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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スレイベンに思いを馳せて。白単アグロのおさらいと新カード考察(スタンダード)

岩SHOW

 イニストラードの登場人物と言えば?……サリアが思い浮かぶ人、かなり多いんじゃないかな。

 サリアは人間の女性、かつてのアヴァシン教会の聖戦士だった。彼女はイニストラード最大の都市、スレイベンを包囲するゾンビの軍団に火を放ち、この地を救いスレイベンの守護者の称号を授かった。そんなサリアが守護するスレイベンは、イニストラードに侵入したエムラクールと、それに立ち向かうゲートウォッチのプレインズウォーカーたちとの戦いに巻き込まれることとなった。

 中でもエムラクールへの対抗策として、リリアナが蘇らせた大量のゾンビは、この戦いが終わった後もこの都市に残り、結果としてスレイベンは崩壊しアンデッドが彷徨う廃墟となった。『イニストラード:真夜中の狩り』の時系列でも、未だ復興はしておらず……それどころか、《素晴らしき復活術師、ギサ》の操る屍により支配されてしまっているありさまだ。

 そんな現状に相反するかのように『イニストラード:真紅の契り』に収録されたサリアは……まさかの《スレイベンの守護者、サリア》!

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 彼女の初出カードの再録である。滅んだも同然のスレイベン、それをまだ守護している。サリアは諦めておらず、いつかスレイベンにまた希望の光が戻る日まで、この地で戦おうというのか。「スレイベンは生ける者の地。浄化するまで、私に休息の時はない。」というフレイバーテキストからは悲壮なまでの決意が伝わってくる。死者どもから街を取り戻すその日まで戦うという彼女の生きざまは《スレイベンの守護者、サリア》という名でしか表現できないということかな。

 カードとしては非常に強力。MTGアリーナから参入したプレイヤーも、ヒストリックをやったことあるならこのカードの強さを体感したことがあるだろうね。レガシーやモダンでも使用される、白いクリーチャーの筆頭である。2マナでパワー2の先制攻撃と攻めても守ってもよし。非クリーチャー呪文のコストを{1}増やすという強烈なアンチコントロール&コンボ能力で、対戦相手の行動を一手遅れさせながら攻めていく、クリーチャー主体デッキにとってのエース格だ。まさかスタンダードに帰ってくるとはねぇ。

 新セットのカードというものはリリースされてみないとわからないものだが、桁違いの使用実績を誇る彼女はスタンダードのクリーチャーデッキでも確実にその存在感を発揮するはずだ。

 ということでまずは現環境の「白単アグロ」からおさらい。

Tron Young - 「白単アグロ」
5CH INTER TIENDAS by 5CH LATAM SERIES VOL. IV 5位 / スタンダード (2021年10月30日)[MO] [ARENA]
20 《冠雪の平地
3 《不詳の安息地
-土地(23)-

4 《素拳のモンク
4 《堕ちたる者の案内者
2 《施しの司祭
4 《剛胆な敵対者
4 《光輝王の野心家
3 《日金の歩哨
4 《輝かしい聖戦士、エーデリン
4 《精鋭呪文縛り
2 《粗暴な聖戦士
-クリーチャー(31)-
2 《ポータブル・ホール
2 《カビーラの叩き伏せ
2 《スカイクレイブの大鎚
-呪文(6)-
3 《傑士の神、レーデイン
3 《スカイクレイブの亡霊
2 《粗暴な聖戦士
2 《ガーディアン・オヴ・フェイス
1 《パラディン・クラス
1 《ポータブル・ホール
1 《君は道で待ち伏せに遭遇した
1 《運命的不在
1 《君は見張り中に物音を聞いた
-サイドボード(15)-
MTGMelee より引用)

 

 こちらのサンプルリストはクリーチャーの総数31枚、非クリーチャー呪文は6枚という構成。ほぼクリーチャーを出して押せ押せなゲーム展開なので、自分自身にとってサリアの能力が邪魔になりにくい。ここにサリアを投入し《施しの司祭》あたりと交換しただけでもデッキの完成度は増し、新スタンダード環境初期においてかなり戦えるリストになりそうな予感。

 《食肉鉤虐殺事件》や《霜と火の戦い》のような全体除去に対して脆いデッキながら、《精鋭呪文縛り》で追放して追加コストを課し、さらにサリアでそれを引き上げてやれば間に合わないというゲーム展開にもっていきやすいはずだ。

 サリアを採用する関係で《運命的不在》のような非クリーチャーの除去は扱いにくくなってしまう点に注意。《ポータブル・ホール》のように元のコストが軽ければ共存もできるが、あまり無理なチョイスは避けるのが無難。

 その分、白単には《スカイクレイブの亡霊》《粗暴な聖戦士》のような除去能力を持ったクリーチャーも多いのでデッキ構築に困ることはないはず。

 今回この追放するクリーチャー枠に新たに《オリバクの救済者》が加わるが、このカードにもスポットライトが当たることはあるだろうか。

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 クリーチャーを戦場から追放するだけでなく、墓地からもそうすることで降霊などの墓地利用を防ぐ。またあるいは自身の墓地のクリーチャーを追放することで、これ自身が死亡した時に戦場にクリーチャーを出せるという特殊な動きも狙える。《ドゥームスカール》などへの対抗手段になり得るか。

 訓練という新能力により誘発するものなので、どれほどの効力を発揮するかは本当に未知数だが……少なくとも先に出ているサリアで1回訓練させられるというのは覚えておきたいポイントだな。

 《素拳のモンク》や《光輝王の野心家》など+1/+1カウンターを置くカードも白いクリーチャー、非クリーチャーには多く見られる。なので《シガルダの召喚》もあながち的外れなカードではなさそうだ。

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 緑単が同型などでのにらみ合いを《不自然な成長》で押し切るプランを取るように、白単の睨み合い打破のための最終兵器として、火を噴く可能性はある。

 まだまだこれを書いている時点で出ていないカードもあるのだが、サリアをはじめ「白単アグロ」は、デッキの根幹を揺るがすようなド派手なカードはないにしても、堅実に強くなりそうだ。

 とにかく《スレイベンの守護者、サリア》には気を付けろ! あらゆる環境での戦績を引っ提げて凱旋する彼女は、スタンダードという地を浄化するつもりだ!

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