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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

濫用ゾンビ:死者への生け贄は死者に限る(新スタンダード)

岩SHOW

 『イニストラード:真紅の契り』、タイトルやコンセプトアートを飾る主役的立ち位置には吸血鬼が座る。

 しかしながらこのセットはすべてが吸血鬼のために作られているというわけではない。狼&狼男、人間といったイニストラードの他の住人たちもしっかりと新カードを得て補強されることになる。

 そして、中でも僕が注目しているのがゾンビだ。『イニストラード:真夜中の狩り』では腐乱を持ったトークンという独自のメカニズムを与えられたゾンビ、『真紅の契り』では再録能力となる濫用を与えられるというなかなかの優遇っぷりだ。2つのセットで2度美味しい、十分な頭数が揃ったゾンビたち。『真夜中の狩り』時点のスタンダードでも「黒単ゾンビ」が組まれて活躍したが、こりゃあいよいよ「青黒ゾンビ」の出番が回ってきたようだな。

 そんなわけで今回は濫用を持った新ゾンビを主軸としたデッキを考察してみよう!

 そもそも濫用とは。他のクリーチャーを生け贄に捧げてもよいという能力であり、濫用自体が何かするというわけではない。濫用が行われたことによって何らかのボーナスを得るという能力を持ったクリーチャーたちであり、実質的に2つのモードを持ったカードとしてデザインされたようなものだ。

 濫用では自身を生け贄に捧げても構わないので、《シディシの信者》は0/4の壁として立たせておくか、《送還》のように使い捨てるかと選べるカードなわけだ。

 死亡した時に何かを誘発するクリーチャーと組み合わせることでアドバンテージが得られる可能性があり、特に現行スタンダードでは《ひきつり目》を生け贄にして講義・カードを得るのは強い動きとなるね。

 今回はゾンビ・デッキなのでほぼゾンビ単を目指すので不採用となるが、濫用を強く使いたいのであればぜひこのコウモリと組み合わせてやってほしい。

 ゾンビ・デッキであれば《よろめく怪異》はうってつけの濫用の友。

 濫用によるボーナスを得ながらタフネス1を潰しても良し、宝物を得て次なるアクションに繋げて良し。元々死んでるゾンビだから、生け贄に捧げても心が痛まないのもいいところ。

 さて濫用を持った新カードの紹介だ。まずすべての濫用ゾンビと仲良しなのが《髑髏スカーブ》。

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 これは自身だけでなく、あらゆるクリーチャーの濫用に反応するのが面白い。トークンでないクリーチャーを濫用した際にゾンビ・トークンを生成するので、頭数を減らさずにバンバン濫用可能だ。ゾンビが出てくるということで《滅びし者の勇者》がサイズアップ。良いコンビとなりそうな予感だ。

 《墓の肉裂き》はまず2マナ3/3と攻めっ気あふれるナイススペック。

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 毎ターンライフを1点失うが、それぐらいはご愛敬。濫用すればプレインズウォーカーを破壊できるので、ゲーム後半に引いた時のオプションとして捉えておこう。

 《不吉なとげ刺し》はドローで手札を満たしてくれる。

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 3マナでパワー3で接死と戦闘能力もかなり評価できるので、トークンやちっぽけなゾンビを餌に繰り出してアドバンテージをガッポリいただこう。

 そして濫用の中でも最たるものは《過充電縫合体》!

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 4マナ3/3飛行・瞬速、これだけでもなかなかだが濫用すれば打ち消し! しかも呪文だけでなく能力も打ち消せるというすげー野郎だ。あらゆるプランを崩壊させる可能性を秘めたデンジャラスな青いゾンビ、これは使うっきゃないな。

 というわけで上記のゾンビたちと既存のゾンビカードなどを組み合わせてざっくりとデッキにしてみたぞ。

岩SHOW - 「濫用ゾンビ」
スタンダード (『ゼンディカーの夜明け』~『イニストラード:真紅の契り』)[MO] [ARENA]
6 《
5 《
4 《難破船の湿地
4 《清水の小道
2 《目玉の暴君の住処

-土地(21)-

4 《滅びし者の勇者
4 《よろめく怪異
3 《縫込み刃のスカーブ
2 《穢れた敵対者
1 《ネファリアのグール呼び、ジャダー
4 《墓の肉裂き
4 《髑髏スカーブ
3 《首無し騎手
2 《不吉なとげ刺し
2 《先見的な縫い師、ゲラルフ
3 《過充電縫合体

-クリーチャー(32)-
3 《冥府の掌握
3 《アガディームの覚醒
1 《蜘蛛の女王、ロルス

-呪文(7)-
3 《強迫
1 《踊り食い
2 《軽蔑的な一撃
1 《パワー・ワード・キル
3 《真っ白
3 《激しい恐怖
1 《月の拒絶
1 《寄生性掌握

-サイドボード(15)-

 青黒のゾンビデッキであれば外せない新カードが《先見的な縫い師、ゲラルフ》!

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 ゾンビ制作のプロはすべてのゾンビに飛行を与える、ゲームを終わらせるポテンシャル持ち。クリーチャーを生け贄に捧げつつゾンビを出せる能力はこれ単体だと少々扱いにくいが……《首無し騎手》と組み合わせることで本領発揮だ。

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 このコンボでゾンビの頭数を増やすことで《滅びし者の勇者》を育て《縫込み刃のスカーブ》で強化して大きく打点を向上させられる。《首無し騎手》はもちろん濫用との組み合わせても機能するので、非トークンのゾンビを遠慮なく生け贄に捧げていきたい。《燃えがら地獄》《ドゥームスカール》など全体除去への耐性が上がるのも素晴らしい。2体以上並べば、むしろ除去した方がゾンビが増えるという異常事態も引き起こせるかも?

 サイドボードにはお試し的に特定クリーチャーに効くカードを採用してみると環境初期に手応えを確かめられそうだ。《月の拒絶》と《寄生性掌握》、どちらも狼&狼男や人間に対してはかなり軽いコストで運用できるので、それらを用いるデッキが流行ればもっと枚数を増やしても良いかもね。

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 今回は濫用を持った新ゾンビたちをメインに採用したスタンダードのデッキを考えてみた。あくまでサンプルとして、皆それぞれに使いたいカードを投入して思い思いの「青黒ゾンビ」を組んでくれれば幸いだ。

 また、濫用カードはそれぞれ青単・黒単・あるいは他の色との組み合わせも強く使える可能性があるので、じゃんじゃん良いデッキを世に送り出してくれよな! ゾンビ好きとして、美しいリストが出てくるのを待ってるよ!

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