを潜ませる形で使われるというある種の異常事態を引き起こした。これぞ正真正銘のパワーカード。英語名は「Urza's Saga」で、あの伝説的セット『ウルザズ・サーガ』と同名というのもクール極まるぜ。

 そしてもう1枚が同じくモダホラ2よりの使者《敏捷なこそ泥、ラガバン》。

 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》のお供だったトークンが単体でカードになると……マナ加速と対戦相手のカードを奪うのを同時に行う、1マナパワー2のクリーチャーになったという……何を言っているのかわからなくなるレベルで強いお猿さんだ。

 歴代の1マナクリーチャーの中でも指折りのパワーカードであり、とりあえずモダンやレガシーの赤いデッキには何も考えずに入れてOKレベル。ラガバンのために色を足したり、猿にも関わらず人間などの別部族のデッキに召集されたりと、八面六臂の大活躍。「今年最も攻撃したクリーチャーランキング」の上位にも入賞してくることだろう。

 この《ウルザの物語》とラガバン、2021年生まれの中でもツートップと言えるパワーカードの王2枚。共演するデッキはあるのかと問われると……そりゃあもちろん、ありまっせと。今年を代表するデッキ、それで良いんじゃないのか? サーガとラガバンの競演デッキ、その名も「サガバン」! 今回紹介するのはこれで決まりだ!

Eric Hymel - 「サガバン」
Grand Opening 2.5k @ Level Up Games トップ8 / モダン (2021年12月11日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
1 《
2 《血の墓所
1 《草むした墓
1 《踏み鳴らされる地
4 《樹木茂る山麓
3 《血染めのぬかるみ
2 《新緑の地下墓地
3 《黒割れの崖
4 《ウルザの物語
-土地(23)-

4 《ドラゴンの怒りの媒介者
4 《敏捷なこそ泥、ラガバン
4 《タルモゴイフ
-クリーチャー(12)-
4 《ミシュラのガラクタ
1 《黄鉄の呪文爆弾
1 《虚無の呪文爆弾
4 《コジレックの審問
2 《思考囲い
4 《邪悪な熱気
2 《致命的な一押し
2 《突然の衰微
1 《コラガンの命令
1 《影槍
3 《レンと六番
-呪文(25)-
1 《夢の巣のルールス
-相棒(1)-

2 《虚無の呪文爆弾
2 《高山の月
1 《思考囲い
1 《ゴルガリの魔除け
1 《終止
1 《倦怠の宝珠
1 《コラガンの命令
3 《仕組まれた爆薬
2 《虚空の杯
-サイドボード(14)-
mtgtop8 より引用)

 

 「サガバン」以外には「ジャンド・サーガ」などとも呼ばれるこのモダンのリスト。

 ジャンド(黒赤緑)はモダン黎明期から人気のアーキタイプで、攻撃的なカラーリングによるパーマネント破壊と黒の手札破壊、具体的には《思考囲い》《コジレックの審問》で対戦相手の理想のゲーム展開を妨害。

 それと同時に軽量にしてパンチ力のあるクリーチャーで殴る、マジックの基本をしっかりとなぞりながら勝つ伝統的な戦法を用いるデッキである。苦手なデッキもあるにはあるが、その対応力の高さから相手を選ばずに戦えるというのがジャンドの強みだ。

 ここに昨年2020年、《夢の巣のルールス》が加わったことによりジャンドにも大きな変化が見られるように。

 2マナ以下の軽量カードばかりでデッキを構築し、ルールスでクリーチャーや《ミシュラのガラクタ》などを再利用し続けることで、尽きないアドバンテージで勝利するという形だ。

 もともと手札とパーマネントを破壊し尽くすことで、消耗戦にもつれ込ませるのは得意なデッキである。そこから安定して手札を補充しアドバンテージ確保できる手段を得たとあって、旧来のプレインズウォーカーなどを用いるジャンドからこのクールなルールス型へと乗り換えるプレイヤーも多く見られた。

 そして2021年、ルールスを相棒に据えつつ採用できるパワーカードとしてサーガ&ラガバンがジャンドに加入したというわけである。ラガバンは殴りながら対戦相手とアドバンテージ差を拡げるジャンドの思想に噛み合っているので、これが採用されていることに大きな違和感はないだろう。

 では、元々アーティファクトが主役ではないジャンドにおける《ウルザの物語》の強さについて言及していこう。まずはサーガのⅢ章能力によるアーティファクトサーチ。《黄鉄の呪文爆弾》は軽量クリーチャーをキーにするデッキに対しての除去であり、またプレイヤーに投げつけて勝つための詰めの手段でもある。たかが2点? ルールスによる連打はそうは言わせないクールな威力だぜ。

 同じく呪文爆弾である《虚無の呪文爆弾》は対戦相手の墓地をすべて吹き飛ばしつつドロー出来る、手札が減らない対策カードとしてモダンでは引っ張りだこな1枚。「ドレッジ」や「リアニメイト」などなど、モダンではヤバい墓地利用が後を絶たないからね。

 《影槍》は打点向上&絆魂による殴り合いサポートであり、また呪禁や破壊不能を持った相手のパーマネントを粉砕するための手段でもある。

 デッキに複数枚採用しにくいが、効く相手には劇的に効く……こういったカードを1枚ずつ忍ばせて、4枚あるサーガから得てゲームを優位に進める。当コラムでもお馴染みの「シルバーバレット」と呼ばれるクールな戦術だ。

 これらのアーティファクトと《ミシュラのガラクタ》を持つため、Ⅱ章の能力により生成される構築物も意外とデカいサイズに育つのもポイント。何よりラガバンが宝物をじゃらじゃら並べるのでね、マナとして使ってヨシ、構築物のサイズのために残してヨシと、一見交わることのなさそうなこの2枚は好相性なのである。

 そして、英雄譚であるという点。英雄譚はⅢ章の能力が誘発するとともに墓地に落ちる。これにより、カード1枚で土地とエンチャント、2種類のカウントが増えることになる。

 《ドラゴンの怒りの媒介者》の昂揚を助け、《タルモゴイフ》のサイズを育てる。うむ、これはもうジャンドのためのカードとさえ言えるクールな噛み合いっぷりだな。《邪悪な熱気》を6点ダメージに引き上げるのも簡単だし、攻撃面も防御面でも素晴らしく仕事を果たす……「サガバン」というデッキの看板として掲げるのに、疑問の余地もないもんだね。

 サーガ&ラガバン擁する2021年生まれの新型ジャンド、モダンのトーナメント結果でも毎日のようにその姿を見るし、2021年の最後を締めくくるのに相応しいクールなデッキじゃないかな。


 そんなわけで、今年のCool Deckおよびデイリー・デッキの更新はこれでオシマイ。正直、全てのデッキが素敵でクールで……忘れられないものだったよ。

 来年も心に響くデッキたちに会えることを願って……2021年もご愛読ありがとうございました! また2022年も応援よろしくお願いしますッ!

 それじゃ今年はここまで。Stay cool! Merry Christmas! And happy new year!!

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