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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アゾリウス・コントロール:環境を読み専用機を作り出せ(スタンダード)
コントロールデッキは組み上げるのに時間がかかる。
コントロールとは対戦相手に思い通りのゲーム展開をさせないデッキだ。つまり対戦相手について考えるという工程が他のデッキよりも重要になってくる。
ランク戦を回す、フライデー・ナイト・マジックに参加する、アリーナオープンのようなオンライントーナメントに参戦する……それぞれの目標と、その先に待つ環境を予測して、どのように対戦相手を手玉に取るのかを考える。
カードの取捨選択、たとえばクリーチャー除去のチョイスなどはコントロールの勝率を大きく変える。ベストなものを取り揃えるためには調整が必要で、1ゲームにかける時間の長いコントロールはアグロの調整よりも試行回数を重ねにくい……と、まあこんな具合にコントロールデッキを完成させるには時間がかかる。
それでも大型のトーナメントが開催された直後などは追い風である。やはり多くのプレイヤーは大舞台で結果を残し、その強さを知らしめたデッキを我もと用いる傾向にある。自然と仮想敵が定まるのだ。後はそれらに対して何が効くのかをしっかり判断できれば、自ずと勝利は手の内に……というわけだ。
この10月に開催された「アリーナ・オープン」は世界選手権の直後ということで、参加者が使用するデッキの分布は比較的読みやすいものだった。コントロールが勝つ土台は整った、ということでこの賞金制トーナメントの2日目を見事7勝で飾り、2000ドルを手に入れたコントロールデッキのリストを見てみよう!
3 《島》 3 《平地》 4 《さびれた浜》 4 《連門の小道》 2 《イストフェルの門》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 4 《廃墟の地》 -土地(22)- 4 《象徴学の教授》 -クリーチャー(4)- |
3 《軽蔑的な一撃》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《運命的不在》 1 《否認》 1 《才能の試験》 4 《活力回復》 3 《雲散霧消》 2 《鴉の警告》 4 《多元宇宙の警告》 4 《記憶の氾濫》 3 《ドゥームスカール》 3 《壊滅の熟達》 2 《エメリアの呼び声》 -呪文(35)- |
2 《心悪しき隠遁者》 3 《黄昏の享楽》 2 《才能の試験》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《運命的不在》 1 《シュタルンハイムの解放》 1 《ドゥームスカール》 1 《環境科学》 1 《記憶留出法》 2 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
このたたずまい、練り上げられた専用機という感じがビシビシ伝わってくるぜ……このリストを生みだしたプレイヤーは相当な試行錯誤を繰り返したに違いない。
というわけでコントロールの伝統的なカラー、アゾリウス(白青)だ。コントロールデッキは青を主軸にしたものかそれ以外かで大別される。青を用いる理由は危機を未然に防ぐ打ち消し呪文を持っていること、そして減った手札を満たすドロー呪文を備えているからだ。打ち消しは相手のカードに何もさせない強力なものだが、これだけをひたすらに打ち続けていては手札が尽きる。そうなった時に対戦相手が引いてきた強力なカードを撃ち漏らすと悲惨なことになる。インスタントである打ち消しを構えながら、打ち消しの出番がない時は相手のターンエンドに同じくインスタントのドロー呪文を唱え、常に相手よりも多くの手札を持つ。これが青系コントロールの理想形だ。
青の相方に白を用いるのは、クリーチャー除去を持つからである。すべてのクリーチャーを打ち消せるわけではなく、掻い潜って出てきたものに対処する術がなければそれで殴り切られてお陀仏だ。そんな状況を防ぐための除去として、特に白には古くから《神の怒り》のような1枚で2体以上のクリーチャーに対処可能なカードが存在する。白は頼もしいボディーガードなのだ。
上記を踏まえてデッキリストを眺めてみよう。スタンダードの他のデッキでは見かける機会の少ないカードが多く並んでいることがよくわかるだろう。
例えば打ち消し枠の《雲散霧消》3枚という構成はなかなか珍しい。
《襲来の予測》を主体とした構成が多い中でこれを優先しているのは、打ち消したものを追放するのが重要ということだね。特にコントロール同型の《記憶の氾濫》に1枚で完全に対処できるのは魅力的だ。《溺神の信奉者、リーア》によるフラッシュバック攻めも未然に防げるというわけで、打ち消しは対青デッキを標的にして選出しているのだろうね。
白伝統の全体除去枠に定番の《ドゥームスカール》のみならず《壊滅の熟達》を採用している点も特徴的だ。
土地でないパーマネントすべてが射程圏内なので、《エシカの戦車》《レンジャー・クラス》などが残ってしまうという事態を避けられる点はかなり優秀だ。マナ拘束がきつくコストも重いのだが、いざとなれば4マナでも唱えられる。対戦相手にパーマネント2枚を救出させてしまうのだが、戦場から離れてくれることには違いなく、特に後手番などでは4ターン目にこれを唱えて時間を稼ぎ、少しでも生き延びる可能性を高めることが勝率に響いてくる。臨機応変というコントロールが最重要視している要件を満たす、シブいチョイスは実際に試して感触を知りたいところ。
そして分厚い全体除去でも対応できない《バグベアの居住地》や《不詳の安息地》などのクリーチャー化する土地を封じるために《廃墟の地》は4枚だ。
ここを中途半端な枚数にするのは今のスタンダードでは生死にかかわる問題に見えるね。資源を減らすことなく土地を割れるという点もコントロールにとってはありがたい。対コントロールでは《ストーム・ジャイアントの聖堂》を一方的に用いるため、この土地破壊を上手く使おう。
メインデッキは極力コントロールに振って、勝つための重いカードを排除しているのもこのリストの特徴だ。勝利手段はサイドボードに頼れば良い、というわけでお馴染みの履修・カードで《マスコット展示会》を持ってくる戦術だ。
しかしながら多くの青系デッキが《ゼロ除算》を用いるのに対して、このリストは《象徴学の教授》を採用している点が面白い。
これもまた後手番の時に2ターン目に出しておいて相手のクリーチャーと相討ちさせつつ《環境科学》を持ってきて動きを安定させる、というような芸当が可能で、3マナのインスタントを構えるよりも積極的に2マナのクリーチャーを出した方が対アグロにおいては有用であると判断したのではないだろうか。
同じくサイドボードから《シュタルンハイムの解放》や状況によっては除去なども持ってこれる《鴉の警告》というチョイスも玄人っぽさが出ていてたまらない。
まとめれば結構個性が強い「アゾリウス・コントロール」のリストだったね。これをこのまま使っても勝てるかもしれないが、それよりもどのカードが何を意識して採用されているのかを考え、今の自分がコントロールを組むならどのようなアプローチが最適か、それを考えながら自身の専用機を作るのがより良い結果に繋がるはず。「他人のコントロールは環境の教科書」の姿勢でリストを拝むべし!
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