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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
赤緑狼男:夜を迎えて牙を剥け(スタンダード)
イニストラードはのべ3回もセット(やブロック)の舞台になっている。ということは、それだけ多くの登場人物がいるということでもある。以前より名前は出ていたが、今回ついにカード化されたという人物もいる。トヴォラーだ。
彼は『闇の隆盛』の時点で《モンドロネンのシャーマン》のフレイバー・テキスト、およびその変身後の《トヴォラーの魔道士狩り》にその名を見ることができた。
このトヴォラーは人狼の男性である。人狼と言えばアーリン・コードが思い浮かぶが、何を隠そうトヴォラーはアーリンの師匠的存在。アーリンがはじめて狼となる能力に目覚めた時に人狼としての生き方を導いたのがほかならぬトヴォラーなのだ。
しかし2人の関係は良好とはいえない形で幕を閉じた。トヴォラーは人狼として生きる者の自由として、人間を狩ることもやむなしと考えている。対してアーリンは人間も人狼も両方がイニストラードで安らかに過ごすべきだという共存の思想に目覚めたからだ。
『イニストラード:真夜中の狩り』にて両者は再会を果たす。トヴォラーが百を超える人狼の大群を率いているという恐ろしいシーンであり、トヴォラーはアーリンに向かって人狼は狩りたいもの(人間)を狩って自由に生きると宣言するというものだった。果たしてアーリンはトヴォラーの軍勢を止めることができるのか? 昼と夜のバランスが崩れたイニストラードの運命やいかに!
……と、ストーリー的には敵対しているアーリンとトヴォラーなのだが、カードにおいては相性良好だ。狼・トークンを生成し自身も狼男・クリーチャーへと変化する《群れの希望、アーリン》&《月の憤怒、アーリン》と、狼か狼男が対戦相手に戦闘ダメージを与えるとカードを引けるというアドバンテージ源であり、《ケッシグの狼の地》を思わせるパワー上昇役も兼ねる《不吉な首領、トヴォラー》&《深夜の災い魔、トヴォラー》だ。これらは組み合わせて狼&狼男デッキを組めと言わんばかりである。
今日は共闘したらこんなに強い、アーリン&トヴォラーの「赤緑狼男」デッキを紹介だ!
7 《森》 4 《山》 4 《落石の谷間》 4 《岩山被りの小道》 2 《ハイドラの巣》 2 《バグベアの居住地》 -土地(23)- 4 《ケッシグの自然主義者》 4 《群れ率いの人狼》 2 《辺境地の罠外し》 4 《無謀な嵐探し》 3 《不吉な首領、トヴォラー》 1 《原初の敵対者》 2 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(20)- |
4 《豊穣の碑文》 4 《レンジャー・クラス》 2 《髑髏砕きの一撃》 4 《エシカの戦車》 3 《群れの希望、アーリン》 -呪文(17)- |
1 《原初の敵対者》 2 《秘密を知るもの、トスキ》 2 《星山脈の業火》 4 《バーニング・ハンズ》 3 《安堵の火葬》 2 《絡み罠》 1 《レンと七番》 -サイドボード(15)- |
狼&狼男がメインに6種18枚。というかどちらでもないクリーチャーカードは《黄金架のドラゴン》だけと言った方が良いのかな。《不吉な首領、トヴォラー》で極力アドバンテージを稼げるような構成にした中速デッキだ。
一見アグロのようにも見えるし、実際そのようにガツガツ攻める展開もドロー内容によっては起こり得るが、1マナのクリーチャーが採用されていないので便宜上ミッドレンジ扱いにさせてもらおう。2マナクリーチャー10枚で2ターン目からは戦場に何かしらを展開していくぞという気概のデッキである。
デッキの基本的な部分は他の赤緑のクリーチャーデッキ、「グルール○○」などと大きく異なるというわけでもない。《無謀な嵐探し》を攻めの機転にして、クリーチャーを展開しては攻撃し圧力をかけ続けて勝利を狙う。
ただ、狼男デッキということは変身してこそ本領を発揮するという側面もある。狼男たちを変身させるには夜を迎える必要がある。そのためにはプレイヤーが自ターンに何も呪文を唱えないという条件を満たさなくてはならない。
対戦相手が何もせず終わってくれれば自動的に変身となるので楽ちん、サイズが上昇し能力の破壊力も増した人狼たちで暴れ回るのみだが……そう易々と何もせずにターンを終えてくれるものでもない。だったらどうするか? こちらが自身のターンに何も唱えないという形で能動的に夜にしてやるしかない。
実際に手札に今唱えられるものがない、唱えるべきものがなくて夜になるのは仕方がないが、あえて唱えるのを見送って変身させる、というのはどうなんだろうか。クリーチャーで攻めるデッキがマナを使った展開を見送ってまで……というところだが、ご安心を。しっかりその辺は考えてカードチョイスがなされている。
まず、呪文を唱えずともダメージを増やす方法として《ハイドラの巣》《バグベアの居住地》をクリーチャー化させるというもの。
マナを無駄なく使ってライフを攻めつつ、夜を迎えることで狼男たちが本領発揮するのであれば願ったり叶ったり。
《レンジャー・クラス》のレベルを上げておくというのもアリだね。
もう1つが、自分のターンで何もしなかった分、相手のターンで動くという戦法。まずはアーリンの[+1]能力、これで展開を止めずに夜を迎え、次の自ターンに5/5になったアーリンと瞬速として展開したクリーチャーでの総攻撃を見舞うことが可能だ。
そしてインスタントで相手のターンに動くための《豊穣の碑文》。これが強いんですわ。
格闘かサイズアップの2マナとして使っても良し、キッカー込みでライフ回復も混ぜた全部乗せで使っても良し。対戦相手のダメージ除去に対してタフネスを上げることで打ち消しのようにも使える、テクニカルな1枚を相手ターンに用いることで無駄なく昼を終わらせられるというもの。夜とか抜きに《黄金架のドラゴン》との相性もピカイチ。5マナジャストしかないところでドラゴン→ドラゴン対象に碑文連打とかいううさんくさい動きもできてしまう。お試しあれ。
昼と夜は、一見ややこしく敬遠しているプレイヤーもいることだろう。でも一度実体験で感覚を掴めば、任意で昼/夜を切り替えてカードの潜在能力をフルに発揮させるゲームを楽しめることは間違いない。
狼たちのパワーをドンッと引き上げるトヴォラーもさることながら、《辺境地の罠外し》が変身して《激情の罠破り》になると、攻撃するだけで《エシカの戦車》を問答無用で破壊してしまうことには要注目。
今の緑の強さを支える象徴的な1枚である《エシカの戦車》。これを巡る攻防で圧倒的有利に立てるのを忘れずに! 罠外しは緑のデッキにおけるキーカードになりそうだ。
さあ、日が暮れてきた。月は見えるか? 何か沸き起こる衝動はあるか? デッキを持て、狩りの時間だ。
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