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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
白緑人間:さあ集会に加わろう(ヒストリック)
怖い話で盛り上がるとき、ある結論に行きつく時があるね。「なんだかんだ人間が一番怖い」という。いわゆる「人怖」な話、誰でも1つや2つ耳にしたことがあるはずだ。
自分自身と同じ人間なのに、理解できないことをされるというのが最も恐怖を覚える――そういうことなんだろう。狂気に取り憑かれた人間ほど恐ろしいものはない。また、決して本人は狂っている自覚がなくても、はたから見れば明らかに常軌を逸している行動やいでたちというものもまた怖いものだ。
イニストラードでは現在、昼と夜の均衡が崩れている。これをどうにかしようと画策しているのは、夜の魔物たちに狩られる立場の人間だ。垣魔女と呼ばれる古の教えを実践する者を中心とした集会が各地で催され、生き残るための計画が練られている。
これだけ聞くと普通のことのように思えるが……垣魔女を中心に、集会に集う人々の姿はなんだか怖いのである。動物の頭蓋骨や木の枝、蝋燭をまとったそのファッション。もし森の中でそんな人と遭遇したら震えが止まらないことは容易に想像できる。果たして集会に参加している人々はまともなのか、それとも狂っているのか。物語の結末を見届ければその答えはわかるだろう……いやまあまともだったとしても怖いよマジで。
集会の中心にいるのが《ドーンハルトの主導者、カティルダ》だ。
いかにもヤバい恰好がたまらないが、能力もまたヤバめ。人間は自身と同じ色を得られるマナ・クリーチャーとなる。大いにマナを増やすことができるだろう。そしてそのマナの使い道も彼女が務める。{4}{G}{W}とタップで、自軍のすべてのクリーチャーの上に+1/+1カウンターを置くという全体強化だ。『イニストラード』の誇る名カード《ガヴォニーの居住区》と同様の能力を持っているのはなんだか感慨深いものがある。
この能力が機能しだすと、対クリーチャーデッキにおいて圧倒的に優位にゲームを進められる。マナはかかるが、それは人間たちが集うことでなんとかなるという自己完結っぷりが素晴らしい。
このカティルダの能力を活かせる人間デッキ、といえば……
6 《平地》 4 《寺院の庭》 4 《草茂る農地》 4 《枝重なる小道》 2 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 2 《ハイドラの巣》 -土地(22)- 4 《エスパーの歩哨》 2 《スレイベンの検査官》 1 《不屈の護衛》 1 《巨人落とし》 4 《光輝王の野心家》 4 《サリアの副官》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《野心的な農場労働者》 2 《ドーンハルトの主導者、カティルダ》 3 《秋の占い師》 3 《精鋭呪文縛り》 3 《イーオスのレインジャー長》 2 《スカイクレイブの亡霊》 -クリーチャー(34)- |
4 《集合した中隊》
-呪文(4)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《辺境地の罠外し》 1 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《スカイクレイブの亡霊》 2 《パラディン・クラス》 2 《ポータブル・ホール》 2 《安らかなる眠り》 2 《野獣の擁護者、ビビアン》 -サイドボード(15)- |
そう、ヒストリック! MTGアリーナオリジナルのこのフォーマットでは白い人間クリーチャーたちを《集合した中隊》で展開する人間デッキがひとつの勢力を築いている。大量の人間によるマナ加速、そして全体強化……噛み合いすぎているッ!
というわけで《ドーンハルトの主導者、カティルダ》は新戦力としてすんなり受け入れられ、人間デッキに新たな勝利パターンをもたらしたのだった。
デッキとしてはバリバリのアグロである。びっしりの1マナ域から始まる、実に34枚のクリーチャー群。非クリーチャー呪文は中隊のみという割り切った構成が清々しい。
中隊からめくれる除去としての《スカイクレイブの亡霊》以外はすべて人間なので、デッキ内の部族シナジーが気持ちいいほどに絡み合う。人間を並べて《サリアの副官》で強化して殴り勝つ、シンプルにして破壊力に満ちた強力アーキタイプである。
このデッキにはカティルダ以外にもイニストラードの集会所から人間が参入している。どちらも集会能力を持っているのが特徴だ。それぞれパワーが異なるクリーチャー3体を並べるという複雑な条件である集会だが、《光輝王の野心家》などで上手く調整することで狙って機能させられる。
《野心的な農場労働者》は中隊という4マナ域のゴールのための土地を確保してくれる、地味ながらエラいやつ。
土地をあまり多く採用するとそればかり引いてしまって手詰まりになりがちな人間デッキにおいて、土地の総数を22枚に抑えつつ4枚目の土地を確保しやすくなるこのカードは待望の1枚であったと言えよう。カティルダとこれとでマナトラブルはかなり回避できるようになった。《平地》を得てお役御免でなく、変身すれば3/3絆魂という突如武闘派になるのも魅力的。野心家や副官で育てることで他のアグロとの殴り合いを制するのだ。
《秋の占い師》もまた中隊のための4枚目の土地を見つける手段であり、ライブラリーから人間を直に供給する驚異のアドバンテージエンジンとなる力を秘めている。人間デッキの引き出しは増える一方だな。
サイドボードには《辺境地の罠外し》の姿も。
生け贄に捧げることでアーティファクトかエンチャント、総称して置物への対策となってくれる人間だ。変身すれば生け贄だけでなく攻撃するだけで置物をバキバキ破壊できるようになるので、ヒストリックに潜むそれら置物を主役としたデッキへの対抗手段としてはこの上ない。《集合した中隊》のおかげで変身させつつも展開を止めずに済むので、狙っていくべしだな。
昔から数が揃えば強いという特性を担ってきた人間タイプのクリーチャー。《ドーンハルトの主導者、カティルダ》はまさしくそれを体現する、人間デッキのための1枚だ。彼女を中心に集会が行われる光景を恐ろしいとみるか、それともそこに加わってその恩恵を受けるか。その選択は君自身で決めなければならない。いずれにせよ、本当に怖いのはやっぱり人間みたいだね。
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