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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
黒赤吸血鬼を考える(新スタンダード)
これを書いているのは『イニストラード:真紅の契り』プレビュー真っただ中。前セット『イニストラード:真夜中の狩り』から史上最短と言われる期間でのリリース。異例中の異例の秋セット2連発という、これまでになかった刺激的な11月がやってくる!
そのタイトル通り、収録されているカードは「吸血鬼」「血」そして「結婚式」という要素で満ちている。《真紅の花嫁、オリヴィア》はまさしくこのセットの象徴だ。
6マナ3/4飛行・速攻と攻撃すれば墓地のクリーチャーを吸血鬼として蘇生させて攻撃させるという、なかなかにインパクトのある能力を持っている。吸血鬼の四大血統であるヴォルダーレン家の始祖の彼女がこの度結婚というのもなんだかインパクトがあるね。
シンプルに打点が高く、墓地にとてつもなくデカいクリーチャー、たとえば《年老いた骨齧り》やMTGアリーナであれば《嫌悪の悪魔》などを仕込んでおいて攻撃するとこの世の終わりのような光景を展開できるリアニメイト系コンボパーツになる。
でもそれを抜きにしても、除去された適当なクリーチャーを拾うだけで6マナにしては過ぎたるダメージを叩き出せることだろう。どんなデッキ相手にも最後の一押しとして機能してくれそうで期待の持てる1枚だ。
彼女のように、赤と黒を中心に多数の吸血鬼カードが登場するこのセットは、名作古典「吸血鬼ドラキュラ」とのコラボカードも登場。ドラキュラやヘルシングといった著名なキャラクターの描かれた雰囲気抜群のカードで遊ぶのも楽しいはず!
さて、こうなると困るのはデッキ構築だ。どんなデッキを作ろうか?……やっぱり主役の吸血鬼か。ここで大事なのは、現行スタンダードで狼男やゾンビ、はたまたドラゴンといった面々と比べると吸血鬼を主役にしたデッキが目立っていないということ。流行りのリストに新カードを乗っけて、という横着はできそうにない。
この時点でハードルが高く感じるプレイヤーもいるかもしれないが、だからこそ、だからこそ! チャレンジするのが大事なのであるッ!
急にテンションが高まって申し訳ない。デッキをゼロから考えられる、絶好のタイミングだということを伝えた過ぎて高まってしまった。
気を取り直して、吸血鬼デッキを組むとしよう。新カードは後からチェックするとして、現スタンダードの吸血鬼をリストアップしてみた。★のついたカードは現スタンダードの使用可能セットには含まれていないがMTGアリーナのプールに含まれているカードだ。
- 《血流の学部長、ヴァレンティン》
- 《マラキールの血僧侶》
- 《マラキールの選刃》★
- 《吸血鬼の侵入者》
- 《殺戮の専門家》
- 《探検隊の潜伏者》
- 《日和見吸血鬼》★
- 《忘却の虚僧》
- 《影のとげ刺し》
- 《吸血鬼の落とし子》
- 《尊大な無法者》
- 《無神経な血魔道士》
- 《夜鷲のあさり屋》
- 《野蛮な大喰らい》★
- 《略奪する破戒僧》
- 《流城の血泥棒》
- 《コウモリに囁く者》
- 《ミルクルの死の僧侶》
- 《名門の吸血鬼》
- 《センギアの吸血鬼》★
- 《群れの末裔》
- 《最後の血の長、ドラーナ》
- 《終身書唱師》
- 《西門の主》
- 《税血の徴収者》
- 《ドラーナの口封じ》
- 《ヴォルダーレンの刺剣士》
- 《ファルケンラスの闘技士》
- 《ファルケンラスの打ち抜く者》
- 《血に飢えた敵対者》
- 《ヴォルダーレンの伏兵》
- 《飢えた餌あさり》
- 《馬上の戦慄騎士》
- 《生命絆の僧侶》
- 《シルバークイルの誓約魔道士》
- 《吸血鬼の社交家》
- 《ヴォルダーレンの末裔、フロリアン》
- 《イマースタームの捕食者》
- 《鼓動盗み、ザグラス》
- 《血の研究者》
黒の主要種族だけあって、数は思ったよりもいるもんだ。盲点だったのは《イマースタームの捕食者》、アートも相まってドラゴンとしか認知していなかったプレイヤーも少なくないはず。今後はこいつが吸血鬼であることが活きてくること間違いなしだ。
例えば……《ヴォルダーレンの居城》で色マナを支払えて、またこの土地の持つ血・トークンを生成する能力のコストを軽減させる。《面汚しの乙女、エインジー》の能力を誘発させる、などだ。
また、《イマースタームの捕食者》の持つクリーチャーを生け贄に捧げる能力と相性抜群の1枚も登場! 《威圧する吸血鬼》だ。
ダメージをゴリ押しするための一時的なコントロール奪取能力、これで奪ったクリーチャーをイマースタームの餌とすることで実質的な除去へと昇華させるってわけだ。かつての《初子さらい》のように機能してくれるし、吸血鬼が多ければ大物だって処理できる。
これを中心に、生け贄シナジーを込みにしたアグレッシブな吸血鬼デッキを考えてみようか。
4 《山》 4 《沼》 4 《憑依された峰》 4 《荒廃踏みの小道》 1 《バグベアの居住地》 2 《目玉の暴君の住処》 2 《ヴォルダーレンの居城》 -土地(21)- 4 《ファルケンラスの闘技士》 4 《吸血鬼の社交家》 2 《スカイクレイブの影》 2 《ヴォルダーレンの末裔、フロリアン》 4 《イマースタームの捕食者》 4 《ヴォルダーレンの投血士》 4 《威圧する吸血鬼》 4 《血瓶の調達者》 1 《面汚しの乙女、エインジー》 -クリーチャー(29)- |
3 《血の長の渇き》 2 《髑髏砕きの一撃》 1 《アガディームの覚醒》 1 《マルコフの報復》 1 《吸血鬼の復讐》 2 《不笑のソリン》 -呪文(25)- |
3 《ファルケンラスの先祖》 1 《吸血鬼の復讐》 2 《強迫》 3 《乱動する渦》 2 《削剥》 2 《真っ白》 2 《激しい恐怖》 -サイドボード(15)- |
《威圧する吸血鬼》と《イマースタームの捕食者》のコンボを軸に、他にも軽量の吸血鬼をメインにしたクリーチャーを多めにしたアグロデッキだ。
吸血鬼で固めることで《威圧する吸血鬼》で奪えるクリーチャーの範囲が広がるとともに、《吸血鬼の社交家》で自軍が+1/+1カウンターを得られ、《面汚しの乙女、エインジー》で血・トークンを得られる。
さらに《マルコフの報復》《吸血鬼の復讐》と吸血鬼と組み合わせて強い除去も使える。
これらのカードがどれほどの働きぶりを見せるか、まだまだ未知数なので楽しみだな。どちらも3マナと現実的なコストなので試しやすいので、環境初期には躊躇なく使ってみることをオススメする。どちらも大きくダメージを叩き込むチャンスを広げてくれるので、《威圧する吸血鬼》と組み合わせて勝利に直結させたいところだ。
単体で非常に強力なのは《血瓶の調達者》。
4マナ5/6飛行・トランプル! マナ効率で見ると滅茶苦茶優れている。対戦相手が呪文を唱えると血・トークンを1つ生成してしまうというデメリットが設定されてはいるが……この血というアーティファクト、手札を捨ててカードを引くというものなので、別に数としてのアドバンテージが取れるわけではない。あれば便利は便利だが、手掛かり・トークンほどありがたいものではない。
それをプレゼントしてやる調達者は、攻撃時に対戦相手に提供した血・トークンの数だけパワーが上昇する。おいおい、血をあげるのがメリットになっちゃうよという、なかなかのパワーカード説が早くも囁かれている。相手が必死になって血を処理してきたらそれはそれでマナも消費しているわけだし、素でデカいからね。4マナの先出しで《黄金架のドラゴン》をキャッチできるブロッカーを立たせておけるというのもかなり魅力的だ。
吸血鬼と言えばソリン・マルコフ。何度目か分からないほどカード化されている黒の主要プレインズウォーカー、今回は《不笑のソリン》として参戦。
特に目を引くのは[-7]能力。13点ダメージ&回復というド派手な一発、ソリン砲の相性で親しまれた《ソリンの復讐》を思い出させる超火力だ。最近のプレインズウォーカーは大マイナス能力の印象が薄いものが多い中で、これだけのインパクトを放たれるとこちらも使いたくなってくるというもの。
[-2]能力で生成される吸血鬼も2/3飛行・絆魂と優れたスペックで、これを2体生成するだけでも4マナのカードとしては十分な性能だ。[+1]連打で一気に13点に向かっても良し、間でトークンを挟みながら確実にアドバンテージを取っても良し。吸血鬼シナジーと絡めてより強く使いたい、期待大のシブいカードだ。
新カードが多く書き出していくとキリがないのでここらで。新メカニズムと狂暴なデザインが同居する吸血鬼。新セットの主役に相応しいエレガントでパワフルなカードの数々、皆に体験してほしいね。
とりあえず《不笑のソリン》と《血瓶の調達者》は吸血鬼にこだわらずとも黒いデッキで活躍する可能性があるので、土地が揃ってないなど問題があるなら黒単からでも始めてみよう!
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